2017年の路線価発表、2年連続の上昇で相続はどうなるか?


2017年7月3日、国税庁より2017年の路線価(財産評価基準)が発表されました。2017年の1月1日から12月31日までの間に発生した相続・遺贈、贈与に関しては、その相続税・贈与税評価の際にこの路線価が用いられることになります。

なお2017年の路線価の全国平均は昨年に比較して0.4%の上昇となり、2年連続の上昇となりました。全国の都道府県の県庁所在地における最高路線価を昨年のものと比較すると、前年よりも2都市多い27の都市で上昇しています。路線価額日本一は、32年連続で2017年もは東京・銀座の鳩居堂前となりました。1平方メートル当たりの価格は、昨年2016年度より26%上昇し4032万円となり、ついに、バブル期のピークだった3650万円を突破し、過去最高値を更新しました。
近年地価は全国的に下げ止まり、上昇傾向を続けておりそれが路線価へも反映された結果と言えるでしょう。
一方で、全国平均はあくまで一部地区の上昇が全体に反映されたもので、路線価が昨年比で上昇したのは東京都を含め13都道府県にとどまり、2県が横ばい、残りの32県は下落となりました。東京一極集中や地域間格差は広がっていると言えるでしょう。

今回の記事では、2017年の都内の主な地域の路線価や、全国的な上昇の理由などをお届けしたいと思います。

そもそも路線価とは?

まず簡単に、路線価とはどういたものなのかを振り返っておきましょう。相続税や贈与税は、取得する財産額に対して課税金額が決まりますが、土地などの不動産や非上場株式などは明確な取引相場もなく、現預金の場合と異なり客観的な価格が曖昧です。
そこで国税庁は土地の評価に関しては、財産評価基準として1㎡あたりの評価額を路線価として定めているのです。路線価は道路ごとに設定されており、その道路に面している土地に路線価は設定され、路線価×面積(㎡)がその土地の相続税評価額の基本になります。
つまり、相続財産の土地の評価額は、その土地の路線価額×面積で、その土地の形状による補正等を行って決まり、居住用や賃貸用の減額特例等を考慮し、土地に係る相続税や贈与税の財産額を算定することになります。
実際の相続税評価では、不整形池や高大地などの減額の特例も多く、単純に路線価×面積の通りの金額にならない場合もありますが、土地の相続税価格を評価する最も基本的な指標と言えるでしょう。

高まる路線価の伸び率

路線価は不動産の流通価格や公示地価などを参考とし、国税庁が定めて毎年7月初頭に発表しています。そしてその年の1月1日〜12月31日までに行われた相続・贈与でこの路線価は用いられるのですが、冒頭で述べた通り2017年に発表された路線価は、昨今の不動産価格の上昇を受けて2年連続で全国平均が上昇しました。

以下の表は日経新聞2017年7月4日の朝刊から引用した路線価の伸び率が高い上位10都市です。ただ伸びているだけではなく、伸び率も上がっていることが特徴と言えるでしょう。

  16年 17年
東京 18.7% 26.0%
京都 16.9% 20.6%
札幌 11.8% 17.9%
横浜 9.5% 15.7%
大阪 22.1% 15.7%
金沢 13.6% 14.9%
神戸 12.9% 14.3%
仙台 12.5% 14.1%
福岡 12.0% 12.5%
広島 12.2% 11.3%

以下のような理由から、不動産価格が上昇しそれに引きずられて路線価も上がっていると言われています。

物流施設の増加

三井住友トラスト基礎研究所の調べによると、敷地面積が1万㎡を超えるような大型の物流施設の新規供給は、首都圏1都4県で2016年から2019年の4年間にかけて年間200万㎡弱の水準で続いていくとされています。
こうした物流施設の増加の背景には、単身世帯の増加やネット通販(EC)の流通額の拡充があると言えるでしょう。

BtoCイーコマースの市場規模とEC化率
ec
流業界の動向を見る~前編、日本市場より引用

物流施設の増加は首都圏に限らず大消費地である大阪や、地価の安さから札幌、福岡などでも起きており、路線価上昇の要因の1つとなっています。

訪日外国人客数の増加

また、日本を訪れる外国人観光客数の増加によるホテル需要の増加も不動産価格・路線価の上昇に関係しています。
2016 年の訪日外客数は約2403万人となり、これは前年比で21.8%も増加しているのですが、さらに2012年の訪日外国人数約836万人と比較すると200%近い増加です。

こうした旅行者の急増の結果全国的にホテルの新規供給が課題となっていますが、それに合わせて供給の拡大は続いてるため、地価上昇の要因となっているのです。

オフィス需要の変化が与える影響

なお今後の不動産市場の動向ですが、2018年以降に起きるオフィスの大量供給によって、地価並びに路線価には下落圧力がかかるのではないかと言われています。例えば2018年に行われるオフィスビルの新規供給床面積は約60万㎡と2017年の約20万㎡のおよそ3倍とされています。

地価にはその他にも多くの要因が関連するため、断言はできませんが、オフィスの供給増加は家賃相場の下落につながる可能性が高いので、地価にも影響を与える可能性が高いのです。

東京都内主要地域の路線価

ここからは都内の主な地域の路線価を見ていきましょう。

銀座・日本橋エリア

銀座は日本で最も路線価の高い地域ですが、最高は中央区銀座5丁目銀座中央通りの4,032万円でバブル期を超えました。
もちろん主要通り沿いでなければそこまで高くはならないのですが、裏路地であっても200万円〜1,000万円と高額です。
銀座の地価が高騰した最大の要因は相次ぐ再開発で、2017年4月に開業した「GINZA SIX(ギンザシックス)」、2016年3月に東急プラザ銀座、同年9月には銀座プレイスと、次々と大型商業施設が誕生しています。
また日本橋界隈は、主要通り沿いで1,000万円前後、裏路地では200万円〜400万円ほどになります。
バブル期を超えた東京の地価は今後も上がり続けるのか、という点について、東洋経済オンラインの記事でみずほ証券の石澤卓志上級研究員は「銀座は出来すぎの部分があり上昇率は縮むだろうが、下落には至らない。かつてのバブル経済期は需要を無視して転売を狙った取引が多かったのに対し、今は実需に基づいた投資が中心で、大きく崩れる可能性は少ない」とコメントしています。

丸の内・大手町

丸の内は主要通り沿いで2,000万円前後が多くなります。また大手町は1,000万円〜2,000万円ほどになります。

神田・御茶ノ水

神田や御茶ノ水は、裏路地であれば30万円〜50万円ほど、少し大きめの通りで100万円前後となり、靖国通り沿いなどでは300万円前後となります。

上野・秋葉原

秋葉原は駅周辺が30万円〜100万円前後、上野は中央通り沿いなどは500万円前後となりますが、他は30万円〜100万円前後となります。

浅草

浅草近辺は大きい通りで100万円前後、そうでなければ50万円前後です。外国人環境客の増加もあって、若干上がっています。

六本木

六本木は通り沿いが500万円前後、そうでなければ100万円〜200万円ほどになります。最高価格が異常に高いわけではありませんが、安いところとの価格差が少ないのが特長です。

新宿・池袋

新宿は駅近くが1,000万円前後しますが、少し離れて都庁近辺は500万円前後、また東口側も駅から離れると100万円〜200万円というところが多くなります。
一方池袋は駅近くでも800万円弱、少し離れると100万円以下も多くなります。

渋谷・原宿・表参道

渋谷は駅周辺が1,000万円〜1,500万円、ただし少し離れると100万円前後という地域が多くなります。また表参道は1,000万円〜1,500万円原宿は駅近辺で500万円前後ですが、通りから少し離れますと100万円〜200万円ほどに落ち着きます。

相続対策を考えるスタートに、ご自身が持っている不動産の相続税評価額を把握されておくと良いでしょう。
相続tokyoでも、相続税の試算や相続税申告、資産管理のプランニングのサポートを行っております。

以上、2017年発表の路線価の概要をお届けしました。

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