不動産投資で覚えておきたい指標の意味


サラリーマン等に不動産投資は一定のニーズがあり、年金不安等を背景に注目度が上がっています。週刊ダイヤモンドや東洋経済などの経済誌でも特集記事がよく組まれています。不動産投資を行う場合、信頼出来る不動産屋さんを見つけ基本的な部分は不動産業者にお願いするという人と、基本知識は自分で全て身につけて自分自身で判断をしていく人に分かれると言えるでしょう。

どちらが成功しやすいかということは一概には言えません。ただ、どちらのパターンであっても基礎知識までは習得しておいた方が良いと思います。不動産業者にお願いする場合であっても自身が適切な判断を出来ないと業者の良し悪しが分かりませんし、失敗の元になりやすくなります。そこで今回は、不動産投資を行う上で事前に知っておいた方が何かと便利な指標の意味を一通りまとめてみました。指標の計算式に沿った自分でのシミュレーションや、不動産屋さんの話をより深く理解するのに役立てていただければと思います。

また、不動産投資を検討する際には、リスク要因も折り込み、将来の賃料・空室率・借入返済元利・経費・税金などを考慮したキャッシュフローを作って検討した方がいいですが、これらも学んでいった方がいいでしょう。

不動産投資で重要な各種指標

不動産投資を行う際に押さえておきたい指標にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

GPI:総潜在収入

GPIはGross Potential Incomeの略で、総潜在収入という意味になります。計算方法は簡単で、月間賃料収入×12ヶ月分、つまり空室なしで満室かつ家賃の滞納も無い場合の年間家賃収入額になります。

その物件の潜在的な”売り上げ”がいくらになるのかというとても重要な指標です。ただ、すでに入居者がいたり周辺相場が明確だったりという理由で現実的な数字が分かればいいのですが、不動産業者によっては現実には入居者がつかないだろう家賃でGPIを計算して出してくることもあるので注意が必要です。

月間賃料収入×12ヶ月分を物件価格で割った利回りを表面利回りと言いますが、ほとんどの不動産業者はこの表面利回りを「投資利回り」と言いますが、諸経費や借入返済を考慮して手元に残る現金などを検討しないと失敗を招きやすくなりますので気を付けましょう。

OPEX:運営費

OPEXはOperating Expensesの略で運営費という意味になります。不動産賃貸は事業としてみたときに、仕入れや人件費の無いビジネスに思えるかもしれませんが、管理費をはじめ、損害保険料、共用部分の光熱費など費用が発生します。また固定資産税や都市計画税も毎年掛かります。
こうした諸所の運営上の支出がOPEXにあたります。

NOI:純収益

Net Operating Incomeの略で、純収益という意味になり、求め方はGPI(総潜在収入)−OPEX(運営費)となります。
満室を想定した賃料収入から、各種税金や管理費などを差し引いたものとご理解いただければ良いでしょう。GPIよりもより現実的な収益指標と言えます。

EGI:実行総収入

Effective Gross Incomeの略で実行総収入という意味になり、GPI(潜在総収入)から空室や未納分の損失を差し引き、そこに駐車場等の収益も加えた数字になります。

ADS:年間元利金返済額

Annual Debt Serviceの略で、年間のローン返済額になります。元金返済と利息返済の合計になります。
賃貸収入と借入の元金返済と利息返済の合計の割合を見ておくことは重要で、あまりにローン返済額の比率が高いと空室時にキャッシュアウトの状況が出やすくなりますので、注意が必要です。

BTCF:税引き前キャッシュフロー

Before-Tax Cash Flowの略で、税引き前キャッシュフローという意味になり、GPI(実行総収益)−OPEX(運営費)−ADS(年間元利金返済額)という計算式にて求めます。
年間賃料収入から運営費と返済を差し引いたものとご理解ください。

ATCF:税引き後キャッシュフロー

After-Tax Cash Flowの略で税引き後キャッシュフローという意味になります。BTCFからさらに税金を引いたものになり、これがマイナスだと資金がどんどん出て行くので、不動産の経営が苦しくなります。

FCR:総収益率

Free and Clear Returnの略で、総収益率という意味になります。
物件価格に加えて、不動産購入に関する各種費用(印紙代や不動産取得費、不動産屋に支払う手数料)を加えた不動産の購入費(初期費用)に対する、NOI(純収益)の利回りです。
NOI(純収益)÷不動産購入費(=物件価格+取得費用)で計算します。

CCR:自己資本配当率

Cash on Cash Returnの略で、自己資本配当率という意味になります。
ATCF(税引き後キャッシュフロー)÷自己資金額(=物件価格+取得費用−借入額)で計算します。

ROI:投資利益率

Return on Investmentの略で、自己資本に対するリターンではなく、借入も加えた資産全体に対しての収益率の計算です。
ATCF(税引き後キャッシュフロー)÷不動産購入費(=物件価格+取得費用)で計算します。

PB:資金回収期間

Payback Periodの略で、投資した自己資本金を回収するのに何年かかるかという意味になります。
自己資本金÷ATCF(税引き後キャッシュフロー)で計算します。

BER:損益分岐入居率

Break Even Rateの略で損益分岐入居率という意味であり、満室を想定した物件の総潜在収入に対する運営費(OPEX)とローン返済額ADSの割合を示す指標です。
これは同時に、空室率が何%までなら耐えられるか?を示す指標ともなります。

キャッシュフローツリーでの整理

上記に記載されている指標がどのような関係性になっているのか、全てを含めているわけではありませんが、大村昌慶著 不動産投資の嘘の中にキャッシュフローの計算や各指標の関係性をわかりやすくまとめた計算図があったので引用します。

GPI(満室賃料)
−空室・未回収損


=EGI(実行総収入)
−OPEX(運営費)
=NOI(営業純利益)
−ADS(年間ローン返済額)
=BTCF(税引き前キャッシュフロー)
−税金(※)
=ATCF(税引き後キャッシュフロー)
※税金の計算
NOI(純収益)
−金利
−減価償却
=課税所得
×実行税率
=TAX(税金)

デットクロスにご用心

こうした指標や関係図に関連して、不動産投資ではぜひ押えておいただきたいデットクロスの概念についてもここで簡単にお伝えします。
デットクロスとは端的に言えば、減価償却費がローンの元金返済金額よりも小さくなってしまう現象です。税金の計算の際に、減価償却費は売り上げ(家賃収入)から控除されますが、元金返済額は控除の対象となりません(利息は控除の対象となります)。そのため、減価償却費がローンの元金返済金額よりも小さくなってしまうと、手元に実際に入る(残る)お金よりも会計上の収入が大きくなってしまい、その分、税金の負担が大きくなってしまうのです。
場合によっては会計上の黒字金額以上の税額が課される場合もあります。

デットクロスは事前に到来のタイミングを予測し、しっかりとした資金計画を有していたり、あるいは適切なタイミングで物件を売却したりするなどすれば対処可能です。しかし何の計画もなかったり、家賃収入を過剰に大きく見積もったり、空室リスクを過小評価したりして不動産投資を始めてしまうと収益上パンクしてしまう危険性が増大します。

これらの指標は絶対指標はなく、総合的に各種指標を見ながら物件の良し悪しを評価するものだったり、自分なりの基準を作っておくことが重要でしょう。
数字だけを見ていてもいけません。指標の持つ意味合いも1つ1つきちんと理解し、注意して取り組みましょう。

※今回の記事は下記の2つの本の内容も参考にしました。合わせてご参照下さい。
上場企業エリート社員のための最強の不動産投資 /森田潤 羽藤将志 著
不動産投資の嘘 /大村昌慶著


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