もうすぐ始まる2017年確定申告、所得税計算の流れを理解(中編)


前回の記事にて、個人の所得税の計算において、所得には合算される総合課税のものと、所得ごとに個別の税率が適用される分離課税に分けられること、また所得の種類は10種類に分けられていることなどをお伝えしました。

もうすぐ始まる2017年確定申告、所得税計算の流れを理解(前編)

所得税の計算のためには、この10種類の所得のうち総合課税のグループのものを合算し、そこから各種所得控除を差し引いて課税標準(所得税計算の根拠となる金額)を求めなければなりません。

10種類の所得の分類で、多くの場合に出てくるのは、給与所得(会社員)、事業所得(個人事業主)、不動産所得(不動産投資や賃貸経営をしている家主)などになります。不動産を売却した際には譲渡所得、年金の受け取りがある場合は雑所得となります。

今回は、所得税の具体的な計算の方法や、控除内容を見ていきましょう。

所得の合算と損益通算

まず、所得の合算方法を見ていきましょう。一部の所得は合算時にその所得の赤字とその他の所得の黒字を相殺させる損益通算が可能です。しかし、対象所得の中にも損益通算が可能ではない例外もあるため注意が必要です。
給与所得、事業所得、不動産所得は、それぞれ損益通算が可能です。会社員が不動産投資をして、取得時の経費や減価償却などにより不動産所得が赤字になると、会社員の給与所得から差し引かれ、確定申告により給与所得で納めた税金の一部が還付になることがあります。これは、黒字の給与所得と赤字の不動産所得を損益通算したためと言えます。

詳しい説明をすると、その所得から生じた赤字を他の所得の黒字から損益通算することが可能な所得は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得に限定されます。これらの所得で生じた赤字はその他の総合課税の所得と損益通算が出来ます。例えば給与所得や同じ不動産所得や事業所得などから損益通算することが可能ということです。

※損益通算はあくまで総合課税のグループ内の話で、分離課税の所得で生じた赤字は、その他の所得で生じた黒字と損益通算することはできません。従って、分離課税である株式の売却損を他の所得と相殺することは出来ません。

しかし、不動産所得や譲渡所得の赤字の中には、損益通算できないものも含まれます。

不動産所得の損益通算の例外

・土地を取得するための借入金の利子
(※建物を取得するための借入金の利子は損益通算の対象になります。不動産所得が赤字になるときは、確定申告書で、『土地等を取得するために要した負債の利子の額(収支内訳書の一番下)』を差し引いた金額を第一表の不動産所得金額とします。)

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譲渡所得の損益通算の例外

・別荘やクルーザー、宝石など生活に不要な資産の譲渡で生じた損失
・土地、建物などの譲渡損失(一部例外あり)
・株式などの譲渡損失(一部例外あり)

損失の繰越控除

また青色申告者の場合に限定されますが、損益通算をした後にも損失(赤字)が残ってしまった場合、その損失は翌年以降3年間にわたって繰越して、所得から控除することが可能です。
例えば、個人事業を開始した初年度に売上があまりたたず準備の経費等で赤字になったりしてしまうこともありますが、そこで生じた赤字も繰り越しが可能になります。

また、災害や盗難などによって生じた損失も、その他の所得から控除可能なのですが、控除しきれなかった分は、青色申告者か否かに関係なく翌年から3年間にわたって繰り越しが可能です。

所得控除

総合課税の対象となる所得を合算し、総所得額を求めるのですが、総所得額からは14種類の所得控除が認められています。

基礎控除

誰にでも設定されている38万円の控除。

配偶者控除

(2017年まで)
青色事業専従者と事業専従者、そして合計所得金額が38万円よりも多い(給与収入の場合、103万円より多い)人を除いた納税者と生計を一つにしている配偶者がいる場合に受けられる控除で38万円になります。
※70歳以上の老人控除対象配偶者の場合は48万円の控除

(2018年以降:平成29年度税制改正大綱により改正)
平成29年度税制改正大綱により、2018年度以降の配偶者控除の所得が引き上げされ、配偶者特別控除(次項)が拡充されました。これにより、いわゆる「103万円の壁」が150万円になり、専業主婦のパート勤務への後押しとなる改正となっています。
平成29年度税制改正大綱のポイント
①38万円控除の対象となる配偶者の所得要件について、合計所得金額85万円以下(給与所得のみの配偶者の場合は給与収入150万円以下)に拡充
② 配偶者特別控除の拡充
② 配偶者控除の適用に本人の所得要件(上限)が設けられた

配偶者特別控除

(2017年まで)
配偶者控除の対象とはならないが、青色事業専従者と事業専従者を除いた納税者と生計を一つにしている配偶者がいて、その人物の所得が38万円超から76万円未満であり、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下の場合に受けられる控除です。
控除金額は配偶者の合計所得金額で変わりますが、3万円から38万円です。

(2018年以降:平成29年度税制改正大綱により改正)
平成29年度税制改正大綱により、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は、 38 万円超 123 万円以下(現行:38 万円超 76 万円未満)とされました。なお、現行制度と同様に、合計所得金額が 1,000 万円を超える居住者については、配偶者特別控除の適用はできないこととされています。

扶養控除

納税者本人と生計を一つにする、配偶者と青色事業専従者と事業専従者を除いた、合計所得金額が38万円よりも多い(給与収入の場合、103万円より多い)人がいたときに控除を受けられます。

控除対象扶養親族(扶養親族で16歳以上の人のこと):38万
特定扶養親族(扶養親族で19歳以上23歳未満の人のこと):63万円
老人扶養親族(扶養親族で70歳以上の人のこと):同居老親など・・・58万円、それ以外・・・48万円

障害者控除

納税者本人や、控除対象配偶者や扶養親族が障害者である場合に適用できる控除です。
一般障害者:27万年
など

寡婦(夫)控除

寡婦の場合は、その年の12月31日時点で離婚、また死別によって配偶者を失い現在も成婚していない生計を一つにする子供、もしくは扶養親族などがいる方、もしくは合計所得金額が500万円以下の女性が対象です。
また寡夫の場合は合計所得金額が500万円以下で、その年の12月31日時点で離婚、また死別によって配偶者を失い現在も成婚していない生計を一つにする子供がいる男性が対象です。

原則27万円

勤労学生控除

納税者本人が所得65万円以下の学生の場合

原則27万円

社会保険料控除

納税者本人や生計を一つにする配偶者または親族の社会保険料(国民健康保険、健康保険、国民年金、厚生年金、介護保険など)を支払った場合、その金額を全額控除可能です。
会社員が副業や不動産投資等で確定申告する場合は、源泉徴収票の社会保険料の支払額を所得控除として計上します。

生命保険料控除

一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料の支払い金額のうち、ある範囲の金額。
控除金額は最大でも12万円

地震保険料控除

支払った地震保険料は、最高でも5万円までだが、それ以内は全額控除されます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)に支払った掛金が全額控除されます。

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医療費控除

納税者本人及び生計を一つにする配偶者などの親族の医療費も所得から控除可能です。ただしその上限は200万円で、支払った医療費から健康保険や生命保険の受取金を差し引き、さらに10万円を除いた金額が控除金額になります。

雑損控除

納税者本人及び生計を一つにする配偶者などの親族の所有する生活に必要な住宅や家財、また現金などについて、盗難や災害で発生した損失の一部を控除可能です。

寄付金控除

国や地方公共団体への寄付金から2000円を差し引いた金額を控除可能です。
ふるさと納税で確定申告する場合は、この寄付金控除により計上します。

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