まずは自分の人生を大切に〜相続対策以外にも考えておきたい生存対策〜


日本社会の高齢化の進行に加え、相続税の基礎控除の引き下げや続相における争い件数の増加に伴い、「相続」の対策に社会的な関心が高まっていますが、今、シニアの間では相続対策と同等かそれ以上に「生存対策」も注目されています。

生存対策とは何か

2015年1月以降開始の相続から適用された相続税増税の影響もあって、世の中全体では相続対策ブームの感があります。また、相続を受ける子世代側の方であれば、少しでも相続税を安くしたいという思いを持っている人が多いでしょう。しかし、財産を残す親世代にとっては確かに子どもへの相続も大切なのですが、これから自分や配偶者が亡くなるまでの間の生活設計を先に考えなければなりません。特に現代は、(これはとても喜ばしいことですが)平均寿命も長くなり、退職後に元気に過ごせる期間も長いので、充実したシニアライフを過ごされたいという思いもあるでしょう。

こうしたシニアの方が、退職後にも安全で安定的な暮らしを営んでいくための準備を、生存対策と呼びます。

年齢で異なる意識の違い

実際にシニアの方が相続対策と生存対策のどちらに重きを置いているのかという点については、年齢により異なると言われています。当然、「シニア世代」と一口に言っても60代の方もいれば80代の方もいて、両者の間で考え方も違えば事情も異なります。そして、相続対策と生存対策への意識の違いでは、目安としては80代以上の方は相続対策への意識が大きくなり、60代や70代位までの間であれば、相続対策以上に自分たちの生存対策の方を重視されている方が大勢います。

このように、60代〜70代の方にとって、生存対策が優先される理由は、日本人の平均寿命が伸び続けていることが要因の1つとしてあげられるでしょう。1960年代には男性約65歳、女性約70歳だった平均寿命は、近年では男性が約80歳、女性約85歳まで伸びており、医療技術の発展などから今後も緩やかな上昇が予想されています。例えば65歳の方であれば男性で約15年、女性で約20年以上寿命が続く可能性が高いので、相続のことよりも経済面での今後の生活に意識が向くのは当然と言えます。

また、2016年4月に人気政治家の小泉進次郎氏による「65歳から高齢者はもうやめよう」という記者会見がありました。日本の国家財政の悪化などの理由から、今後も年金支給開始年齢の引き上げや、年金の支給額そのものの減少などが起こる可能性が高いと言われているため、ある程度以上の財産がある方も含めて、今後の生活設計には不安を感じているシニアが増えているのです。
(もっとも、現時点においても高齢者が生活に不安を抱えていると聞いて、今後の日本社会がどうなっていくのかという心配がありますが・・。)

生存対策では何をすれば良いのか?

では、シニアの中で関心を持っている方の多い生存対策ですが、具体的には何をすれば良いのでしょうか。一般的な回答にはなりますが、まずは自分がどのようなシニアライフを送りたいのかという「目標設定」と、その目標に適合するよう今後の収入支出の明確化を行うというライフプランニングが必要になります。長期的な目では、資産運用や財産上の必要な対策は、問題が起きてから対処するよりも、事前に問題を想定し解決策を講じておく方が、より良いライフスタイルを過ごせる可能性は高くなります。

生命保険文化センターが平成25年度に行ったアンケート調査では、夫婦2人の老後生活の最低費用は平均で月に22万円という結果が出ました。また、同調査によればある程度ゆとりある生活を営むために必要な費用は、平均で月に35万4千円だったそうです。もちろんこの金額は世の平均に過ぎませんが、現役時代から多くの収入を得てきた方であれば、より充実した暮らしを実現しているでしょう。大切なのは、自分が望むシニアライフを実現させるためには、一体いくらの資産(預貯金)が必要なのかを明確にすることです。そして、年金収入や運用収益を踏まえた上で、自分の資産が望む生活を送るのに足りているのかどうか、望む生活を過ごすために何をすればいいのかを考える必要があります。

生存対策の課題は収入の少なさ

そもそもシニアの方が生存対策に必要性を感じる理由は、仕事を引退しこれまでの収入が途切れるからです。年金収入だけでは多くの場合に現役時代よりもその収入は下がります。仕事を引退したことで、逆に余暇が増えますので、現役時代よりも交際費や趣味を始め様々な支出を考えると、預貯金の切り崩しや年金収入の生活に大きな不安を感じるようになります。

このような生存対策における悩みや不安の解決策なのですが、1つの方法は資産の組み替えによって収入を発生させることです。例えば自宅を持っている方の中には、子供達も独立したために夫婦2人で住むには広すぎるという方もいるでしょう。そうした場合に、今の自宅を売却してしまい、もっとコンパクトな住宅に移り住むことで余剰資金を生じさせ、その余剰資金を金融商品での資産運用に回したり賃貸不動産を購入するなどの方法があります。

もちろん、資産運用にはリスクもつきものなので、常に正しい方法というわけではありません。しかし、目標を定めた最適な方法を取ることにより、必要以上のリスクを取らないようにして、大きな失敗を避けることはできます。手持ちの預貯金や金融資産で不動産を購入するのは、資金の流動性が下がりリスクを抱えますので、余裕資金が少なかったり経済情勢によって、お勧めできない場合もありますが、自宅や他に収益を生まない不動産などがある場合は、そうした資産を収益性の高い資産に組み替えることは生存対策の有効な選択肢となります。
そのためのスタートの方法として、世の中には偏っていたり極端な話も多いので、鵜呑みにすることなく、自分の意向に適している、正しい情報と手段を取り入れて頂ければと思います。

相続tokyoでは、今後も実際の事例を交えて、正しい情報提供により読者の皆様の資産管理の一助になりより良いライフスタイルの実現にお役立ちするよう、相続対策だけではなく生存対策に関する情報やサービスを提供して参ります。


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