2016年の路線価公表 8年ぶりの平均値上昇をどう見るべきか?


首都圏に集中していた地価の上昇傾向が全国に波及し、2016年度の路線価は上昇率が0.2%と小幅ながらも8年ぶりに上昇しました。
路線価は相続税・贈与税を計算する際に土地の評価額を算出するときの基準となる地価のことで、国税庁が道路ごとに1m2当たりの単価を定めているものです。毎年1月1日時点で評価される公示地価を参考に、その80%程度の水準になるように路線価が決められます。

日本の土地価格は2008年の金融危機以降大きな下落傾向にありました。しかし、2012年以降のアベノミクスや東京オリンピックの開催決定を受け首都圏を中心に地価は上昇に転じています。また、近年はインバウンド(訪日外国人観光客)の増加や、北陸新幹線、北海道新幹線、リニア中央新幹線などのインフラ開発によって地方でも地価が下げ止まる地域や上昇に転じる地域が出てきています。
その結果、2016年7月に発表された路線価(相続税における土地評価の基準)の全国平均も8年ぶりに上昇しました。

このニュースによる相続への影響について考えてみたいと思います。

土地の相続税評価

まず基本的な路線価と相続の関係からおさらいしておきましょう。
相続および相続税の申告・納税が発生した場合、亡くなった人(被相続人)の遺産の総額に対して相続税が課されますから、現預金などその金額が明確な資産や上場金融商品といった市場で客観的な時価が付されている資産以外も評価額を出さなければなりません。日本人の資産において最大のウェイトを占めているのは不動産(土地及び家屋)です。土地の相続税での遺産額を計算するための金額(評価額)を決めるための資料が「路線価」と言われる国税庁が定める土地の値段です。
路線価は路面ごとに設定されており、その路面に面している土地の1㎡あたりの値段となります。例えば路線価が30万円、広さが100㎡の土地の相続税評価額は100㎡×30万円/㎡=3000万円という風に計算されます。そして土地の形状等による補正や用途による減額特例等が適用され、相続税が計算されます。
なお、相続税と贈与税では、同一の方法により評価を行います。
不動産のうち建物部分(家屋)は固定資産税評価額を用います。

なお、路線価が全国の全ての土地に設定されているわけではありません。路線価の設定されていない土地の相続税評価額は固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて求める倍率方式が適用されます。

この路線価は国税庁によって7月1日にその年の最新版が発表されており、2016年7月1日に発表された路線価の全国平均は、冒頭でお伝えの通り8年ぶりの上昇となりました。

路線価を調べたい場合、国税庁のWEBサイトで誰でも閲覧可能です。WEBサイトを開きますと地図が表示されますので、調べたい住所の都道府県をクリックし、調べたい住所をクリックしていきます。そして最終的には地図が表示され、その地図に道路に路線価が記載されています。単位は1000円単位、また路線価の後にはその地域の借地権割合を表すアルファベットがA〜Gで記載されていますので注意してください。
「300」と入っていたら1㎡あたり300千円になるという見方です。一度、ご自身あるいはご親族のお住まいの地域の路線価を見てみると良いかもしれません。

国税庁 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

なお、日本で最も路線価が高いところは東京の中央区銀座5丁目の銀座中央通り・文房具店「鳩居堂」前で、2015年よりも18.7%上昇し、1㎡あたり3200万円です。銀座のど真ん中は、1畳で約1億円の値段ということです。なお、東京都世田谷区で、1㎡あたり50~60万円ほどになります。

※借地権割合
土地を所有するのではなく、地上に建築物を所有することを目的に、地主に固定資産税・都市計画税以上の地代を支払って借り受けている場合の権利です。借地権も相続財産に含まれ、土地の相続税評価額に路線価図に記載されているその土地の借地権割合を求めて算出されます。賃貸物件を所有している人などに関係しますが、自宅のみ不動産をお持ちの場合はとりあえず気にしないでおきましょう。

8年ぶりの路線価上昇をどう見る?

冒頭にも記載しましたが、2016年7月1日に発表された路線価は全国平均で0.2%のプラスとなっていました。これは2008年以来のことで8年ぶりになります。

インバウンドでの外国人旅行者の増加や各地域で再開発が進んだことが主な要因と言えます。また日銀による金融緩和の影響も大きく、銀行は不動産業向けの融資を拡大してきました。不動産投資信託にも利回りを求めて資金が殺到しており、その影響も大きいと言えるでしょう。また金融緩和の結果、住宅ローン向けの貸し出し金利も大きく下がっており、その影響も大きいと思われます。

路線価の上昇は首都圏をはじめとして都心部に集中しているため、そのような地域に土地を所有していて相続の心配がある方は、相続税の試算を行った方が良いかもしれません。その結果、納税資金に不足があるなど課題が見つかった場合は、相続の対策を行う必要があります。

路線価が全国平均で0.2%の上昇と言っても、ほとんど横ばいということで、上向いたと言うには早計でしょう。東京都の路線価の平均は2012年以降は上昇しており、2015年は2.1%増、2016年は2.9%増となっています。一方の首都圏以外の多くの県で下落傾向が続いており、日本国内の都心と地方の格差拡大を反映しているとも見えます。

また2016年7月の足元では、2016年に入ってから続く円高傾向によりインバウンドは少々雲行きが怪しくなってきています。また、円高が景気の悪化に繋がった場合、オフィス需要の減少などによって地価下落の圧力が高くなる可能性も見過ごせんません。
長期的な地価トレンドに関しては予断を許さない状況と言えるでしょう。


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