押さえておきたい投資用不動産の税務①〜確定申告の基本と青色申告1/2〜


個人が不動産投資を行うのに際して発生する税金は細かく分ければ様々なものがあります。

相続と不動産はとても関連の大きいテーマです。相続財産に占める自宅の割合が大きいということもありますが、相続税の課税対象になる方であれば、賃貸物件などの不動産オーナー、不動産投資家であることも多いためです。また、相続税の対策として投資用不動産の購入をされる方も多くいらしゃいます。

ところが、不動産オーナーの方は物件の購入や相続税の減額のことだけを考えてしまい、その後の賃貸経営についてはあまり考えられていない方も大勢います。
しかし、不動産投資の目的が資産の保全や増加、円満な子孫への移転にあるのであれば、その投資用不動産に関する相続税以外の税務や節税のポイントについても押さえておく必要があります。

本シリーズでは、不動産投資に関わる税金についての基本を解説していく予定です。そして、今回はその中でも最も大きなウェイトを占めるの「所得税」をテーマにします。
不動産投資を行うことは、不動産事業を営み不動産所得を得るということであり、年に1度確定申告を行う必要があります。計算期間は暦年(1月1日~12月31日)と決まっています(法人の場合は、自由に決算期を設定できますが、個人では計算期間が暦年で統一されています)。
対象期間の翌年の3月15日までに、確定申告書の税務署への提出とともに納税手続きをする必要があります。
所得の計算や税務処理には複数方法から選択できるものがありますが、税法上の優遇度合いが変わるため、極力優遇の大きい方法で申告することがポイントとなります。

しかし、残念ながら適切な方法で申告をされていないために、税の優遇を受けられていない不動産オーナーの方は少なくありません。そこで、今回の記事では確定申告の基本と優遇を受けるための青色申告について、その優遇内容や必要な手続きの基礎をお届けします。

収益不動産のオーナーは確定申告が必要な人

日本の所得税は、納税者が自ら税法にそって1月1日から12月31日までの所得金額と税額を正しく計算し、毎年自らが税金の手続きを行い納税するという申告納税制度です。したがって、所得税の申告は自分で行う事が原則であり、この申告手続きを確定申告といいます。

ただし、確定申告の制度では1年間の所得税を納税者一人一人がまとめて支払うこととなり、負担が高額になります。また全ての納税者が適切に納税を行っているか税務署で個別に監督をすることは現実的ではありません。そこで、会社員には、給与・賃金の支払者が納税者(従業員や公務員)から所得税等を源泉徴収し、年末に調整を行う制度ができました。そのため、一般のサラリーマンや公務員は年末調整によって基本的には所得税が確定することから確定申告をする必要はありません(年末調整対象外の事項である医療費控除や住宅ローンの初年度などの該当がある場合は確定申告の必要があります。)。

また、会社員ではなく個人事業主として主な所得を得る人や、サラリーマンや公務員であっても下記の場合などは確定申告を行う必要があります。
・「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」
・「副業(不動産投資含む)で20万円を超える収入がある人」
・「2か所から給与をもらっている人」

不動産投資家は、不動産賃貸事業を営むことになるので、本業がサラリーマンであっても不動産投資を本業にされていても確定申告が必要になります。なお、日本において確定申告とは所得税の申告・納税以外に法人の事業年度毎の所得を計算納付すべき法人税額を確定することも含むため、不動産投資を個人事業ではなく法人として行っている方も対象となり、法人では法人としての確定申告が必要となります。

(消費税の課税事業者である個人又は法人が、課税期間内における消費税額を計算し納税額を確定することも確定申告に含まれます。消費税の計算や納税は不動産投資を行う上で押さえるべきポイントの一つですので、別記事にて詳細をお伝えしていく予定です。)

青色申告と白色申告の違い

確定申告の申告方法には「青色申告(あおいろしんこく)」と「白色申告(しろいろしんこく)」の2種類があります。また、不動産投資の場合には、「青色申告」はさらに「事業的規模」に達しているか否かによって2つに分かれます。
不動産投資では、青色申告のための「事業的規模」で、物件を5棟10室という基準があり、青色申告の特典である65万円控除を行うには一定のハードルが必要です。青色申告の申請をして複式簿記での記帳等を要件に所得を65万円減らすことができる制度があります。ワンルームの区分所有では物件を10部屋にしないといけません。

確定申告の方法として、白色申告の方が簡単という印象が一般的かもしれません。しかし、実は申請の手間は両者にさほど違いがなく、青色申告は優遇措置が多いため、両方が選択可能であれば、青色申告にされることがお勧めです。
*不動産所得ではなく、事業所得の個人には、「事業的規模」のような要件はなく、誰でも青色申告承認申請書を税務署に提出することで青色申告が可能です。

所得税の税額計算のベースとなる「課税所得」は、

課税所得 = (収入 - 必要経費+ その他の所得)- 各種所得控除

という計算式によって成り立ちます。そのため、「必要経費」や「各種所得控除」を大きくすることが、税額を抑えキャッシュを手元に残すためのポイントになります。

そして青色申告は白色申告に比較して

・必要経費として認められる科目数や金額が多い
・所得金額から控除される科目数や金額が多い

という特徴があるため望ましいのです。

【青色申告】

税務署に提出する帳簿を複式簿記等の手法に基づいて記載し、正しい所得や所得税及び法人税を計算して申告することを指します。以前はこの申告に必要な用紙が青色だったため、この名前がつきました。現在の申告書は青色ではありませんが、実務上で青色申告と呼ばれ、各税法上でも規定があります。

【白色申告】

税務署に提出する帳簿が単式簿記でも構わず、経理・事務の負担が軽い申告方法です。以前は帳簿の必要もありませんでしたが、2014年1月以後は、個人で事業や不動産貸付等を行う全ての人に記帳と帳簿書類の保存の義務が生じるようになりました。

2013年以前は白色申告による確定申告は青色申告に比べて簡便でしたので、優遇措置が受けられなくとも白色申告を選ぶ方も多かったのですが、現在は単式簿記でも構わないとはいえ記帳の義務があるので、白色申告を選ぶメリットは少ないといえます。

続く

【シリーズ記事】
押さえておきたい投資用不動産の税務②〜確定申告の基本と青色申告2/2〜


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