身体費疲労よりも怖い脳疲労の回復方法


今回は現役で活躍されているビジネスパーソンの方々の参考になる、日経ヘルス2017年4月号に掲載された東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏と関西福祉科学大学健康福祉学部学部長の倉恒弘彦氏による脳の疲労回復の記事がありましたので、本日はその内容のまとめをご紹介します。

特に、集中力を高めるためだったり、リフレッシュするために運動を始めたという方、あるいは近頃疲れやすくなったり慢性疲労に悩まされている人には特に参考になるかと思います。

疲労の原因は筋肉ではなく脳

多くの人は運動をすると身体が疲れて、勉強や仕事をすると脳が疲れると漠然と思われていますが、実はこの認識は正しいものではありません。勉強や仕事で脳が疲れるというのは間違っていないのですが、実は運動で疲れているのも脳なのです。
確かにハードな筋力トレーニングを行った場合は、筋線維自体にダメージが蓄積するため、身体も疲労します。しかし多くの人が行う運動であるジョギングやウォーキングでは筋肉はそこまで痛まず、疲れることもありません。しかし、脳への疲労は溜まるのです。

そもそも脳が疲れる、それも運動で疲れるとはどういうことなのか、ポイントは自律神経にあります。人間は運動をすると全身で使用するエネルギーを生み出すため、栄養や酸素を平常時よりもたくさん送らなければならず、呼吸が激しくなり心拍数も上がります。しかしそうした働きは意識的に行うことはなく、無意識下で行われます。特に心拍は意識してコントロールできるという人はほとんどいないでしょう。こうした無意識化の働きを制御しているのが自立神経であり、また脳内に存在し自律神経の中枢と呼ばれる視床下部や前帯状回などの部位です。
運動をすると身体の制御(呼吸、発汗、心拍など)のためにこれらの部位が活性化し、その結果としてその部位での酸素消費量が増え、その結果として疲労・老化の原因物質と呼ばれる活性酸素が生じます。

活性酸素とは酸化力が通常の酸素よりも強化された酸素の化合物であり、安静にしていても細胞の呼吸によって自然に生み出されます。そして必ずしも完全な毒物というわけではなく、酸化力が強いゆえに体内の最近などを殺す働きも持っています。しかしその量が増えすぎてしまうと、細胞を酸化、つまり錆びさせてしまいます。
そして運動によって活性化した脳内で生じた活性酸素はそのまま脳細胞や自律神経を酸化させ機能不全を引き起こし、これが疲労の正体になります。また慢性的な酸化によって細胞が壊れてしまった場合、老化の原因にもなります。

疲労蓄積の慢性化

活性酸素が発生してしまうこと自体は仕方ないのですが、怖いのはそれが蓄積し取り除かれなくなった時です。それらは慢性的な脳の疲労を引き起こし、しかも本人はそれを「脳が疲れている」とは感じずに、体が疲れていると感じてしまうため、対策もちぐはぐになってしまうのです。
そして脳の酸化が進み、慢性的な炎症を生じさせてしまうと慢性疲労症候群(通称CFS)の原因となります。

この病気は長いこと本人の性格や気力の問題とされていたやる気や元気が、実は、脳の状態異常だったということが分かったということで、画期的な発見と言われています。なお、その症状は脳のどの部位に炎症が広がっているのかによって異なります。

このレベルにまでなってしまうと、個人での努力を頑張るよりも 医療機関での受診を受け、本格的な治療を行った方が良いでしょう。まだ新しく発見された病気のため、治療法が完全に確立はされていないのですが、治療効果が出ている例もあるので根気強く取り組んだ方が良いのです。

疲労を蓄積しないために

病気というほどのレベルではない、軽度の疲労の場合は個人の努力で快活することが可能です。多くの人にとっては個人ケアをきちんと行うことが重要といえるでしょう。
個人ケアの方法は、そもそも疲労を生じさせないか、生じた疲労を取り除くかに大きく分けられます。

そもそも疲れを生まない

まず(脳の)疲れを生まないためのポイントですが、例えばノルマを決めて取り組む運動は良くありません。運動は体調に合わせて行うものなので、ノルマを決めて無理をする時点で脳に疲労を貯めてしまうのです。
またその他にもホットヨガのような行為もあまり好ましくはありません。身体を温めることに伴って発汗や心拍の上昇などが起こるので、体を動かすレベルは低くとも自律神経が活性化し活性酸素が生じやすくなります。

睡眠で疲れを取り除く

生じた活性酸素を除去するポイントですが、睡眠の質を高めていくことが重要です。そのためにも寝る前の食事や入浴、運動などはやめましょう。
また喉の周りの筋肉の衰えや脂肪の蓄積などが原因で、いびきをかいてしまっているのも好ましくありません。いびきは睡眠の質を大きく下げてしまうからです。

近年は睡眠外来を取り扱っている病院も増えているので、心配な方はそういったところへ相談に行くと良いでしょう。

睡眠外来を行っている病院

東京疲労・睡眠クリニック
日経ヘルスにも記事を寄稿される梶本修身氏が経営する病院。保険診療の対象のため、3割負担の方なら3000円以下で、自宅で1晩の睡眠の状況を測定できる機械を貸してくれます。睡眠の深さや、話題の睡眠時無呼吸の有無も調べられて良いでしょう。

AIC八重洲クリニック
八重洲にある病院で、様々な診療科目がありますが、特に睡眠時無呼吸症候群の治療に力を入れています。

睡眠総合ケアクリニック 代々木
代々木にある睡眠の専門病院で、睡眠時無呼吸症候群の他にも過眠症やナルコレプシーなどの治療も行ってくれます。

抗酸化作用のあるものを食べる

また十分な睡眠を前提とした上で、その他に抗酸化作用のる物質を食事などによって摂取することも有効です。身近なところではビタミンCやカテキンなどにも抗酸化作用があるので、意識して摂取すると良いでしょう。しかしこれらの物質は作用する時間が短いという弱点もあります。

そのため最近はイミダゾールジペプチドという物質に注目が集まってきました。これはマグロやカツオなどの大型魚、それに鶏胸肉などに多く含まれており、これらの動物が絶え間なく運動できている理由の1つと言われています。

これらの点に気をつけて生活を送ることで、疲れづらく集中力のある暮らしを営むことができるのです。


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