相続発生後の各種財産の名義変更手続きの行い方


相続が発生し、相続人の間でどのように財産を分けるかという遺産分割協議がまとまったら財産の名義変更行わなければなりません。
ただ、相続財産の名義変更はいつまでにしなければならないというルールもないため、手続きの煩雑さや日々の忙しさなどから後回しにされてしまいがちです。しばらくは問題ない場合もありますが所有者名義でない場合は後にトラブルの原因となってしまうことも多いため、早めの変更を心がけましょう。

名義変更が必要な財産

相続が発生した場合に、名義変更が必要な財産は下表のようなものがあります。もちろんこれらの財産を相続しないという場合は名義変更の手続きは必要ありません。相続財産に下記の財産が含まれているかどうかの確認用としてご利用ください。

財産の種類 手続き内容 手続き窓口 必要書類
相続人を証明する書類 遺産分割協議書
(印鑑証明書付き)
その他
預貯金 名義変更 預貯金金融機関 各金融機関所定の依頼書
通帳、証書
相続人を証明する書類
株式 名義書換え 発行会社や
証券会社など
株式名義書換請求書
株券
不動産 所有権移転登記 不動産の所在地を
管轄する登記所
(法務局)
登記申請書
被相続人の戸籍付票など
(登記事項証明書の住所と本籍地が異なる場合)
相続人の住民票
固定資産税評価証明書
借地権、借家権 名義変更 地主、家主 契約書の契約名義のみ変更
自動車 移転登記 陸運支局
または
検査登録事務所
移転登録申請書
自動車検査証
使用の本拠が変わる場合は車庫証明
ゴルフ会員権 名義書換え 所属ゴルフ場

財産ごとにどのような手続きが必要なのかも見ていきましょう。

預貯金の名義変更

銀行預金の相続では被相続人名義の口座を解約し、その残高を相続人の口座へ振り込むことになります。手続き自体は各銀行の窓口や相談コーナーで行えますが、手続きに必要な書類が多いので注意しましょう。また銀行での書類審査のために、手続きは1週間前後かかります。

手続きに必要な書類

預金名義書き換え依頼書(銀行に備え付け)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
遺産分割協議書(または遺言)
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書
被相続人の預金通帳、キャッシュカード、印鑑

株式の名義変更

株式の相続の基本は、株式を相続することになった相続人が株式の株券発行会社にそのことを伝え、名義書換の手続きを行います。
ただ、株式は大きく分けて上場株式と非上場株式があり、それぞれ具体的な手続き方法が異なります。

上場株式の場合

上場株式の相続手続きの場合、その株式が電子化済みかどうかによって手続きが少し異なります。被相続人の株式が全て電子化されており、証券口座で管理されていた場合は、その証券会社に口座の名義変更の手続きを行うことになるので銀行預金の名義変更の手続きとよく似ています(被相続人の証券口座を解約し、自分名義の口座に株式を移管することとなります)。
下記の書類を証券会社に持参し、手続きを進めてましょう。

手続きに必要な書類

相続による株券名義書換依頼書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
遺産分割協議書(または遺言)
相続人全員の印鑑証明書
相続人全員の戸籍謄本

もし被相続人が所有していた株式が電子化されていなかった場合は、手続きは少々複雑です。平成21年以降、上場企業の株券は全て電子化されており、証券保管振替機構(ほふり)がその名義人を管理しています。しかしそれ以前の電子化されていない株式を所有していた場合は、株式の電子化手続きも同時に行わなければなりません。
手続きとしてはまず株券発行会社へ問い合わせ、株主名簿管理人である信託銀行等を確認します。そして、その窓口で電子化の手続きをすることになります。

なお、相続人が証券口座を持っていなかった場合は、新しく口座開設も行う必要があります。

不動産の移転登記

不動産の移転登記は、その不動産が所在する地域を管轄する法務局(登記所)で行います。なお登記の申請には下記のような登記申請書を作成します。
自分で手続きをするのが面倒だったり分からない時は、司法書士へ依頼することになります。

登記申請書(記載事項例)

登記の目的  所有権移転
原   因  平成28年◯月◯日 相続
相 続 人  東京都◯◯区◯◯1−2−3
〇〇 太郎
TEL 03-xxxx-xxxx
添付書類   登記原因証明情報、申請書副本、住所証明書

登記識別通知書の交付を希望します。

平成28年◯月◯日申請
東京法務局◯◯出張所 御中

課税価格    金35,000,000円
登録免許税   金◯◯◯◯◯円

不動産の表示
所  在  東京都◯◯区◯◯1丁目
地  番  2−3
地  目  宅地
地  積  150平方メートル 価格 金30,000,000円

所  在  東京都◯◯区◯◯1−2−3
家屋番号  3番
種  類  居宅
構  造  木造瓦葺2階建
床 面 積  1階100平方メートル 2階70平方メートル
価格 金5,000,000円

この登記申請書は同じものを2部作り、1部を法務局への提出用、もう1部を申請書副本(申請人還付用)とします。
なお登記の審査には数日を要しますので、指定の日以降にもう一度法務局へ出向く必要があります。ここで問題なければ登記完了となり、「登記識別情報通知書」という書類が交付されます。これは大切な書類になりますので、注意して保管してください。

手続きに必要な書類

被相続人の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
被相続人の除住民票(住民票の除票)または戸籍の附票
遺産分割協議書(または遺言)
相続人全員の印鑑証明書
相続人全員の戸籍謄本
最新の固定資産評価証明書

移転登記の際の登録免許税

相続による取得であれ、購入による取得であれ、不動産の登記を行うには登録免許税が発生ます。税額は相続による取得の場合、不動産の固定資産税評価額の1000分の4となります。この税額は法定相続人以外への遺贈の場合は贈与の場合と同じ1000分の20と5倍になるので注意が必要です。納税方法は収入印紙を購入し、台紙へ貼り付けと必要書類に添えての提出になります。

このように、不動産の移転登記はご自身でも行っていただけますが、書式や必要資料を調べたり、法務局へ足を運んだり、書類に不備があるとやり直しが必要になるなど大変です。他の手続きと合わせて司法書士に依頼してしまうのも手かもしれません。

名義の変更は早めに行うことが鉄則

相続の不動産の名義変更の義務や手続き期限の定めはありませんが、故人の名義のままでいるとトラブルの元になりやすいです。土地や建物の不動産については早めに移転登記を済ませる方が良いでしょう。登記もやはり義務ではないのですが、その不動産の売却や担保設定によりローンを組んだりしたい際に、売却や担保の設定は名義人である所有者でなければできません。また名義の変更をせずに次の相続を迎えてしまった場合、相続による実際の権利者の人数が増えてしまい、事態がどんどん複雑化してしまうこともあります。

また過去には悪意を持った第三者や一部の身内が勝手に名義を変更するなどの事件も実際に発生しました。そのようなトラブルを避けるためにも、財産の分割を終え取得したら速やかに名義変更を行うことが鉄則です。
なお遺産分割協議がまとまらずに、名義変更が行えない場合、不動産については不動産の権利保全のため、話がまとまるまで一時的に相続人全員で共有登記を行うことがあります。

相続tokyoでは、このような相続手続きを依頼したり相談をしたい方へ、サポートや専門家の紹介を行っていますので、どうぞお問い合わせ下さい。(簡単な質問の回答や専門家の紹介にお金は掛かりません)

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