立地適正化計画と関東近郊都市での進行度の調べ方


アベノミクスの開始から2017年現在、不動産市場は「低金利」「相続税対策」により堅調に推移しています。
2016年初頭からの日銀のマイナス金利政策の影響で住宅ローンの金利は低水準を維持しており、マイホームの購入に関心を示している人が増えています。また、2015年相続税の基礎控除が引き下げられたこともあって、相続税対策で不動産投資を行う人も増加しました。
しかし、日本の人口は少子高齢化の影響で既に下落に転じており、このままのペースでいけば2053年には総人口は1億人を割ってしまうだろうという厚生労働省の予測も発表されています。
そうなると当然ながら、数十年という長期スパンの中で日本全体での不動産への需要は減少することとなるので、不動産市場への大きく影響を与えかねません。こうした将来不安もあって、不動産購入に対して慎重になっている人も一定数いるかもしれませんし、不動産投資家は数年~10年程度での出口を見据えている人も多いかもしれません。

このような状況の中、実際に自分や家族が利用するにしろ、賃貸に出して運用を行うにしろ、これから不動産購入を行うのであれば今まで以上に「立地」に気を配った方が良いでしょう。
不動産の価値は大部分が立地で決まってしまいます。
そして、その立地ということを考える上で今後重要になってくる視点が「立地適正化計画」です。

立地適正化計画とは?

全国的に大きな問題となっている少子高齢化ですが、今後ますますその影響は大きくなっていくだろうと言われており、行政関連でいえば特に財政への影響が大きくなってくると言われています。介護費や医療費など高齢者は社会福祉に頼る部分が大きくなりますが、これらを支えるのは現役世代であり、高齢者の人口増加に伴って全国の字自体にかかるそうした負担が大きくなってしまうのです。

また現在、日本全体で、戦後から交互経済成長きにかけて敷かれたインフラ(道路や橋、また電線や水道管・ガス管など)の更新期限を迎えています。現在と同じようなレベルでインフラ維持を行おうとした場合、ただでさえ福祉予算で財政が逼迫しているタイミングで更なる負担を強いられることになるのです。

こうした状況の中、今までのように過疎の地域も含めて全体に満遍なくインフラを敷いていくのではなく、「コンパクトな街づくり」というコンセプトのもと、個人の住宅オフィス街、公共施設や医療施設に商業施設などを一定の範囲内に収め、そのエリアに集中してインフラ投資を行っていくことが計画されており、それを立地適正化計画と言います。
物理的なインフラだけではなく、公共交通のあり方なども見直して、都市全体の構造を作り直そうというものです。端的に言えば、人口が減ってしまうので、居住・活動エリアを一部の地域に限定して限られた予算を効率的に使うにしようという計画です。
これまでの自治体などの取り組みでも、コンパクトシティというコンセプトが取り入れられている場合がありましたが、立地適正化計画は都市計画法に基づいて、「市町村マスタープラン」の一部として位置づけられており、都市全体の将来像に向けて地域や住民を誘導していくことを目指しています。
(そのため、立地適正化計画が行われる地域はほとんどこれまでの都市計画地域と重なります。)

この立地適正化計画では、自治体内のエリアを今後も住宅地として発展させていく「居住誘導区域」、また居住誘導区域の中でも特に都市機能の集中を目指す「都市機能誘導区域」、そしてそうした居住や都市機能の誘導対象とならない居住誘導区域外に切り分けていくことになります。
2017年1月現在、全国で札幌市や新潟市、また仙台市など289の自治体が計画への着手や結果の発表を行っています。そして東京都でも、日野市と福生市が取り組みを始めています。

居住誘導区域

立地適正化計画の対象となってこれまでの都市計画地域の中でも、居住に適したエリアとして居住環境の向上や公共交通の確保など、居住を誘導するための措置が講じられる地域です。
医療機関や学校などの公共施設も優先的に配置されることになります。

都市機能誘導区域

立地適正化計画の中でも特に都市機能の再生を図るための医療施設や福祉施設、また、商業施設などの立地を誘導する区域です。
都市機能誘導区域として定められるエリアでは、その認定に際して区域ごとに誘導する都市機能増進施設や、そのための事業が定められます。

居住誘導区域外

これまでの都市計画地域の中でも居住誘導区域外と定められたエリアでは、今後、インフラの投資や公共施設などの設置が行われづらくなります。
その他にも、3戸以上の住宅等の新改築や用途変更、およびそのための0.1ha以上の開発行為を行なうためには、着手30日前までに市町村長に届け出なければならなくなってしまいます。
色々と暮らしていく上で不便なことが多くなり、住む人の減少や不動産価値の下落が予想されるエリアです。

居住誘導区域外に指定された場合

既に自分の住まいや投資物件などの所有不動産がある地域が居住誘導区域外に指定されてしまったからといって、悲観することはありません。居住誘導区域外では上述のような制限もありますが、個人宅の建て替えや、所有する敷地への自宅新築などが制限されるわけではないためです。

ただ、自宅の周囲から図書館などの公共施設や医療・福祉施設、また商業施設などが移転していく可能性が高く、車を所有していて移動に負担を抱えていないという場合以外は暮らしにくくなっていく可能性は否定できません。

不動産を購入する場合は確認を

不動産仲介においては重要事項の説明が義務付けられており、立地適正化計画区域内で、居住誘導区域・都市機能誘導区域外、非常用電気等供給施設協定区域内、個別利用区内、特定用途誘導地区内のいずれかに該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「都市再生特別措置法」の項目にチェックをつけて、制限の内容を説明しなければならないとされています。
重要事項説明は、通常は契約時に受けるものであるのであるので、不動産購入の検討時点で把握しておいた方がいいかもしれませんが、立地適正化計画の進行を不動産会社の担当社員がきちんと知らなかったり、知っていてもそれを検討段階で教えてくれなかったりする場合があります。

そこで自分が不動産を購入しようと思う地域の立地適正化計画の詳細を知るためには自治体に問い合わせを行った方が良いでしょう。また、購入する予定の不動産が位置する自治体が、立地適正化計画を作成しているかについては国土交通省のHPを参照すれば分かります。
ただ、立地適正化計画は一度定められて終わりというわけではなく、その詳細は不断に見直しされるとされています。そのため一度確認しても油断することなく、常に確認を怠らない方が良いでしょう。


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