不合理分割として租税回避とみなされないために


資産家にとって相続税の負担が重く、その節税方法には多くの人が知恵を絞っています。特に日本では相続財産に占める不動産(土地)の占める割合が大きいため、納税資金の不足は土地の売却などが必要になり、大きな苦労を背負い込んでしまうからです。

近年の資産課税傾向は明らかに富裕層の節税・租税回避を狙い撃ちしてきており、安易な方法で節税などを図ろうとした場合、税務調査などで否認の対象となってしまいます。そのようなことにならないためにも、正しい税知識を持つ必要があります。

今回は土地の分割、特に不合理分割に対してお届けします。

不合理分割とは?

まず、不合理分割とは何なのかについて、基本的なことを押さえておきましょう。不合理分割とは、現実の利用状況を無視した分割で、故意に土地の評価が低くなるような分割方法をとることです。著しく不合理な分割と認められると、全体を1画地の宅地としてその価額を評価した上で、個々の宅地を評価することとなります(分割はなかったものとして評価します)。
ポイントは、本来は(不合理でなければ)、土地の評価はその取得者ごとに行われるということです。例えば下記の図のような土地の場合を考えてみましょう。なお、道路に書いてある数字は路線価(千円単位)です。。

元々1筆だった土地を上記のように分割した場合、それぞれの評価額は以下のようになります。

【長男取得部分】
60万円×100㎡=6,000万円

【長女取得部分】
20万円×100㎡=2,000万円

【合計】
8,000万円

元々のこの土地の評価額は、高い方の路線価60万円×200㎡の1億2,000万円だったのですが、相続時に分筆をすることでこのように評価額が変わりました。日本の相続税の制度は、フランスの法制度基準にする大陸法と呼ばれるものを参考に作られたのですが、大陸法では相続税の課税が相続人に対して行われるため、遺産分割後の相続財産の評価をするからです。
(ちなみに、大陸法に対して英米法と呼ばれる体系も存在し、この体系では相続前の遺産に課税されるので、どのように分割されようと相続財産の評価額は変わりません。)

そして、上記のような分割であれば特に問題はないのですが、例えば下記のような分割の場合、不合理分割として否認される可能性が高くなります。

【長男取得部分】
60万円×20㎡=1,200万円

【長女取得部分】
20万円×180㎡=3,600万円

【合計】
4,800万円

ちょうど中間で分筆した場合に比較して、3,200万円も評価額は下がりましたが、大通りに面している方の長男の土地が極端に狭くなり、有効な活用も難しく合理的な選択とは思われません。相続税の回避のためだけに行われたことであると評価されてしまいます。

不合理分割のペナルティー

場合によっては、今後の土地の活用計画の中で本当にこのような分割をする必要もあるでしょうが、故意に土地の評価を下げようとしたとみなされないよう注意を払いましょう。
それというのもこうした不合理分割にはペナルティーが存在します。

財産評価基本通達7-2(1)注書き
(注) 贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とする。

上記は財産評価基本通達からの引用ですが、不合理分割と認められてしまった場合、分割せずに1区画として相続税が課税されることになります。上記の例であれば、1億2,000万円と評価されてしまうということです。
(全体としての評価額が出された後に、相続人ごとの取得している面積の割合を掛けて、各人の相続財産額が求められます。)

不合理分割の具体例

具体的にどのような場合だと不合理分割として認定されるのか、国税庁の資料にそれがまとまっていますので、見ていきましょう。

上の図では、AとBがそれぞれ相続人であり、このように分割した場合を表しています。

まず、(1)ですが、明らかにAの土地の使い道が限られ、現実の利用状況を無視してします。また(2)は無道路地を生んでしまっています。それに(3)も無道路地及び不整形地を、(4)は不整形地を生んでしまっており、(5)は奥行短小な土地と無道路地を、(6)は接道義務を満たさないような間口が狭小な土地を生んでしまっています。

このような事例では特別な事情がない限り、不合理分割とされるので注意しましょう。


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