高齢化や相続に備えて〜大事なペットの守り方・託し方〜


全国犬猫飼育実態調査によれば、60代の約16%が犬を飼い、約11%が猫を飼っているそうです。重複も多少あることを考えると60代の25%前後の4人の1人程度の人が犬や猫などのペットを飼っていることになります。しかし70代になると犬の飼育が11%、猫の飼育が7%と大きく下がります。同じく重複分も考えればペットを飼っている人は15%前後でしょうか。
この変化にはペットとの死別という問題もありますが、飼い主の高齢化によって飼育が難しくなるというのが一番大きな理由です。

残念ながら里親など引き取り手が見つからず、自治体に引き取られたペットは最終的に殺処分されます。しかしそれは長くペットと暮らし愛情を感じている人には耐えられない苦痛でしょう。
そこで今回は自分が高齢化してペットの飼育が難しくなった時や、自分が亡くなってしまった後にもペットを信頼出来る人に託し守る方法についてお届けします。

ペットに財産は残せない

高齢化やご自身が死亡によってペットの飼育ができなくなったような時への備えの1つの前提として、日本ではペット自体に財産を残すことはできません。日本の民法の定めでは,相続遺贈を受けることができるのは「相続人」であり,「人」に限られていますから,人ではないペットに遺産を相続させることはできないルールになっています。
ペットへの遺産相続は特にペットへの愛情が深く(そして家族との関係が良好ではない)飼い主の方に多い要望なのですが、日本ではペットに人格は認められておらず、動物愛護法などの規定を除けば法律上は「モノ」でしかないため相続人の対象とならないのです。

時々、海外発のニュースで大富豪のペットが多額の遺産を相続したというようなニュースがあるので同じようなことができないか関心を持たれる方がいますが、そのまま相続させることは出来ない話になります。
(なお海外のペットへの遺産相続の事例も大半は下記にあるような信託や遺言の形をとっており、純粋な相続ではありません。もっとも、ペットを世話する方法や依頼する人なども決めておかなければ意味もないでしょう。)

どうやってペットの面倒を見てもらうのか

日本の法律ではペットに財産を遺すことはできませんが、その代わりに下記のような方法でペットの生活を信頼出来る人に托すことは可能です。

里親を見つける

まず信頼出来る里親を見つけましょう。お金の問題ももちろんありますが、大切なペットを任せるに足る人格のある方を見つけることが一番大切です。飼い主の気持ちをよく理解してくれ、同じくらいペットに愛情を注いでくれる親族やご友人の方が見つかればペットの今後に関する心配は大きく軽減されます。

ただ、無償で引き取ってくれる里親が都合よく見つかるとは限りません。大事なペットに遺産は遺せないにしてもお金を使ってあげたいという場合は以下のような方法を取ることになります。

負担付贈与・遺贈を行う

ペットの里親候補は何れにしても見つけなければならないのですが、その相手に対してペットの面倒を見ることを条件に財産を贈与、あるいは遺言により財産を遺す遺贈(いぞう)による手法です。負担付き贈与、負担付き遺贈と呼ばれる方法で、ペットの問題以外にも相続対策などで用いられることの多い方法です。

ただこの方法の場合、ご自身が元気な内は受贈者がペットの面倒をきちんと見ているのか見張ることもできますが、そうで亡くなった場合は代わりに監視してくれる人を見つけなければなりません。死因贈与や遺贈により面倒をお願いする人が法定相続人でない場合には、相続税負担が重くなる可能性もあります。

ほかに、遺言の執行者や他の相続人がその役割を担ってくれることを期待したいですが、監視者が必要であるならば信託を活用するという方法もあります。

ペット信託の活用

ペットの信託は負担付き贈与・遺贈に少し似ていますが、財産を渡す形式はあくまでも信託です。そのため受託者となる飼い主は信託財産を定められた目的(=ペットの飼育)以外には使えません。そして飼育費が適正に使われているか=ペットが健全に飼育されているかの監督を税理士などに依頼し設置することも可能です。
(受託者は事前に定められた範囲で信託報酬を受け取ることは可能です。)

この方法を採用したい場合には、信託契約の締結等のために行政書士などに依頼する必要がありますが、ペットのために確実に財産を遺したいのであれば最も適した方法と言えるでしょう。

信頼出来る施設の利用

なお、上記は信頼出来る個人にペットを託すことを前提としていましたが、その他に専門の施設に託すという選択肢も存在します。

ペットも入居可能な施設で生活する

まず、自分かペットのどちらかが亡くなるまで一緒に暮らしたいが身体は不自由になってきたという人にお勧めなのが、ペットと一緒に入居可能で、入居者に万が一があった場合はその後のペットの面倒も見てくれるという老人ホームへの入居です。
こうした施設に入居する場合は、当然他の入居者のペットとも生活を共にすることになるので、そこが気になる人もいるかもしれません。そこが気にならず、一緒にい続けたいという思いが強い場合にお勧めの方法です。

老犬・老猫ホームを使う

都合の良い入居施設が見つからなかったり、自宅で過ごされたかったりという場合は老犬・老猫ホームの活用も選択肢となります。これはペット専用の老人ホームのようなものであり、ご自身での飼育が難しくなった際に施設が責任を持ってペットの面倒を見てくれます。

入居の費用は一時金で数十万円〜百数十万円、年間費用が50万円〜100万円ほどしますが、信頼出来る飼い主が見つからない場合は現実的な選択肢となります。

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