死亡離婚(姻族関係終了届の提出)と相続の関係


近年、死後離婚という言葉に注目が集まるようになってきました。基本的に夫婦の法律的な関係は一方の死亡を持って死別として解消されますので、死後に離婚を行うというのは正確な表現ではありません。また配偶者との関係においても何かが変わるわけではありません。しかし、配偶者の親や兄弟との関係性を解消するために、配偶者の死後に“姻族関係終了届”という書類を提出することによって、姻族との関係を一方的に解消することは可能なのです。

そして近年、この“姻族関係終了届”による死亡離婚がマスコミなどに取り上げられるようになり、実際にその選択をされる方も増えてきているのです。なぜこうした選択をされる方が増えてきているのか、また死亡離婚をした場合の相続関係への影響などについて見ていきましょう。

死後離婚に踏み込む理由

姻族関係終了届を提出する人は確かに増えており、例えばここ5年間で約1.5倍に増加していると平成27年度の法務省の戸籍統計にも記されています。どうして死亡離婚(姻族関係終了届の提出)に踏み切る人が増えているのでしょうか。

背景には家族間の変化や、高齢化によって進む親族の扶養の負担などがあると言われています。年の順で言えば義理の両親と、自分の配偶者のうち義理の両親の方が先に亡くなる可能性は高いですが、病気や事故などによって必ずしもそうなるとは限りません。そして特に義理の両親と同居をしており、それまでの生活の中で同居生活や義理の両親への不満が高まっていた場合に、配偶者亡き後に関係を清算してしまいたいと死亡離婚に踏み出す場合が多いようです。
また、配偶者と同じ墓には入りたくないというような場合もあり、結婚生活の中で積もり積もった鬱憤が爆発したような場合も多い模様です。

なお、配偶者が死亡した時点では義両親が鬼籍に入っていても、義理の兄弟姉妹が存命であるということは多いでしょう。そしてそうした方々の生活や素行に問題があるという場合もあり、そうのような時にも死後離婚が選択されるようです。

死後離婚を選んでも相続には影響がない?

死後離婚、すなわち姻族関係終了の届出の提出は、相続に対して特に影響を与えません。配偶者の死亡の時点で相続の権利は確定しており、死後離婚をしたからといって財産の返還義務が生じるようなことはありません。また生命保険の受け取りや遺族年金の受け取りにも影響を与えません。

ただこのことが配偶者親族との間のトラブルの原因になることはあるようで、例えば義理の両親や義理の兄弟姉妹らなどから、姻族関係終了後に遺産分割に対して争いを仕掛けられるといったトラブルはあるようです。

死亡離婚のメリットデメリット

改めて死亡離婚のメリットとデメリットの整理をしておきましょう。

まず一番は義理の親族との関係が良くない場合に縁を切れるということです。
生存している配偶者に対して義理の両親の扶養義務があるのかは法律的にも微妙なところであり、民法では第730条において「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。」と定められているものの、これは努力義務でしかありません。そのため直接的な扶養義務が発生するわけではないのですが、家庭裁判所の審判を経て、生存している配偶者に義理の両親の扶養義務が負わされる可能性は0ではありません。
しかし、姻族関係が終了していればそうした心配は無くなりますし、家庭裁判所の審判を経て負わされた扶養義務も無効化されます。

またデメリットについては、配偶者親族との関係の悪化は避けられないことでしょう。場合によっては法事などの案内が来なくなったり、関係を断絶されたりするかもしれません。ただこのデメリットに関しては、元々姻族関係の終了をしたい間柄だったということを考えると気にしなくても良いかもしれません。

死亡離婚の行い方

なお、姻族関係終了の届出の提出方法ですが、所定の用紙に記入して役所に提出するだけで済みます。生前の離婚の場合と異なって自分の意思だけで一方的に完結できるため、決断さえできれば特に阻むものはありません。

以上、最近話題の死亡離婚についてと相続のとの関係についてお届けしました。


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