イギリスのEU離脱交渉の行方、ブレクジット騒動は無事落ち着くのか?


2016年6月23日現地時間に行われたイギリスのEU離脱交渉開始の是非を問う国民投票は、大勢の予想を裏切り僅差ではあるものの離脱派が勝利を収めました。
その結果が大方の予想から外れていたために市場も混乱し、円相場が対ドルや対ユーロで一時的に急伸し、その影響で日本時間6月24日の日本市場は前日比1286円安と暴落します。この下げ幅は、2000年4月17日以来、約16年2カ月ぶりの大きさとなりました。

その後、時間の経過とともに市場も回復し、一旦の落ち着きを見せましたが、ブレックジット=イギリスのEU離脱交渉は今年2017年から本格化してきています。2017年3月29日には、英国からEUに対して正式に離脱通知が送られました。今後は2年間を期限に離脱条件(離脱後の条件)を決めていき、2年後の2019年3月末には離脱が正式に発行していく見通しです。

この離脱交渉が今後どの様な結末を迎えるのかに世界の注目が集まっていますが、Newsweek2017年6月27日号の記事「ブレクジット大惨事の回避策」の内容を参考に、現在の状況や展開への予測についてみてみたいと思います。

イギリスのEU離脱表明の経緯

イギリスのEU離脱はどのように話が持ち上がったのか、その成り立ちから見ていきましょう。
そもそもEU=欧州連合の発足は人類史における最大の戦禍となった第二次世界大戦の最中に遡ります。第二次世界大戦以前にも、国際汎(こくさいはん)ヨーロッパ連合の形成を訴える運動はありましたが、大きな力は持ちませんでした。
しかし第二次世界大戦の悲惨な現実は、欧州統合への関心を呼び起こしていきます。戦後、超大国アメリカとソ連の間に挟まれ分裂も余儀なくされた状況は、欧州統合への機運を一層高めることとなりました。

その結果、1958年にはいくつかの団体が統合される形で、欧州連合の母体となる欧州経済共同体(European Economic Community、略称:EEC)が発足します。
その後、紆余曲折はありつつも、加盟国の増加や欧州連合条約への調印、域内関税の撤廃、欧州中央銀行の設立と単一通貨ユーロの導入などを経て、現在の様な加盟国28カ国による単一通貨(一部例外あり)や単一市場、人の自由な移動を可能にした共同体が誕生しました。

しかし理想を掲げて立ち上げられたEUも、全ての面が上手くいっているわけではありません。幾つかの問題を抱えておりその1つが域内経済格差です。1国の中で豊かな地域の税収を、そうでない地域に配分する政策は、日本でも地方交付金などの形で行われていますが、EUはその政策を連合単位で行ってきました。そのことはイギリスやドイツなど経済的に豊かな国の不満となっています。
また、EUは人の自由な移動を認めていますが、そのことが東欧など経済的に貧しい地域からのイギリスなどへ移民や出稼ぎの増加へとつながりました。域内の移動も自由がききますので、難民も一度EUに入ってしまった後は移動が行いやすくなります。その結果としてイギリスなどでは元々の現地人の雇用が奪われているなどの批判も多く、こうした声がイギリス内でEU離脱派へと膨れ上がっていき、離脱投票への進んで行ったのです。

現状はぐだぐだ?

世界的大ショックとなった英国のEU離脱投票ですが、その後の経緯は混乱していると言えそうです。
正式な離脱通知は2017年3月29日に英国からEUへ送られており、2019年3月末という離脱スケジュールも確定しています。一応、交渉期間はもう2年間延長可能となっていますが、イギリスを除く27カ国全ての同意が必要なため交渉延長は難しいでしょう。

イギリスにとっては、交渉期間の間に少しでも有利な条件を獲得しておきたいところです。しかしイギリス内でEU離脱に対しの意見は統一できていません。2017年6月上旬、EU離脱を推し進めていた保守党は(既に議会で過半数を取っていましたが)、EU離脱への弾みをつけるため解散総選挙を行いました。ところがその結果保守党は議席を減らし、単独過半数の立場も喪失してしまったのです。そのため、強固なEU離脱=ハードブレクジットに黄色信号が灯った結果となりました。

ソフトブレグジットへ落ち着く可能性

ただ、ハードブレクジットに黄信号が灯ったことは決してマイナスとも言えません。イギリスのEU離脱が比較的穏当なものに落ち着く可能性も出てきたからです。
つまり、欧州連合からは脱退するけれども条約によって関税同盟には残ったり、EUとの人の自由な往来は維持したりする可能性です。このようなソフトブレグジットに落ち着くか否かは今後のイギリスの政治動向と、EUとの交渉次第だと言えるでしょう。

イギリスにとっても貿易の維持や経済への影響を考えると、関税同盟への残留は是非とも勝ち取りたいところと言われています。しかしこの条件を飲んでもらうためには、人の自由な移動も維持せざるえないだろうと言われています。人の自由な移動が、移民や出稼ぎ労働者の流入を生んでいるため、イギリスのメイ首相に取って頭の痛い問題と言えるでしょう。

移民や出稼ぎ労働者の増加は、イギリスに限らずEU内の先進国側では頭の痛い問題ですが、例えばノルウェーなどは人の移動の自由は(当然)認めたまま、移民への社会保障給付の制限を開始しました。イギリスもその程度のレベルに落ち着く可能性は十分ありますが、21世紀の世界の在りようを占う様な事例だけに、今後も注視が必要と言えるでしょう。


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