認知症の早期発見と予防の最新医療


高齢化に伴って認知症患者数は増加しており、2020年には患者数が325万人に達すると言われています。その他の病気と異なって、認知能力の低下には独特の恐怖感を感じる人も多いでしょう。また生活上の不安も大きく生じてきてしまいますし、家族への負担も心配です。

しかしそんな認知症ですが、最新の医学では35%は予防可能であり、超早期発見も可能と言われています。
今回は認知症の早期発見と予防の最新治療について見ていきましょう。

認知症とはどういった病気なのか

認知症とは、文字どおり認知能力が低下し、記憶障害や判断力の低下、理解力の低下などを招いてしまう事態です。酷い場合は見当障害といって、時間や場所が分からなくなったり、慣れているはずの作業もできなくなったりしてしまいます。
なお、こうした脳の働きの低下によって起きる直接的な症状を中核症状と呼び、その中核症状に環境要因が結びつくことで、おしゃべりが止まらなくなったり、暴言暴力がひどくなったり、食事や排泄の異常、徘徊や昼夜逆転などの周辺症状も生じてしまいます。

病気や怪我で自分の身体を思うようにコントロールできなくなる事態も大変辛いですが、自分を司る人格や精神事態が変わってしまうようで、恐れてしまう人も多いでしょう。また家族など周囲の方へかけてしまう負担の心配もあります。

なお、認知症と相続の間には関連が深く、それというのも一定以上の認知症と診断された場合、判断応力が不十分であるとして法的な決定能力を失ってしまうからです。そのため被相続人の立場で財産の処分や遺言の作成などを行う事も出来ませんし、相続人の場合、遺産分割協議に加わる事ができません(そのため、遺産分割協議が開催できなくなってしまいます)。
そのため被相続人が認知症により意思決定能力なしと診断された場合は、成年後見制度や民事信託を、また相続人が認知症と診断された場合は成年後見制度を活用せざる得なくなります。相続対策を実行することもかなり難しくなります。

血液検査で、超早期の発見が可能に

現在認知症を取り巻く医療は大変な進歩を遂げており、認知症はかなりの確率で早期に発見できるようになりました。早期に発見できる事で、認知症に事前に備える事が可能ですし、何よりも食事や運動に気をつける事で、認知症の進行を遅らせたり予防することもできるのです。

特に注目を集めている診断方法は、血液や網膜の検査です。認知症の原因は様々なものがありますが、代表的なものはアルツハイマー病になります。そして、アルツハイマー病の発症は脳内にアミロイドβというたんぱく質が蓄積していく事に合わせて進行していくのですが、ノーベル賞も受賞された島津製作所の田中耕一氏や、国立長寿命医療研究センターの柳澤勝彦氏などが所属するチームが開発した検査機器によって、血液検査によって、脳内のアミロイドβの蓄積状況を正確に診断できるようになりました。
ただ、この検査を使うには保険適用外のため50万円ほどの受診料が必要になります。健康診断の一環として気軽に受けられる金額ではありません(田中氏らのチームの機器も一般ではなく、創薬向けの需要を見込んで開発されたものです)。

そのため、一般的に利用する場合、認知症の前段階にあるといわれる軽度認知障害(MCI)かどうかを診断できるMCIスクリーニング検査がオススメです。
開発元はMCBIという大学発ベンチャーなのですが、簡単な血液検査で80%程度の精度でMCIかどうかを診断でき、2〜3万円ほどで受診可能です。
MCIの段階で、予防や治療に気をつければ、認知症の症状改善や進行の抑制も可能なため、とても重要な検査と言えるでしょう。

食事、運動、社会参加による発症リスクの低減

さて、もし認知症の前段階であるMCIに当たると診断された場合、どうすれば良いのかも見ていきます。
もともと認知症を予防できる確率は0%と言われていましたが、現在は35%までは予防できると言われており、諦めてはいけません。その他の65%も、かなりの程度で進行を抑制できます。

まず重要なのは食事の習慣です。ビタミンCやβカロチンを多く含む野菜や果物、また青魚などの摂取を心がけましょう。ちなみにポリフェノールが多く含まれる赤ワインの摂取も効果的と言われていますが、そのためには1日250〜500mlも飲まねばならず、アルコールの悪影響の方が多い可能性が高いです。

また運動や音楽の効果も高く、観戦や鑑賞だけではなく、実際に参加するようにしましょう。こうした社会参加を伴う活動には、その社会参加自体の影響も大きく、認知症の予防や抑制にとても効果的です。


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