【一般社団法人への相続税適用】2018年税制改正における相続税関連の変更①


自民税調(自民党税制調査会)より、正式に平成30年度(2018年)税制改正大綱が発表されました。

日本の税制は、政府税調(政府税制調査会)が各省庁などから寄せられる税制改正に関する要望を取りまとめ、次に与党内の税制調査会が政府税調の内容を下書きに税制改正大綱を作成することで改正されていきます。もちろん関連税法が国会で承認を受けなければなりませんが、与党自民党と連立与党の公明党合わせて衆議院の3分の2以上を占める現状では、ほぼこの改正大綱は通るでしょう。
2018年3月31日までの通常国会で、関連税法の改正も無事行われる見通しです。

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今回の記事では、相続(資産税)に関連する税制の変更の中でも特定の一般社団法人に対する相続税の適用についてお届けします。

一般社団法人に関する相続税・贈与税の見直し

一般社団法人とは、平成20年度より制度が創設された非営利法人制度です。ただ非営利といっても収益事業を営めないということや、不動産や株式などの収益財産を所有できないということでもありません。ここでいう非営利とは、株式会社のように利益余剰金を分配できないという意味になります。

一般社団法人は通常であれば法人税や、贈与税の課税対象となります。しかし一定の要件を満たし、税務上の非営利性が徹底された法人となった場合、34業種の収益事業以外からの収入は課税されず、寄付を受けたことに対しても課税されません。

また、一般社団法人には株式会社のような持分という概念がないため、法律的には一般社団法人が誰かに所有されるということはありません。一般社団法人の運営は理事等の役員によって行われ、その役員は一般社団法人から給与などを受け取ることも可能です。そして新たな役員に誰を加えていくのかは、現在の役員に決定権があります。
この仕組みを上手く活用すれば、資産家は一般社団法人を設立し、そこへ財産を寄付して、自分はその一般社団法人の役員に収まることで法律上の所有権は手放すけれども事実上の財産への支配と受益は継続することが可能です。そして持分のない一般社団法人は相続税の課税対象ではなかったため、役員に自分の親族を加えることで、相続税の課税なく支配権を親族へ譲渡していくことが可能になると言われていました。

しかし上記のような仕組みを悪用し、租税回避行為を行っていると思われる例があまりにも多く、批判も多かったため今回の税制改正において下記の2点の変更が行われる予定です。

一般社団法人に対して贈与等があった場合の贈与税課税の明確化

一般社団法人は、非営利徹底法人と認定されていた場合、個人から資産を譲り受けても贈与税などの課税対象となりません。しかしこれまでどういった場合に非営利徹底法人とされるのかという肝心な部分に曖昧さが存在しました。
今回の税制改正では、下記の要件のうちいずれかの要件を満たさなければ贈与税等が課税されることとされ、規定が明確化されました。

① 持分の定めのない法人の運営組織が適正であり、定款等に理事等に占める親族関係者の割合が3分の1以下とする定めがあること
② 贈与又は遺贈者、法人の役員等、もしくは社員又はこれらの者の親族等に施設利用、金銭貸付、資産譲渡、給与支給、役員選任その他の財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益を与えないこと
③ 定款等において、法人解散の場合に残余財産が国、地方公共団体その他の公益法人等に帰属する定めがあること
④ その公益法人等につき公益に反する事実がないこと

上記の4要件はこれまでの規定があったのですが、1つでも要件を満たしていない場合には贈与税の課税対象となると明確に定められた点が、今回の変更のポイントです。

一般社団法人等に対する相続税の課税

また本丸といってもよい一般社団法人自体への相続税の課税も、今回の税制改正で定められました。
下記の要件のうちいずれか片方でも満たす一般社団法人を特定一般社団法人と定め、特定一般社団法人の理事が(相続開始前5年以内のいずれかの時において、特定一般社団法人の理事であったものを含む)が死亡した場合に、特定一般社団法人の純資産額を、被相続人も含めたその特定一般社団法人における同族役員(※2)の人数で除し、その金額を被相続人から特定一般社団法人へ遺贈されたものとして、特定一般社団法人へ相続税が課税されることとなりました。

①相続開始直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超えること
②相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること

上記の改正は平成30年4月1日以降に発生する理事の死亡に関して適用されます。ただし、平成30年4月1日以前に設立された一般社団法人に関しては、平成33年4月1日以降に発生する理事の死亡から適用されます。
また、平成30年4月1日以前は上記の要件における2分の1の期間には含まれません。

上記の改正は、一般財団法人にも適用されます。

(※2)同族役員とは、一般社団法人の理事のうち、被相続人とその配偶者、3親等内の親族、被相続人が役員となっている会社の従業員などになります。

以上、平成30年度(2018年)税制改正における一般社団法人への相続税の適用についてお届けしました。この変更で、相続のプランニングが大幅に狂ってしまったと困っている人もいるかもしれません。
そうした場合は状況を確認するためにも、相続に詳しい税理士に相談することが大切です。相続tokyoではタックスプランニングのサポートも行っていますので、お気軽にご相談ください


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