インバウンドとインフラ開発で地方の地価も上昇中


近年、アベノミクスによる景況の回復や東京オリンピックの期待効果、また訪日外国人観光客の増加などを背景に、都内では地価の上昇が続いて話題になっています。特に商業地はその傾向が顕著であり、国土交通省がまとめた2017年の地価調査(7月1日段階)では、昨年に比較して3.3%ものプラスとなりました。
そして現在、この地価の上昇は訪日外国人客数の増加と中央リニア新幹線の開通(とそのインフラ工事)などを特に大きな要因として、地方を含めて全国に広がっています。

今回の記事では、全国的に起きている地価の上昇について、地域ごとに商業地に注目してその傾向をお伝えします。

地価の上昇要因

2012年末に政権交代が行われ安部政権が誕生して以降、日銀による量的緩和などの金融政策や財政出動などのアベノミクスの効果、また2012年末に行われたECB(欧州中央銀行)の大規模な金融緩和による欧州金融不安のリスク低下によるユーロ高由来の円安によって日本は景気回復気に入り株価が上昇しました。そして2013年夏には2020年東京オリンピック開催が決まり、一気に地価の上昇が進みます。
また、一時期に比較して円安傾向が進んだことや、中国をはじめとしたアジア諸国の経済発展により、日本を訪れる外国人観光客も大幅に増加しました。

不動産の地価の底堅さは、金融緩和により金利が低く抑えられ、銀行の貸し出し金利が不動産へ向かっていることが大きな要因でしょう。
不動産プチバブルを懸念する声も出てきていますが、この地価の増加傾向は2017年現在も続いています。金融緩和だけではなく、2017年9月20日に行われた官公庁の記者会見では、2017年は9月15日段階で訪日外国人数が2000万人を突破しており、過去最高のペースであることが発表されました。年内に3000万人突破が期待されています。こうした訪日外国人の増加は、宿泊施設の需要増加や、商業地の活性化を牽引しており、地価上昇の一因となっています。ほかに、2027年開通予定の中央リニア新幹線をはじめ、各地でインフラ工事が盛んに行われ都市開発が進んでいることも地価上昇に一役買っているといえるでしょう。

日本各地の商業地の地価上昇状況

現在の地価の上昇状況は、都内に限定されているわけではないということも特長です。確かに地方の過疎地などは継続的に地価が下がっていますし、長期的に人口が減少していく日本において、大幅なインフレでもない限り全国的に土地価格が一斉に値上がりするようなことは起きないでしょう。
しかし、地方でも観光地や主要都市などは外国人観光客数増加の影響や、インフラ開発などの影響で地価の上昇が起きています。

各地域の具体的な状況を見ていきましょう。

首都圏の商業地

まず首都圏の商業地の地価は継続的に上昇しており、東京都の場合国土交通省の調査では、昨年比で3.3%の上昇と発表されました。特に23区内に絞れば5.9%と大幅な上昇を遂げています。昨年の東京都の上昇率が2.7%だったことを踏まえると大変好調と言えるでしょう。
特に渋谷区(上昇率8.6%)や中央区・杉並区(共に上昇率8.0%)などが好調です。

また東京都以外でも例えば千葉県北西部の市川市などで4.5%、鎌ヶ谷市で6.0%の上昇を遂げており、広く好調な地域が目立ちます。

名古屋圏の商業地

トヨタ自動車をはじめとして大企業も多く中部経済圏を形成している名古屋圏の商業地の状況も見ていきましょう。名古屋圏では商業地が昨年比で2.6%上昇しており、特に名古屋市内は2.7%と大幅な上昇を遂げています。

名古屋駅は2027年に開業予定の中央リニア新幹線の停車駅でもあり、その関連開発の影響も目立ちます。
名古屋駅近辺はここ数年大型ビルが増加し、オフィス人口も増加しました。そのため飲食店なども増加しており、そうしたことも地価上昇の要因となっています。

大阪圏

大阪圏は商業地である大阪・神戸とともに観光地として国内外に知名度と人気を誇る京都を抱えており、商業地の地価が大きく上昇しています。特に京都市は外国人観光客の増加が大きく影響し、10.3%も上昇しました(京都府全体でも5.7%で全国1位)。人気観光スポットの伏見稲荷大社近の商業地などは、29.6%も上昇しています。

京都以外にも大阪なども外国人観光客に人気があって商業地の地価上昇が続いています。その他の目立つ変化として、兵庫県の商業地も0.2%上昇し、10年ぶりのプラスとなりました。

福岡圏

九州経済の中心である福岡圏の商業地地価も好調です。特に福岡市はオフィス需要と観光需要共に増加しており、商業地の地価は9.6%も上昇しました。特にオフィス需要はまだまだ強く、2017年8月段階のオフィス空室率は3.21%と不足感が大きい状況です。
またこうした中心地の状況は周辺の市町村にも波及してきており、商業地の地価が上昇した福岡県内の市町村は昨年の14から、19に増加しました。

その他地方圏

最後に全国的なその他の地方圏の商業地の地価動向を見てみましょう。
地方圏全体としてですが、昨年は下落率が1.1%だったのが、今年は下落率0.6%とやや下げ止まっています。上昇地点数も昨年の2016から2423に上昇しており、全国的に好況感が出始めているといえるでしょう。

特に札幌・仙台・広島・福岡の上昇が大きく、地域によっては三大都市圏の上昇を上回っています。ただ、地域によっては例えば沖縄県久米島町の商業地などは9.8%も下落しており、地域による差が開いてきていると言えるでしょう。

今後もし商業地への不動産投資などを行うのであれば、今後も人口集積が続きそうかどうかや、観光客の人気を維持できそうかどうかなど、よく分析するべきと言えます。

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