義父母の介護が報われる「特別の寄与」((2018年相続法制改正⑤)


古い調査になりますが、内閣府が平成15年に行った世論調査では高齢者の約45%が自宅での介護を望んでいます。しかし、自宅での介護は親族にかかる負担が大きく、簡単なことではありません。そして、介護に貢献した相続人の場合、その寄与分を他の相続人に対して主張し、相続分を多少増やしてもらうことはできるのですが、相続人以外にはそのような権利はありませんでした。

しかし、日本では介護の負担が同居している嫁に集中するケースも多く、現状の制度では不公平であるという不満が高まっていたのです。そこで今回の法改正によって、被相続人の相続人では無い親族も、介護への貢献を「特別寄与料」として請求できるようになりました。
詳細を見ていきましょう

自宅での介護を望む高齢者

少子高齢化が進む日本社会にとって、介護はとても深刻な問題です。特に人口ボリュームの大きい段階の世代が後期高齢者(75歳)となる2025年以降は、今以上に大きな問題となるでしょう。

そして、ここで問題になってくるのが、誰が介護の負担をするのかというもんだです。介護を完全に外注する場合、金銭的な問題となりますが、施設に空きがなかったり、当人が自宅での介護を望むような場合、家族には身体的・精神的な様々な負担がどうしても発生してしまいます。

在宅介護の負担は大きい

そして誰がその負担を負っているのかと言いますと、多くの場合家族、特に女性がその負担を背負わされています。下記の図は平成24年の高齢社会白書からの引用ですが、配偶者が25.7%、子が20.9%、そして子の配偶者が15.2%となっています。事業者に依頼できている割合は13.3%ほどしかありません。
また介護の負担における男女比を見てみると、男性が30.6%、女性が69.4%と女性の方かなりくなっているのです。

在宅介護では、どうしても介護者と要介護者がかなり密に接することになるため、主な介護者がその負担を1人で背負ってしまいがちです。ただそれは身体的にも精神的にも非常に負担の大きい状態であり、心身ともに激しく疲弊してしまいます。

介護の貢献が相続へ反映されないことへの不満

そして、これまでの制度では相続人以外の親族による介護への貢献は、具体的な権利もないため相続の場においてほとんど無視されてきたのです。もし被相続人(要介護者)が介護者たる相続人以外の親族(子の配偶者、主に長男の嫁)にとても感謝しており、遺言によって遺贈などを行う意思表示をしていれば問題ありません。しかしそうでなければどれだけの貢献があっても、相続人以外の人は無視されたままだったのです。
(※相続人が、他の相続人に比較して著しく介護に貢献していた場合、その相続人は他の相続人に寄与料を請求することは可能でした。)

特別寄与料を請求できるように

今回の法改正のポイントは、被相続人の相続人では無い親族も特別寄与料を請求できるようになったことです。なおここでいう親族とは、6親等以内の血族・配偶者・3親等以内の姻族を指します。
義両親(1親等姻族)の介護は対象になりますし、義理の祖父母(2親等姻族)や義理の叔父叔母(3親等姻族)も対象となります。

具体的な例としては、長男の嫁が夫の父親の介護を担当し母親は故人だった場合、その義父が亡くなった際に相続権はありません。仮に遺産額が5000万円、相続人が長男たる夫と他に、長女の2名だった場合、その2人が2500万円ずつ相続して終わりです。
しかし、しかし今回の法改正によって、例えば特別寄与料として500万円を請求することが可能になります。
なお、その場合長男と長女の相続分からその金額が按分されて差し引かれます。

特別寄与料を請求するためのポイント

ただ、介護への貢献分を特別寄与料として請求することは簡単ではありません。それというのも法改正前でも、相続人が介護への貢献を寄与よして認めてもらうのが大変だったからです。今回の法改正でも、寄与として貢献を認めてもらうことのハードルの高さは変わっていません。

具体的には、「被相続人の財産の増加、維持に貢献したか」がポイントとされており、例えば無償で介護サービスを提供することで、有料サービスを依頼していた場合に比較して、これだけ節約できたというような論拠が求められるのです。
例えば、お見舞いに行ったり介護サービスなどの手配はその負担が大きかったとしても、寄与として認められない可能性が高いのです。ただその逆に介護のために自分の仕事も辞めて在宅で無償サービスを提供したという場合、その貢献が高く評価される場合もあります。

以上、相続人以外の親族による介護の貢献に対する、特別寄与料の請求に関する法改正についてお届けしました。


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