信頼できる税理士選びのポイント、預金調査もきちんと行ってくれる税理士か?


税務署からの税務調査やお尋ねなどを好んで受けたい人はいないでしょう。相続税の申告時において税理士を選ぶ際には、料金が安いかどうかや節税が得意かどうかいった視点も重要ですが、それ以外に、税務調査対策がきちんとしているかどうかという視点が重要です。特に相続税の税務調査で否認される件数の多いのは預金が被相続人の名義でなくても実質的な財産所有者として課税される名義預金の問題ですので、名義預金調査などは申告時点で力を入れてくれる税理士を選ぶと良いでしょう。

国税庁や税務署などの課税当局は、富裕層の課税漏れ摘発に力を入れており、実地の税務調査に着手する前に被相続人の預金の状況や親族との資金移動を調べて、怪しい部分があれば税務調査の対象となってしまうからです。

富裕層への課税を強化する国税庁

以前の日経新聞に、国税庁によって捕捉される富裕層の所得税申告漏れ件数が増加しているという記事がありました。

富裕層申告漏れ、3割増の516億円 6月までの1年で

国税庁が2015事務年度に富裕層に対して指摘した申告漏れ所得は計516億円であり、これは2014事務年度に比較して約3割の増加です。集計方法が現在の形式となった2009事務年度以降で最高の金額になっています。
これは実際に富裕層の申告漏れが増えているというわけではなく、国税庁による富裕層への監視が強化された結果と見るべきでしょう。国税庁も、「富裕層調査の専門チーム設置の効果などが一因」とコメントしています。

日本の税制は増え続ける国家債務などの問題もあって、全体としては今後ますます増税の方向に行くことが予想されています。増税時に、広く国民の理解を得るための方法の1つが富裕層に対しての課税も強化することです。そのため、富裕層への監視や課税の強化は今後も続くことが予想されます。
その監視や課税の強化は所得税・法人税だけではなく、相続税や贈与税などの資産税にも向けられているのが現状です

名義預金の摘発

名義預金とは、その預金口座の名義人と実際の所有者・管理者が異なる預金口座です。例えば祖父母や両親が、子・孫の将来のためにと本人に内緒で子・孫の名義の預金口座を作り、預金とし続けるということがありますが、相続税の世界では、このようなものは名義預金にあたり、祖父母や両親の財産として相続税の課税対象となります。名義預金にならないようにするのは、適正な贈与の手続きにより生前贈与を行う必要があります。(関連記事へのリンク)
相続税申告後に税務署により、相続発生時に、実質的な所有者は被相続人だけれども相続人の名前で作られた名義預金があったと認定された場合、その預金は被相続人の財産として相続税の追徴課税の対象となってしまうのです。

現在、税務当局によって相続税の納税後に行われる調査の際に、こうした名義預金などによる現金・預金の申告漏れの摘発が最も大きな割合を占めており、税務署などがここの摘発に力を入れていることが分かります。

なお、名義預金か否かの判定はあくまで総合判断による事実認定になりますが、判断基準には以下のような要素があります。
・通帳や印鑑の保管、他に書き換えや解約、新規設定等の手続きを名義人が行っていたか。
*届出印は名義人により別々に管理されていて、預金口座・通帳の管理は財産所有者が行わなくてはなりません
・名義人が、資産を贈与された事実を知っていたか。適正な贈与手続きにより財産が移転したものであるか
・金融機関に届けられた名義人の住所は正しいか
*もし、親や祖父母等の贈与者の住所になっていて、名義人(子や孫)がその届け出地に居住していない場合は相続税対象になりかねません。

相続税申告時に税理士の行う預金調査

税理士に依頼して相続税の申告を行う場合、きちんとした税理士であれば生前の5~7年程度の預金口座に関する調査を行い、税務調査のリスクを減らします。夫婦間や親族内で資金移動等があるものは名義預金ではないことを説明する材料をあらかじめ用意しておいたり、税務調査が来た場合に残念ながら名義預金とみなされるリスクが高いものは、延滞税や過少申告加算税が余計に掛かってしまいますし税務調査の対応の心労や費用を考えれば、相続税申告時に適正に財産の計上を行うべきでしょう。
生前に専門家にも相談しながら、期せずして名義預金にならないよう、財産の棚卸や適正な贈与手続き等を進めておくのが1番でしょう。

一般的な相続税申告の場合の税理士側の仕事の流れとしては、まず財産の状況を把握して資料収集とともに財産目録を作成します。次に相続人の方々に財産目録の内容を踏まえ誰がどの財産を相続するか遺産分割協議を行ってもらい、遺産分割協議書の作成を行い、財産目録や遺産分割の内容を踏まえた納税金額の計算と申告書類の作成をするという流れになります。
この際に、相続税の実務経験がある税理士であれば、財産目録作成のタイミングで預金通帳の履歴を確認し、特定の方への振り込みが重なっていないかなどチェックするのが通常です。資金移動を確かめるため、場合によっては相続人の通帳を求める場合もあります。
こうすることによって、名義預金と判定されかねない預金の流れの有無や、否認される振り込みがないかなどを事前にチェックしているのです。

相続税に慣れていない税理士であったり安い報酬で依頼する場合、この調査プロセスがおろそかになってしまっている可能性があるので注意した方が良いでしょう。

書面添付制度

税務調査のような煩わしいことは嫌だという場合、書面添付制度の適用をしてくれる税理士を選ぶのもポイントです。

書面添付制度とは、相続税の申告時に税理士が添付書面を作成して申告書書類と一緒に提出するというものです。この添付書類には、その相続税申告についての詳細が記載されています。この書類があることによって、税務署が相続税申告書類の中に不審点を見つけても添付書類を読んで解決すれば税務調査が行われません。また、不審点が改善されず調査が行われる場合も、まずは税理士に連絡がいきます。税理士とのやり取りで疑問が改善された場合、やはりそれ以上の調査が行われません。
書面添付の書類作成費用との見合いも考えながら、なるべく税務調査を避けたいという場合には、利用した方が良いのです。

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