相続におけるマイナンバーの利用と進む手続きの簡素化


これまで相続をはじめとした行政の手続きは、とても21世紀とは思えないほど非デジタル的で非効率な部分が多くありました。例えば被相続人の戸籍の収集など最たるもので、被相続人(故人)の各自治体に対して出生から死亡までの戸籍全てを集めなければいけませんでした。
ずっと1つの戸籍にのみ所属していたような人は良いですが、実家を出たり婚姻などで戸籍が変わった人は2本以上の戸籍を集めなければなりません。離婚や再婚、引越しに伴う転籍などあればさらに多くの戸籍の収集が必要になります。

ようやくこうした状況を改善するための法改正が進んでおり、通称「デジタル手続法案※」という、行政手続きのデジタル化を推進する一連の法律が今国会で成立・改正されました。
社会保障の手続きや相続の手続きが今後大きく変わる可能性が高く、戸籍をはじめとした相続に関する手続きの変化をここではお届けします。

(※正式名称は「情報通信技術の活⽤による⾏政⼿続等に係る関係者の利便性の向上並びに⾏政運営の簡素化及び効率化を図るための⾏政⼿続等における情報通信の技術の利⽤に関する法律等の⼀部を改正する法律案」)

煩雑な戸籍に関する手続き

まず、現在の相続における戸籍に関する手続きの概要を見ていきましょう。
現在相続が発生し遺産の名義変更や相続税の申告・納税を行うためには、亡くなった被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(除籍謄本含む)を収集し、それを金融機関や法務局、税務署などに提出しなければなりません。
現在の日本の戸籍制度では、こうしなければ被相続人の法定相続人を確定することができず、遺産分割が行えないからです。

しかし、戸籍は本籍地の市区町村が管理しているため、その窓口に出向くか郵送で請求の手続きをしなければなりません。現在の戸籍だけなら良いですが、それを入手したらさらに前の戸籍も存在することが見つかり、また次の戸籍を見たらさらに前の戸籍が存在することも見つかる・・、といったことも往々にして発生します。
特に婚姻や離婚で戸籍は動くので、家族も知らなかったような婚姻・離婚暦があると戸籍謄本の収集は煩雑なものなってしまうのです。

戸籍謄本の請求も一箇所でOKに

しかし、今回の法改正によって2024年にはこうした問題がなくなることになりました。法務省が新システムを作成し、相続人は全国どこでも好きな自治体の窓口に被相続人の戸籍謄本を請求すれば、全ての戸籍謄本を入手できることになったからです。

さらに将来的な話になりますが、戸籍をバックアップするシステムとしてマイナンバーの利用拡充も検討されており、これが実現すれば手続きはより簡便なものとなるでしょう。

なお、すでに実現化している仕組みとしては、2017年5月末からスタートした法定相続情報証明制度も重要です。
これまで、戸籍謄本は写でも可とはいえ、各種金融機関や行政当局に個別に提出していました。それがこの制度によって、一度法務局に提出し、相続関係の証明書類を発行して貰えば、あとはその書類を提出するだけで良くなったのです。
今回改正される制度と合わせて、だいぶ手続きは楽になると言えるでしょう。

進むマイナンバーの活用、保険証との一体化も

今回の法律改正では他にも様々な手続きのデジタル利用による簡便化が図られています。
例えば、死亡後の医療保険や年金などの手続きも面倒なものですが、マイナンバーで統一管理され、公的医療保険や年金の資格喪失手続きを自治体などがデジタル化できれば、大幅に遺族の負担は軽減します。

他に相続とは少し違いますが、税申告のデジタル化も進んでいくことでしょう。
政府は2021年分の申告から、医療費の情報を政府の運営サイト「マイナポータル」を通じて集められるようにする計画があります。併せて、健康組合などのサーバーにある医療データを、マイナンバーの情報提供ネットワークを経由してマイナポータルに集められるようにする計画もあるので、確定申告や年末調製時における医療費明細などの紙の書類の準備や提出が段々不要になるかもしれません。


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