ビットコインの利益は雑所得による確定申告が必要。計算方法や税率は?節税の方法はあるのか?


ビットコインはじめ仮装通貨の2017年の価格急騰に伴い、実際にビットコインへの投資によって利益を収めたという人も多いでしょう。ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、リップル(Ripple)等の仮装通貨の売買で利益を上げた場合、個人として行ったと売買利益には所得税という税金が掛かります。
どのように確定申告をすればいいか分からなくて心配な人も多いでしょう。

しかし、国税庁から「雑所得」の区分で申告をするように公式見解が出ていますし、平成29年12月1日付で国税庁より「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」という情報(FAQ)も発信されています。

そこで今回の記事では、こうした参考情報をもとに、ビットコイン等の仮装通貨の売買によって生じた収益に関しての確定申告についてお届けします。

1.ビットコインの税申告の概要

ビットコイン等の仮装通貨の売買で生じた利益を集計し、確定申告で雑所得の区分に計上し、利益を上げた翌年の2/16~3/15の間に納税と確定申告書を税務署へ提出する必要があります。年末の時点で売却して実現益を出していない含み益の状態ではまだ課税はありません。ただ、ビットコインでビックカメラ等で買い物などの商品等購入の決済に使用したり、ビットコインでイーサリアムを買うなどといった仮想通貨と仮想通貨の交換を行った場合は、買い物や交換等の時点でのビットコイン価格で課税が発生しますので気を付けましょう。

「雑所得」は総合課税という区分で、給与・不動産・事業所得等との合算で課税になります(下記詳述)。雑所得が赤字の場合に給与・不動産・事業所得等とは相殺できませんし、損失の繰越も出来ません。利益が大きいと総合課税での超過累進税率が適用され、住民税と合わせ最大で利益の55%が課税されることになります。
ビットコインは大きな注目を浴びていますので、税務当局は主要取引所から取引記録を収集し、多額の利益を稼いでいる無申告者には2017年度の申告期限後に税務署からの連絡が順次いくことがほぼ確実に予想されます。
かつてFXでも無申告で8億円稼いだ主婦の池辺雪子さんが逮捕されてしまうというニュースが世間を騒がせました。仮装通貨の利益でも同様のニュースが2018年以降で出て来るのだろうと思われます・・。

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bitflyer(2017/12/5時点)より)

2.課税対象としてのビットコイン

ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、リップル(Ripple)をはじめとした仮想通貨の財産としての扱い、法的地位は国や地域によって異なります。
日本における仮想通貨の取り扱いですが、2016年の資金決済法改正によって、アメリカと同様、通貨では無いが貴金属のような課税対象資産と位置付けられています。
公的に仮想通貨の利用を認めている国もあれば、その利用を禁止している国も存在します。例えば中国人民銀行は、2014年の段階で中国国内の金融機関によるビットコインの取り扱いを禁止しました。
一方で同じく2014年には、アメリカ合衆国はビットコインを通貨ではないが、税制上の資産として扱うことを決定しています。

日本の所得税で、個人が仮装通貨で上げた利益は金地金(金の延べ棒のイメージ)と同様の譲渡所得なのか、為替差益と同様の雑所得なのかというのは明らかでありませんでしたが、2017年9月に国税庁が正式にタックスアンサーでホームページ上に雑所得とする見解を出しました。
「ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。」
(No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係)

また、平成29年12月1日付で国税庁より「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」というFAQも公開されています。内容としては既存の税法ルールに基づく確認の範囲内ですが、広く所得計算の方法等を周知する目的と思われ、国税庁の関心の高さが窺えます。

3.ビットコインの確定申告は雑所得

ビットコインなどの仮想通貨が課税対象の資産となったため、仮装通貨という資産による収益は確定申告を行って所得税を納めなければなりません。
課税が発生するタイミングについては、ビットコインを購入した時点や、購入したビットコインが値上がりしたタイミング(含み益の時点)では課税されません。値上がりしたビットコインを日本円などに転換し、利益が確定した時に課税対象となります。あるいは、ビットコインはビックカメラ等の一部店舗で買い物に使えますが、買い物に使った時点で使用したビットコイン分が課税対象になります。また、ビットコインでイーサリアムやリップルを購入したといったような、仮装通貨間の交換も、ビットコインを使用したことになりますので、交換時点での時価で利益が確定し、課税が発生することになります。
利益が確定した年の翌年の2月16日から3月15日の確定申告期限内に税務署へ確定申告書を提出し、納税と確定申告を行わなければなりません。

3-1.ビットコインが事業所得になる場合

ビットコインの確定申告は原則として雑所得の所得区分だとおつたえしました。しかし事業としてビットコインを決済手段として使用しているような場合は事業所得、個人の資産運用としてビットコインの売買を行っている場合は雑所得に分類されると考えられます。
確定申告を行うには対象となる所得を判定しなければなりませんが、ほとんどの人のビットコインの売買利益は雑所得になると思っていただいて大丈夫です。
実は、事業所得とすると給与所得等との損益通算(赤字の場合の相殺)、純損失の3年繰越・繰り戻し、青色申告特別控除(10万円又は65万円)などが使えますが、雑所得ではこれらの特典が活用出来ません。つまり、雑所得は損益通算が出来ませんので損失を出して赤字になっても給与等の所得との相殺も出来ませんし、赤字を繰り越すことも出来ませんので損失を出した翌年に利益が出ても翌年の利益と前年の損失は相殺が出来ません。雑所得内でのみ損益通算が可能ですので、例えば、同じ雑所得に区分される外貨建定期預金の損失とビットコインの利益とは通算(相殺)が出来ます。
そのため、事業所得とする方が節税の観点やタックスプランニング上は有利になり得ます。例えば、事業所得者がビジネス上の取引の決済手段として使用している場合には事業所得に含まれると考えられます。

平成29年12月付国税庁のFAQでは、以下のように一般論の範囲内での解説がされています。

ビットコインをはじめとする仮想通貨を使用することによる損益は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されることとしていますが、例えば、事業所得者が、事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段として使用している場合、その使用により生じた損益については、事業に付随して生じた所得と考えられますので、その所得区分は事業所得となります。
このほか、例えば、その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にも、その所得区分は事業所得となります。(p4)

ビットコインの売買自体を「事業」だと言えるかどうかですが、事業所得に当たるかどうかについて税法による定義上は「対価を得て継続的に行う事業」とされているのみです。ただ、判例等では、労力の程度や生活状況、人的・物的設備の有無等を総合判断とされています。イメージとしては仮装通貨の売買が本業で安定収入を上げそれで暮らしているような限定的な場合のみ事業所得になると考えられます(*1)。
(*1) FX取引の裁決(平成22年2月16日)では、事業として社会的客観性が認められるには、 相当程度安定した収益を得られる可能性がなくてはならないとされ、取引回数1,400回、取引額1.3億円、1日に費やす時間も15時間であるから事業所得とすべきと納税者が主張した事案で、「対価を得て継続的に行う事業」ではないとされています。投機性が高く継続的に相当程度安定した収入が得られる可能性が乏しく、本来事業にはなじみにくいという判断が下っています。

事業所得とするべきか雑所得とするべきかについては、会社員の副業でも同様の論点があります。雑所得とすることにより事業所得の方が有利であるため副業を事業所得で申告している人も多いかと思いますが、本来は相応の労力等を副業に投じていない限り、多くの場合は雑所得に当たる可能性が高いと思われます。(副業を事業所得で申告していても副業の収入が少額の場合には税務調査が入らない可能性が高いため問題になっていないというケースが多いと思われます)

3-2.ビットコインの証拠金取引に関する税金

ビットコインもビットコインFXのような証拠金取引が出来ます。国税庁のFAQでは、これについて外国為替証拠金取引(いわゆるFX)と同様に申告分離課税制度の対象となりますかという問いを設け(p5)、「仮想通貨の証拠金取引による所得については、申告分離課税の適用はありませんので、総合課税により申告していただくことになります」と回答がされていますので、20%課税ではなく最大55%の総合課税が適用されます。

FXの税制も、当初は総合課税だったのが、平成24年以降は「先物取引に係る雑所得等」という区分が整備され、分離課税と同様の20%の課税になった経緯があります。仮装通貨においても、税制が市場の発展を阻害しないようこのような税制の枠組みを整備する声が出ています。

消費税の取り扱いについては、ビットコインを事業で使用する課税事業者(消費税の納税をする事業者)などでない一般個人の売買では関係ないと思って差し障りありません。
*消費税については、2017年7月1日以後に仮想通貨を譲渡した場合は、有価証券などと同様に非課税売上に該当します。一方、仮想通貨を購入した場合は、非課税仕入になり消費税の納税額の計算においては何の影響もないことになります。また、経過措置として、2017年6月30日までに仮想通貨を購入すれば消費税の課税仕入れに該当し、その課税仕入れとなった仮想通貨を2017年7月1日以後に譲渡すれば非課税売上になります。

4.雑所得の場合の税率

ビットコインの取引の利益は所得税上は雑所得になると説明しました。
雑所得とは、所得税という税制の分類上はその他の給与所得や配当所得、利子所得など9種類の所得のどれにも該当しない所得ということであり、総合課税として超過累進税率が適用されます。
超過累進税率とは、下表のテーブルの通り、所得が高くなる部分に順次高い税率が課せられるということになります。所得300万円であるとすると、194万9千円までの部分は5%が適用され、195万円から300万円まで部分について10%の税率が適用されます。計算時は、300万円×10% – 9万7500円(控除額に記載の金額)という計算をすると、所得に税率を掛けた後に控除額の金額を引くと超過累進税率が適用されるように計算されます。
住民税は別途、所得に一律10%が掛かります。

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上表をご覧いただくと分かるように、1800万円以上の所得では、住民税と合わせて50%として利益の半分が課税されてしまうことになります。年収2000万円を超えるような経営者や医師、外資系や大企業等のエグゼクティブクラスの会社員などの皆さんがビットコインで上げた利益は半分税金で持って行かれるということになります。このような方々には、資産管理会社設立したり法人化を検討していく方などが今後は増えていくでしょう(所得税率の高い部分の税率>法人税率や、法人では全ての損益計算を合算のメリット等があるため)。
株式投資や現行FXの税制は利益に対して分離課税の20%(所得税15%+住民税5%。復興所得税も込みで20.315%)の課税になるので、ビットコイン等の仮装通貨の売買利益は税制上は個人に優しくないと言えます。ビットコインで得た利益は、株式投資や投資信託の購入とは違うことを覚えておきましょう。他の所得(給与所得や事業所得など)と合算した上での課税なので、適用税率の高い高所得者は思った以上に高額な税金が取られてしまう場合もありえます。

なお雑所得には特別控除がありませんが、雑所得が20万円以下であると、確定申告の義務や所得税の納税義務はありませんので、確定申告は不要です。年末調整で所得税計算が完結している会社員で、ビットコインの利益が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です。
ただ、他の理由で確定申告が必要な項目があり確定申告をする場合は20万円以下の所得も申告に含める必要があります。また、住民税は所得20万円以下でも納税不要というルールはなく、住民税は納付義務があります。

5.ビットコインの売買損益の具体的な計算方法例

ビットコインの売買での損益の計算は以下のように行われます。
ビットコインの売却益=雑所得=売却価格-{取得代金(=売却原価)+譲渡費用(手数料等) }-必要経費
(ビットコインの売却益+その他の雑所得や総合課税の所得)×適用税率}-税額控除=所得税額となります。

ここで、売却した収入分の売却原価を計算する必要がありますが、取引量が多いと売却原価の計算に手間が掛かることが予想されます。
株式等の売買は証券会社の「特定口座」であれば年間所得の集計表(年間取引報告書)が出されますので、年間取引報告書の記載金額を申告書に記載するだけですが、仮装通貨の場合は、ビットフライヤーやコインチェック等の仮装通貨取引所のログイン画面から取引履歴のデータを取り出して自分で損益計算をしなくてはなりません。(仮装通貨取引所が顧客の利便性向上に確定申告の計算をどこまでシステム対応してくれるかにもよりますが)

売却した収入は売却単価×売却数量で売却収入を仮装通貨の種類別に合算すれば計算できます。買い物の決済等で使用した場合も売却と同様に集計します。
売却原価の単価×売却数量で、雑所得の計算の「取得代金(売却原価)」になります。複数回の異なる仮装通貨の購入をしていると、売却原価の単価計算を行う必要があります。
売却原価の単価計算の方法は、先入先出法、後入先出法、移動平均法、総平均法などが考えられますが、国税庁のFAQでは、「同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です(ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えありません。)」(p3)とされています。
ここで、移動平均法か総平均法のどちらが有利かについては、全てのビットコインの売買を完了した時点での前年度のトータルでの損益は変わりませんが、2017年のように右肩上がりの場合には、総平均法の方が後から買った高い単価が反映され2017年の単年度の損益計算には有利になりやすくなります(以下で詳述)。また、年に一度損益計算をするのであれば(個人の所得税の計算は年に一度行えば十分でしょうが)、移動平均法よりも総平均法の方が計算が簡単です。なお、「継続して適用することを要件」とは、2017年に総平均法を使用したら、2018年以降も総平均法を継続して使用して下さいね、年毎に有利になる計算方法をしてはダメですよ、という意味です。

移動平均法と総平均法の計算方法を簡単に示すと以下のようになります。(計算は手数料込みという前提とします)
1/10 1ビットコイン購入 単価10万円 (1×10万円=10万円)
7/10 3ビットコイン購入 単価30万円 (3×30万円=90万円)
→累計4ビットコイン購入 購入総額100万円
この時点での購入単価は購入額100万÷4ビットコインですから、@25万円になります。
11/24 2ビットコイン売却 単価90万円 (売却収入2×90万円=180万円)
11/27 1ビットコイン購入 単価100万円 (1×100万円=100万円)

5-1.移動平均法での計算

移動平均法は、売却時点においてそれまでに購入した「都度」、その時点での平均単価を用います。
この場合、7/10の購入時点での平均購入単価(@25万円)により売却原価(取得代金)を計算します。
売却収入 180万円 - 取得代金 50万円(=2×25万円)=雑所得130万円
この雑所得130万円が課税対象になり、確定申告します。給与等の所得が2千万円程度で所得税率40%の所得の人は、130万円×40%=52万円と復興特別所得税の10,900円(52万円×2.1%、100円未満切り捨て)の計53万900円を3月15日の確定申告期限までに納付と税務署へ確定申告書を提出する必要があります。

*平成25年から平成49年までの間は、東日本大震災からの復興財源の確保を目的とした「復興特別所得税」を差引所得税額(基準所得税額)×2.1%だけ所得税と併せて納める義務があります。
また、11/27の購入時点では、11/24で残っている2ビットコイン(@25万円)と11/27に購入した1ビットコイン@100万円の平均単価として、150万円(2×25万円+1×100万円)を3ビットコインで割った@50万円が購入単価になります。移動平均法では、このように購入の都度、購入単価を計算し直す必要があります。

住民税13万円は後日納付します。自分で納付か給与等の控除計算から差し引きで納付するかは確定申告時に選択できます。

5-2.総平均法での計算

総平均法では、1年間に取得したビットコインの取得価額の総額から1年間に取得したビットコインの数量を割って売却単価を計算します。
この場合、1/10、7/10、11/27の購入金額合計200万円を、1/10、7/10、11/27の購入数量合計5ビットコインで割った、1ビットコイン当り40万円(200万円÷5ビットコイン)で売却単価が計算されます。
売却収入 180万円 - 取得代金 80万円(=2×40万円)=雑所得100万円
この雑所得100万円が課税対象になり、確定申告します。給与等の所得が2千万円程度で所得税率40%の所得の人は、100万円×40%=40万円と復興特別所得税の8,400円(40万円×2.1%、100円未満切り捨て)の計40万8400円を3月15日の確定申告期限までに納付と税務署へ確定申告書を提出する必要があります。
住民税10万円は後日納付します。自分で納付か給与等の控除計算から差し引きで納付するかは確定申告時に選択できます。

繰り返しますが、全ての年分を通じると移動平均法と総平均法で損得はありませんが、上記計算例のように、2017年度は右肩上がりの相場でしたので後の日付で買ったビットコインほど購入単価が高くなりやすいので2017年度単年度だけを考えれば総平均法が有利になりやすく、また、購入の都度単価計算を変更しなくていいため総平均法の方が計算が簡単です。2017年に総平均法で計算したら、2018年以降も総平均法で計算する必要があります。

5-3.分裂(ハードフォーク)や採掘(マイニング)よる取得

なお、ビットコイン(BTC)は幾度にわたり分裂(ハードフォーク)し、ビットコイン保有者にビットコイン・キャッシュ(BCC)、ビットコイン・ゴールド(BTG)、ビットコイン・ダイヤモンド等が割り当てられていることがあります。ビットコイン・キャッシュ等の新たな仮装通貨の取得分は取得価額を0円として計算するよう国税庁FAQで明記されています(p4)。つまり、ビットコインを持っていてビットコイン・キャッシュ(BCC)を割り当てられた人がビットコイン・キャッシュを売却したら、売却額がそのまま所得になるということになります。

また、いわゆる「マイニング」(採掘)などにより仮想通貨を取得した場合、その所得(取得した仮想通貨の取得時点での時価-必要経費)は事業所得又は雑所得の対象になると国税庁FAQで明記されています(p6)。

6.ビットコインの売買損益に掛かった「必要経費」はどこまで控除できるのか?

雑所得の所得計算では、ビットコインの原価としてビットコインの購入原価の他、その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額の必要経費の算入が認められています。
国税庁タックスアンサー「No.2210 やさしい必要経費の知識」より
「事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」

この経費計上の範囲は絶対的な明確なルールがなくグレーゾーンも多いところですが、必要経費として計上するには、事業活動と直接の関連をもち、事業の遂行上必要な費用でなければならないとされています。すなわち、ビットコインの売買行為に必然的・直接的に掛かった経費ということになります。
また、生活費(税法用語では家事関連費と言います)と認められる部分は家事関連費として必要経費にはなりません。家事関連費は、必要経費と家事費との区分が客観的に明確に区分されていなければ、必要経費への算入は認められないとされています。
具体的には、以下のような支出が考えられます。
・売買取引に関連した通信費(スマホ使用料やインターネット接続料、PC代になりますが、ビットコインの取引だけに使用していることは少ないでしょうから、生活費と按分する必要があります。)
・ビットコインのセミナーや勉強会の参加費、書籍代

必要経費には直接必要で客観性が必要とされていることから、こじつけのような理屈で経費計上して確定申告し、後に税務調査が来た時には経費計上を否認されてしまう可能性があると考えられます。ビットコインの勉強のための交流費と称して「投資家仲間」との飲み会代を経費に計上するなどがこれに当たります。
必要に応じ、税理士等にも相談されるといいでしょう。
(所得税の適用税率が高い人や、損失の繰越や他の所得との損益通算のためには法人化という対策案がありますが、ここでは詳細の説明は省略します。)

7.税金を考慮したビットコイン取引の注意点

最も避けるべきことは、税金を支払うための納税資金に困ってしまうことです。
税金は、基本的に収入の範囲内から課税されます。ビットコインを売却したら売却収入のお金がありますので、税率が半分であっても、売却したお金をそのまま残していれば税金を支払うこと自体には問題はありません。

例えば、以下の場合のように、お金を使ってしまった場合に、納税資金に困ってしまう可能性があります。売却収入は先に入ってきますが納税は後から支払いが発生します。納めなくてはならない税金のことも考えながら、計画的に行動しておくといいでしょう。
・売却で大きな金額が入って儲かったので、自動車や家(不動産)などの大きな買い物をしてお金を使ってしまった。
・2017年は購入や売却をして売買利益を上げつつ、ビットコインのさらなる上昇に賭けて全力買いをしていたが、税金納付時にビットコインが急落してしまって納税資金の換金に困ってしまった。

また、雑所得であることの特性上、損失の繰越や他の所得との損益通算が出来ないことも気を付けなくてはなりません。2017年は大きな仮装通貨全般が上昇相場でしたので問題はないことが多いでしょうが、今後の相場はどうなるかは分かりません。仮に急激な下落相場になった場合、仮に、2017年は利益を上げたが2018年は大きな損失が発生したりすると、損益は同じであっても、2017年度の税金分は損をしてしまうことになります。適用税率が50%の人が2017年に100万円の利益を出すと手残りは50万円で、2018年に100万円の損失を出したりすると、売買損益額はトータルゼロなのに手残りはマイナス50万円になってしまいます。税率が異なるだけで株式投資やFXでも同じことは言えますが。
その後、2019年以降に利益を上げても損失の繰越がありませんので2019年度はその年だけの利益に対する税金を支払わなくてはなりません。これは、損失の3年間の繰越控除がある株式投資やFXとは異なります。

8.ビットコインは相続財産か

ビットコインが相続税・贈与税の課税対象であるかどうかは、明文化規定等はまだありませんが、当然に相続税・贈与税の課税対象であると考えられます。
相続税・贈与税は、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべて」が課税対象になるという規定ですから、ビットコイン等の仮装通貨も当然に経済的価値のある資産であると解されます。

ただ、仮装通貨は取引所ごとに時価が異なるため、課税時期のどの価格を使用すればいいのか、この点はまだ明確になっていませんので、今後ルールが整備されていくでしょう。現状では、まずは、自分が仮装通貨口座を持っている取引所での実勢価格や、売買高が多い主要取引所の価格等を参照して考えることになるでしょう。

9.そもそもビットコインとは何か?(おさらい)

そもそもビットコインとはどういったものなのか簡単におさらいしてみましょう。
ビットコインは「仮想通貨」の一種であり、公的な政府によって認められていない仮想的な通貨です。日本円や米ドルなどの公的な通貨は、発行主体が政府か民間かは別として政府によって公的にその存在が認められた通貨です。

2009年に誕生し、当初こそ数年かけて一部の人たちの間で徐々に浸透してきたビットコインですが、近年の各種サービスでの利用開始や暗号通貨自体への世間からの関心の高まりによって、多くの人々の注目を集めるようになりました。
2017年初頭では1ビットコインの価格相場は10万円前後でしたが、11月27日時点で100万円を突破し、年始に比べて10倍にもなっています。ビットコインの投資価値については「中世ヨーロッパのチューリップを彷彿とさせるバブルで投機だ」「これから本格的に世の中に浸透していくものでまだまだ上がる」まで賛否に様々な見方があります。今後の価格動向は分かりませんが、いずれにせよ、資産運用の対象として大きな注目を集めるようになってきています。中国等では規制が入る中、ビットコインの売買シェアは世界の中でも日本が大きく、ビットフライヤーやコインチェック等の主要な取引所を通じて多くの投資マネーを引き込んでいます。

しかしビットコインのような仮想通貨はそのような政府による公的な裏付けはありませんし、どこかの国の政府が発行主体となっているわけでもありません。そしてこのことは、仮想通貨は各国政府・中央銀行による金融政策のコントロールの対象外であり、基本的には仮想通貨を納税に用いることができないという2つの意味を持ちます。

なお管理する公的な主体が存在せず、しかも金などと異なって物理的な実体すら無い仮想通貨の価値は誰が担保しているのかですが、ビットコインはコンピューターのネットワークを利用して通貨を管理する仕組みとなっています。
新通貨の発行や、取引の詳細情報は、ブロックチェーンという仕組みでその全てがコンピューターネットワーク上に分散されて、保存される仕組みとなっており、誰かが勝手にその残高を増やしたり、取引実体を偽造したりということを防止しています。
(ちなみにその取引の記録作業に参加する人には、その報酬として新規発行されるビットコインが割り当てられることとなっており、取引記録を行うインセンティブ構造が形作られています。)

ビットコインの誕生の経緯ですが、2008年にSatoshi Nakamotoと名乗る人物がインターネット上に投稿した論文がこの存在の企画書となっています。その論文に基づいて2009年にはビットコインを実現するためのソフトウェアがオープンソースで開発、公開されました。
そして2010年にはビットコインを現実の通貨と両替ができる最初の取引所が誕生しています。

執筆者紹介

伊藤英佑
伊藤会計事務所(所在地:東京都世田谷区) 代表 公認会計士・税理士
・早稲田大学政治経済学部卒、大手監査法人を経て、2005年に伊藤会計事務所開業(現任)、ベンチャー企業の支援業務及び資産管理サービスを行う
・複数のベンチャー企業(上場企業を含む)の非常勤・社外役員も歴任。資本政策、IPO、M&Aに強い
資産管理サービスは、資産管理会社の運営サポート、税金対策及び税務申告、資産活用全般やライフプラン向上を見据えた長期的視点でのフィナンシャルプランの検討や相談対応等を個人・法人へ提供している
・長期分散投資を志向した資産運用も自ら行っており長年の経験がある
・早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了、AFP(ファイナンシャルプランナー)保有
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