遺言作成のすすめ④〜公正証書遺言作成の流れと注意点〜


遺産相続を巡る争いの増加や相続に関する情報の広がりにより、生前のうちに遺言を残すという人たちが増えてきました。

遺言書には、自分で作成する自筆証書遺言と、公証人に作成を依頼する公正証書遺言があります(もう1つ、ほとんど使われていませんが、秘密証書遺言という方法もあります)。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成に関与して作成するもので、公証人が内容を確認するので法的に不備により遺言書の効力がなくなってしまう心配がありませんが、自分で作成できる自筆証書遺言とは違い公証役場での手続きに手間や費用(数万円)が掛かり、家族以外の証人も2人必要になります。
公正証書遺言の作成は自分で証人を探し、公正証書役場まで出向く必要もあるため、やや敷居が高いと言えるでしょう。しかし作成を行う公証人は専門家であるためミスの可能性が低く、保管も依頼できるため偽造や遺言が見失われるような心配はいりません。また、原本は通常は公証役場で保管されます。自筆証書遺言のように遺言開封時の家庭裁判所での検認も不要です。

遺言書を残す場合には効力に問題がないようにきちんと手続きをしようという人が多いため、公正証書遺言の作成を行う人は年々増えてきています。

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公正証書遺言の特徴

公正証書遺言の特徴は、やはり自筆ではなく専門家である公証人に作成を依頼できるという所でしょう。公証人は法務大臣によって任命される公務員であり、その多くが引退した裁判官や検察官などの法律の専門家です。
公正証書遺言の作成を希望する人は、自分で選んだ2名以上の証人を伴って公証役場に行き、証人の前で公証人に希望する遺言内容を伝え、公証人がそれを遺言として作成します。公証役場は都内に45箇所ありますが、身体が不自由などの理由で出向くことができないときは別途料金で出張もしてくれます。

自分で作成する自筆証書遺言では、多くの人は法律の専門家ではないので記載時に形式ミスを起こす可能性があります。しかし公証人が作成する遺言に関してそのような心配は要りません。また公証人は経験豊富な方が多いので、遺言の内容そのものに関してもアドバイスを行ってくれます。
作成の際に遺言は原本(公証人の署名・捺印あり)、正本、謄本の3通が作成され、原本は公証役場で保管されます。正本は遺言執行者がいればその人に預けられ、謄本は本人か家族が保管します。このような体制のため偽造や紛失の心配もありません。

公正証書遺言作成の流れステップ

大まかな公正証書遺言作成の流れを見ていきましょう

Step1:原案の作成

まず遺言者自ら、遺言として残したい内容を考えます。財産の分割をどのように行って欲しいのかなど法定遺言事項や、残された親族への思いをどう言った言葉にしようかなどの付言事項の内容を考えておきましょう。

Step2:証人の選定

公正証書遺言の作成に必要な証人を2人以上を用意します。ただし、後述するように証人の選定には注意点もあります。

Step3:公証人への依頼・打ち合わせ

最寄りの公証役場に連絡し、遺言作成の希望を伝え打ち合わせの日程調整の依頼をしましょう。公証役場では相談は無料なので、この打ち合わせに費用はかかりません。自分で考えた原案を文書にして持って行き、それをベースに相談するとスムーズです。

Step4:必要書類の取り寄せ

戸籍謄本など、必要書類を用意します。相談のタイミングで公証人から用意するべき書類の指示があるので、その内容に従いましょう。

Step5:公正証書の作成

最後に証人を伴って公証役場を訪れ、公正証書遺言を作成してもらいます。遺言者が公証人と証人の前で希望する遺言内容を口頭で伝え、公証人がそれを遺言書の形にした上で読み上げます。こうして内容を確認した後に、遺言者・公証人。証人全員が署名・押印を行います。

公正証書遺言に関する注意点

公正証書作成時の注意点ですが、証人の選定や費用に関しては気をつける必要があります。
証人の選定ですが、遺言内容を死ぬまで秘匿しておきたい場合、信頼出来る人物に依頼する必要があります。また、証人が相続の関係者であったり責任能力のない方であったりした場合には証人として認められません。
具体的には未成年者や遺言者の推定相続人と受遺者、またその配偶者や直系血族、遺言作成を行う公証人の配偶者と4親等内の親族、公証役場の関係者などは証人にはなれません。

費用ですが、合計金額は概ね数万程度で10万円を超えることはほとんどありません。決して高額というほどではありませんが、手間と合わせて考えると、何度も書き直さないといけないことにならないよう、あらかじめ遺言の内容はよく吟味してから作成すると良いでしょう。

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