収益不動産の法人化に注目が集まる理油とは?


2015年度にも所得税の最高税率引き上げの改正があり、所得4000万円超の部分の所得税率が40%から45%になりました。住民税と合わせ、55%と、所得4000万円超という限られた人が対象ではありますが、「稼いだお金の半分以上」が税金で徴収されることになります。日本の所得税・相続税といった個人課税は増税傾向にあります。
多くの日本国民はご存じの通り、膨大な国債残高や財政赤字、膨張する社会保障費など日本の国家財政には重要な課題があり、税と社会保障費の改革は今後避けて通れません。財源確保のため、政府は増税を行わざる得ないため、収入や資産の多い富裕層向けの課税は今後ますます強化されると言われています。

そのような中、個人資産として収益不動産を持つ人々の間で、法人化に対する関心が高まってきました。所得税は増税傾向にありますが、法人税は減税傾向にあるためです。

所得税と相続税の増税傾向

現状の日本では国家財政の健全化(慢性赤字の解消)と今後ますます深刻さを増す高齢化社会に向けて、税と社会保障費の一体改革が一大テーマとなっています。この問題を解決するための政府の基本方針は歳出の削減ではなく、増税による歳入増加にあると言えるでしょう。多くの識者が言うように、今後、消費税をはじめ日本の税金は上がっていかざるを得ないものと思われます。

特に政府の増税狙いの本丸は消費税にあると言われています。日本の消費税率は2016年3月現在で8%ですが、消費税発祥のヨーロッパでは20%前後という国が多く、国際比較を材料に日本にもまだまだ増税余地があると言われています。特に消費税は1%増税すると政府としては2兆円の増収に繋がると言われていますので、仮に20%まで上げられるとすれば24兆円の増収になるのです。

この消費税の増税に合わせて行われる可能性が高いと言われているのが、所得税や相続税の最高税率の引き上げです。事実、2015年の所得税・相続税の最高税率の引き上げは、2014年の消費税増税(5%から8%)と近いタイミングで行われました。実は、こうした富裕層や高額所得者を対象とした増税は、対象となる母数の少なさから歳入の増加メリットはほとんどありません。しかし、逆進性が高いと説明がされ、資産や収入が少ない人ほどダメージの大きい消費税増税を広く一般に受け入れてもらうためには、富裕層や高額所得者向けの増税もセットで行った方が政府として「金持ち優遇」などの不満をそらせて都合が良いのです。

現在予定されている2017年の消費税増税(8%から10%)は、直近の経済不安から実施延期の可能性が高まっていますが、時期が早かれ遅かれ、長期トレンドとしての消費税増税は10%にとどまらず続いていくことが見込まれ、所得税や相続税(の特に最高税率)も増税傾向が続くと言われています。

法人税の減税傾向

上記のように消費税と所得税・相続税(特に最高税率)は増税傾向にあると言われていますが、逆に今後の減税傾向が予想されているのが法人税です。
日本法人税率(平成28年度国・地方税合わせて31.33%)は諸外国、特に産業構造的に競合している中国(25.00%)や韓国(24.20%)、シンガポール(17.00%)などのアジア圏と比較して高く、企業の国際競争力を阻害していると言われています。そのため経団連なども法人税減税を行うよう長く主張を続けてきており、実際に、近年着実に減税は進んできました。
法人実効税率は、「平成28年度税制改正大綱」では、2018年度には29.74%に引き下げられることとなりました。2014年度の34.62%でしたから、段階的に引き下げが進んでいます。

今後もさらなる減税の実施が予定されており、今後もこの傾向は続く可能性が高いでしょう。これは、そもそもの経済主体の主役である企業が海外に事業拠点を移していくことは、国内の雇用を減少させ、投資・消費も縮小していくことになるので、企業に日本国内での活動をしてもらうようにすることを最重視しているためです。

この流れは、個人として所得税を払うよりも、法人化して法人税を払う方がタックスプランにおいて有利になる、ということにもなります。

不動産の法人化とその節税メリット

不動産の法人化とは、所有している賃貸アパートや賃貸マンションなどの収益物件の所有を個人ではなく、自分が所有する法人に移すことを言います。このような事をすると法人の設立費用も発生しますし、不動産を個人から法人に移す際に個人には譲渡益への課税や法人に対して不動産取得税などが発生します。しかし、収益性の大きい不動産の場合は毎年の税金が安くなることが見込まれ、総合的に節税になる可能性があります。

概算になりますが、例えば毎年1億円の所得を上げる不動産を所有されていた場合、所得税は最高税率の55%が適用されるため累進課税の控除等を差し引いても5000万円前後の納税が発生ます。しかし、これが法人の所有であれば法人税は約30%ですので3000万円ほどの納税で良いわけです。もちろん法人で発生した収益を配当や役員報酬などで個人に移そうとすれば所得税という形でまた税金が発生しますので、「個人の懐」にどのように持ってくるかは工夫が必要ですし、状況によっては一概に得になるとは言い切れません。
しかし、当面使い道はない、あるいは今後の事業や他の不動産に再投資を行う場合は内部留保しておけば良いので節税効果は高いと言えます。ある程度内部留保しておいて、最終的には退職金など税金の安い形で個人に資産を移すという手もあるでしょう。

(またこの事は別記事でも詳しく解説する予定ですが、不動産の法人化には他にもメリットがあり、相続に備えた分割対策になるという事です。不動産を個人で所有していては相続発生時に相続人が複数いた場合に上手く遺産を分割できない場合があり、そのことが相続争いや他のトラブルの原因になるのです。しかし、法人化していた場合は株式を分け合えば良いので、遺産分割はずっと楽になります。)

このようにメリットも大きいことから、今後不動産オーナーの方に対して金融機関などから法人化の提案が活性化すると言われていますが、実は不動産の法人化にはデメリットもあるため、全ての不動産オーナーの方にお勧めできる方法というわけではありません。別記事にて、不動産法人化のデメリットや法人化をした方がいい場合としない方がいい場合の見分け方についてお伝えします。


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