相続税で税理士に頼る際に気をつけたい10個の注意点


相続税の申告・納税手続きは複雑なため、通常、税務申告のプロである税理士の手を借りて手続きを進めていくことになります。しかし、相続税は特殊分野であり、例え税理士であっても相続税制をよく知っていてかつ実務経験豊富な方でないとミスが起きやすく、それはそのまま納税者に不利になるケースもあります。

税務ルールの範囲内で支払い税額を少なくすること、申告に誤りが生じるようなことはないことが納税者の希望でしょう。その要望に見合った税理士を見つけることが大切です。

とある申告ミスの事例

弁護士への質問サイト「弁護士.com」にこのようなQ&Aがありました。相談者は相続税に関して税理士にサポートを仰ぎ、全ての財産を提示していたと思っていたのに、名義預金について税務調査での指摘を受けて結局重加算税を課せられてしまったという内容です。

記載の質問内容だけでは、税理士側に過失があるかどうかは確認できません。コミュニケーションに問題があったようにも見えます。税務に知識がなく相続税申告という一生で年度も一般の人は遭遇しないものなので、コミュニケーションの巧拙も相続税に関与する税理士の重要な素養になります。

2015年の税制改正で相続税の対象世帯が増加し申告業務のサポートを希望する方は増えています。実は、相続税に関する実務経験や知見を持つ税理士の方は、あまり多くいないのです。

相続税に疎い税理士は意外に多い、その理由

そもそも相続対策や相続税に精通していない税理士も多いと言われています。
まず、税理士と言っても、それぞれに、得意分野、不得意分野があります。日々、顧客から相談を受け、税務署への申告など実務を手掛けている分野は当然得意になっていきますが、ごくたまにしか扱わない分野は詳しくありません。

そして、税理士がたまにしか扱わない分野の典型が相続税です。国税庁と税理士会の統計情報をもとに試算されたデータでは、税理士1人が1年間に手掛ける相続税の申告件数は0.72件と算出されています。税理士の人数よりも相続税の発生件数の方が少ないのです。相続税は相続税を多く取り扱っているところに集中することも考えると、多くの税理士からすると、相続税はたまに扱うものという位置づけなのです。法人税であれば、1社の顧問先がいれば毎年法人税の申告は発生しますので、総じての業務経験は、法人税や所得税に自然と偏ります。

また、税理士の約半数は税理士試験や公認会計士試験を合格されたわけではありません。税務署に一定の年数(23年以上)勤めるなどの条件を満たせば、自動的に税理士の資格がとれるためです(そのため、税理士登録者の方の年齢は定年後の方が多く、税理士の平均年齢は非常に高い)。しかし、税務署時代に相続税と贈与税を合わせた資産税関係に関わる人は多いとは言えません。3大税収である所得税、法人税、消費税に多くの人員が割かれているからです。

試験合格者の税理士の方でも大丈夫というわけではありません。例えば税理士試験では簿記論、財務諸表論の必須科目に、所得税法、法人税法など9科目のうち3科目を選択しますが、相続税のテスト合格者は1割にも達しません。つまり、税務署出身の方と合わせますと全税理士の5%程しか相続税の試験を通ってないので、95%もの方が十分に勉強されていない可能性があります。

信頼できる税理士の見つけ方

相続分野においては税務以外の面に、どのように遺産を分けていくといいのか、不動産や保険なども考慮した総合的な対策が必要であり、各種専門家やコーディネーターのアドバイスをもらった方が良い場合も多く存在します。当然、信頼できる税理士の存在は大切なのですが、だからこそ選択には注意が必要といえるでしょう。
最後に税理士を選ぶ上で気をつけていただきたちチェックリストをまとめます。ただ、価格重視で探すなら、価格に応じたサービスの提供しか期待はできませんから、下記の点は逆に納税者が自分で気を付けないといけないかもしれません。

1.クライアントの話にきちんと時間をかけてくれているか?
→相談者の意向を理解し、適切なアドバイスをしてくれるかどうか。

2.難解な専門用語で顧客側が理解しないまま話を進ませず、分かるまで丁寧に説明してくれるか?
→優秀な専門家なら、専門用語こそ分かりやすく解説してくれる。

3.メールや電話で問い合わせた場合に、レスポンスが早いか?
→あまりにレスポンスが遅いのなら、他の案件で忙しい可能性も。

4.依頼した業務の進捗を適宜教えてくれているか?
→小まめな報告はきちんと取り組んでいるからこそ。

5.事務所のスタッフの対応が良いか?
→所長だけでなく、優秀なスタッフがいるところならその分さらに安心できる。

6.税務以外にも不動産や事業経営、資産運用にも精通しているか?
→相続対策は総合力なので、不動産や金融(保険や証券)、事業承継が関係することも多い。

7.相続対策のアイディアや具体的な提案があるか?
→何も具体的な提案やアイディアのない税理士は申告業務をほとんど手がけいていない可能性もある。また、税金対策ではなく、「申告手続き」が業務だと思っている可能性も。

8.相続対策の提案の中にデメリットの説明やコスト計算は含まれているか?
→どんな提案にもデメリットや相性はあるので、デメリットこそきちんと顧客に説明するコンサルティング能力が重要。

9.納税のシミュレーションをすぐに出してくれるか?
→何度もシミュレーションをしてベストなプランを探すことで、大きくトータルでの税額が変わることがある。

10.報酬が明確になっているか?
→事前説明がしっかりしていると安心できます。

このように、色々な要素を考慮し、専門家(パートナー)を探されるのが納税者にとって良いのではないでしょうか。


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