遺言の中身に納得がいかない!「遺言無効確認訴訟」の進め方


相続の場において遺言の存在はとても重要です。遺言が無い場合、遺産分割の内容は法定相続人全員による遺産分割協議によって決められますが、全員一致で意見をまとめなければいけません。1人でも反対者がいると遺産分割協議が終わらず、財産の承継や相続税の納税に支障をきたしてしまいます。
しかし遺言があれば、遺留分の侵害があったとしても、一旦遺言の通りに分割は執行され、相続税の納税などにも支障をきたすことがありません(遺留分の侵害に関しては、分割後に請求することになります)。

ただ、遺言の内容に瑕疵があったり、その作成時の状況に疑問が出たりするような場合、どうしてもその遺言を認められない、認めたく無いという場合もあるでしょう。
そこでここでは、遺言の正当性を巡って争う「遺言無効確認訴訟」について見ていきたいと思います。

遺言無効確認訴訟とは

どうして遺言の存在自体が正当なものだと思えない場合、裁判所に対して遺言無効確認訴訟を訴えることになります。これは作成された遺言を法律的に無効なものである裁判所に認めてもらうための手続きで、これが認められれば、その遺言に基づいた財産分配を停止させることが可能です。
なお、逆に遺言の正当性に疑いを持つ相続人を説得する目的で、遺言の正当性主張する「遺言有効確認訴訟」を起こす事も可能です。

遺言が無効になる理由

なお、遺言の有効性をめぐて争う場合ですが、下記のような点がその主な論点となります。

①遺言無能力者が作成した場合

遺言無効確認訴訟の中でも特に多く主張されるのが、遺言作成者の遺言能力の有無についてです。代表的なのは遺言者は認知症を患っていて、遺言するための判断力を有していなかったという主張です。
実際に日本人の認知症患者数は増加しておい、一定の説得力のある主張と言えるでしょう。

②錯誤による無効

例えば、男性で自分に婚外子がいたのにそのことを知らなかった人物など、遺言を行うにあたり重要な事実を誤認していた場合、要素の錯誤があるとされ、民法では要素の錯誤がある意思表示を無効であると主張することを認めています。

③詐欺・脅迫による遺言取消

当然、遺言者が他者から脅迫をされていたり、詐欺にあっている状況下で、作成された遺言にはその意思表示に瑕疵があるとして、取り消すことが認められています。

④公序良俗違反による無効

具体的に言うと、遺言者が不倫関係にある愛人に全財産を遺すことを遺言するような場合など、遺言の内容が社会常識に反していて、是認することができない場合、その内容が無効となることがあります。

⑤法廷の要件を欠く

例えば、自筆証書遺言を代筆してもらうなど、遺言作成の様式が守られていない遺言は当然無効になります。

公正証書遺言でも争いは生じる

遺言無効確認訴訟の注意点なのですが、上記を見てもらえばわかる通り、このような争いの種は公正証書遺言であっても発生します。そのため、自筆証書遺言だけが遺言無効確認訴訟の対象になると思われている方もいますが、それは勘違いであり、公正証書遺言の場合も争いが発生する可能性があります。

遺言無効確認請求訴訟の流れ

具体的な遺言無効確認請求訴訟の流れも見ていきましょう。

①家事調停

遺言・相続に関する事柄は、家事事件の1つになりますが、家事事件では争いが生じた際にいきなり訴訟をすることはできまず、まずは家庭裁判所に家事調停を申し立てなければなりません。
調停とは調停人を交えた話し合いの場であり、調停人から解決策の提案はあるものの、裁判官による命令のような決定打は発揮されません。

②遺言無効訴訟の提起

話し合いの場である家事調停に置いて決着が着かなければ、遺言無効確認請求訴訟を提起することになります(なお訴える先は家庭裁判所ではなく、地方裁判所となります)。
なお、遺言の無効を主張する相続人が原告に、遺言が有効であると主張する相続人や受遺者が被告という形で裁判は進められる事になります。

③遺言無効訴訟の審理

通常んお裁判では、当事者による事実関係の主張(こういう理由で遺言は無効でる、有効であるなど)と、その主張を裏付ける根拠の取り調べという順番で進んでいきます。遺言無効確認請求訴訟も裁判の一種であり、同じ流れを踏襲します。
またこの間に原告、被告双方の主張の応酬や相手の主張・証拠への反論などがなされる事になります。

④遺言無効訴訟の判決

遺言無効確認請求訴訟の場合、訴えが認められ遺言が無効であると判断された場合には、遺言の無効が確認され判決文が出されます。
一方遺言が有効であるとされた場合には、訴えが退けられ、請求が棄却されることになります。

なお、地方裁判所の判決に不服がある場合には、当事者は上級裁判所での再度の判断を求めて、控訴することが可能です。ただ、控訴までされることはあまりありません。


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