航空機のオペレーティングリースによるタックスプランニングとは?


企業の経営者で、安定的な黒字を継続的に出していることが多いのであれば、航空機等の「オペレーティングリースを活用した節税」についての提案を受けた事があるのではないでしょうか。
以前の記事で、減価償却を活用したタックスプランニングと節税の方法についてお伝えしましたが、航空機のオペレーティングリースによる節税はその原理を上手く活用した手法であり、近年、企業のタックスプランニングに用いられる機会が増えた手法になります。

今回の記事では、この航空機のオペレーティングリースを活用したタックスプランニングについての詳細をお届けします。

減価償却を活用したタックスプランニングの仕組み

航空機のオペレーティングリースの話に入る前に、減価償却を用いたタックスプランニングと節税の仕組みを復習しておきましょう。
企業が高額な固定資産を購入した場合、その購入資金は単年度で費用計上されません。固定資産ごとに法定耐用年数が定められれており、その耐用年数の期間をかけて購入金額を定額法、もしくは定率法によって償却していきます。会計上は、購入資金は固定資産として貸借対照表に計上され、法定耐用年数によって「減価償却」で損益計算書に計上されていくとともに資産の額を減少させていきます。

減価償却は、固定資産の種類によっては償却期間が短く、また法定耐用年数を過ぎた後も中古品市場にて一定以上の価格で売却可能な資産があります。
そうした資産を購入し減価償却が済んだ後に、もし仮に購入時と同額で売却できた場合、会計上は減価償却費分の収入(利益)を売却時まで繰り延べ出来た事と同じ効果があります。この効果は利益の計上時期を予測できますので、例えば将来的に大きな損金になる出費(経営者の退職に伴う退職金など)が想定された場合、その時期に向けて利益を繰り延べし、繰り延べ期間の法人税を節税し、売却時の利益と退職金をぶつけることにより節税するというようなことが可能なのです。(固定資産を売却した分の収益は課税対象となりますが、そのタイミングで退職金という出費(損金)と相殺されます。)

オペレーティングリースによるタックスプランニング

オペレーティングリースによる節税の内容は、基本的には上記の仕組みです。

オペレーティングリースとは、個人や法人が所有する減価償却可能な資産を他者に貸付け、賃貸料を得る賃貸借取引の事を指します。例えば職場に置かれる複合機(コピー機)など、一時に購入すると高額な資産の場合、オペレーティングリースによるレンタルで済ませる法人は多いのです。
当然借り手がいれば貸し手が存在し、貸し手は賃貸料収入を得る事が可能です。
ここで償却期間の短い固定資産であれば、当初は減価償却費>賃貸料収入という関係になるので、収入より経費が多くなりますから赤字が発生します。そして、償却終了後に売却した場合、売却金額と購入金額から今まで減価償却で経費にした金額の差額が黒字として残ります。
(例)資産を1000で購入し、減価償却が毎年250だとすると、1年後に1000で売ると、資産は1000-250=750になっていますので、1000-750で250の売却益が出ます。4年後に1000で売ると、資産は1000-250×4=0になっていますので、1000-0で1000の売却益が出ます。

この賃貸料収入が、減価償却を活用したタックスプランニングにおいて重要になります。
現実のところは固定資産を中古品市場で販売しようとしても、購入時と同額で売れることはほとんどありません。売却時の値段は購入時より下がる事が一般的なため、取引全体としては損が生まれ、タックスプランニングによる節税効果を上回ってしまう場合もあります。しかし、オペレーティングリースであればその分を賃貸料収入によって補填する事が出来るのです。
つまり、ここでのポイントは、純賃貸料収入(収入-各種経費)及び固定資産の譲渡代金の合計を、購入金額以上とすることで総収支をプラスにすることです。

航空機・ヘリコプターが有望な理由

航空機やヘリコプターはオペレーティングリースを活用したタックスプランニングを行う上で都合の良い資産になります。
まず、航空機やヘリコプターはともに法定耐用年数が実際の利用可能年数に比較して短く、税金計算上、短期で償却が可能であり単年度の償却費を大きくする事が可能です。また貸出し市場も中古品市場も発達しており、貸し出しによる賃貸料収入も売却時の譲渡所得も得やすいためです。
(主な航空機の借り手は航空会社となりますが、航空会社の立場で見ても、ある程度使用年数がある機体の方が、不具合が出尽くしているために、事故リスクが低く安心できるのです。)

つまり、上記の条件を満たしているのです。

匿名組合を活用した小口商品

航空機やヘリコプターのオペレーティングリースは上記のようにタックスプランニングに向いているのですが1点課題があり、それは機体単価の高さです。航空機の場合、数十億円することも珍しくありません。
そこで現在主流となって活用されている方法が、航空機のオペレーティングリースを「匿名組合」を通して行うスキームです。
匿名組合では営業者(匿名組合の業務を代表して行う業者)が存在し、オペレーティングリースによるタックスプランニングを希望する法人複数名を集めて出資を募り匿名組合を組織します。そして匿名組合は組合員からの出資金に金融機関からの借入金加えて航空機などを購入し、航空会社にリースします。
このように購入に必要な金額を借り入れによって減額させ、さらに複数の法人で分割するので、1組合員あたりの出資は1000万円程度で大丈夫という商品も存在します。

この例では匿名組合は減価償却を発生させつつ賃貸収入を受け取り、その賃貸収入で借入金を返済します。そして減価償却終了後に航空機を航空会社などに売却し譲渡収入を得ます。
また航空機の場合、短い期間で減価償却できるので、その期間が会計上は赤字になります。法人の匿名組合員は匿名組合から生じる損益を出資金額の範囲内で所得計算に形状が可能なため、これは法人の会計にも反映されるのです。組成のされ方によって、どのタイミングで会計上の損益を生み出すのかが異なりますが、概ね初年度に6割、2年目に4割という場合が多いようです。
※個人の匿名組合員は生じる損失をその他の損失と合算することはできません。

つまり購入初年度や2年目の収入を、その売却タイミングに繰り延べした事になるのです。

【関連記事】
退職金に関する税金の優遇措置とタックスプランニングへの利用法
減価償却を活用したタックスプランニング(法人税節税)の仕組み


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。* が付いている欄は必須項目です。
※運営者にのみメッセージを送りたい場合は、「管理者だけに表示」にチェックを入れてください。