会計事務所が行う「相続・事業承継対策」の範囲とは


2019年10月23日(水)にビジネス会計人クラブ(BAC)にて開催されました、相続・事業承継・M&A事例研究会に相続tokyoのスタッフが参加してまいりました。
当日は『 税理士だからこそ出来る「認知症リスク対策」とは何か? 』と、『会計事務所が行う「相続・事業承継対策」の範囲とは!』という2つのテーマで開催されたのですが、今回の記事では『会計事務所が行う「相続・事業承継対策」の範囲とは!』についてセミナーの内容をお届けします。

講師紹介

税理士法人平川会計パートナーズ 代表社員 税理士 平川 茂氏

講師の平川先生は、ご自身も創業者の親御様から事務所を承継された立場であり、事業承継の経験者です。創業者の方が顧問先の開拓に熱心だったため、承継時の収益基盤は安定していたそうです。しかし、20年後30年後の次代への承継を見据え、当時のビジネスモデル一本やりにはしたくなりという思いがありました。
税務の仕事は、本来社内で行う作業を外部にアウトソーシングしてもらうビジネスですが、現在のようなクラウド会計の発展や競合が多発する厳しい市場環境などを予見されていたのかもしれません。

そこで取り組まれたのが、ご自身も後継者であるという立場を生かした、特に後継者の育成やフォローに力をいれた相続・事業承継支援のビジネスです。

相続・事業承継の問題は税金のことだけではない

相続・事業承継の問題は税金のことだけではありません。
最も重要な問題は、後継者となる2代目・3代目が、今後も会社を経営していけるのかという不安に向き合ったり、発展への展望を持つことをサポートすることです。
だからこそ会計人(会計士や税理士)としては、財務専門家として決算や申告といった過去会計に加えて、経営計画や今後の資金繰り・債務の整理といった未来会計を行っていくことが求められます。

つまり、財務のコンサルティングとリスクマネジメントの両方を行うということです。
近年では、災害の多発によってBCP=ビジネスコンティニュープランニング(事業継続計画)の重要性が唱えられていますが、それは本来自然災害だけの対応にとどめるべきではありません。
経営者の健康問題や、事業承継時の各種リスクへも対応するべきです。

そして、その一環として、保険など各種サービスを使ってプランニングを行い、場合によっては家族信託なども活用します。

家族信託と後見制度は使い分けが大事

なお、経営者の認知症対策としては、これまで任意後見制度が一般的であり、近年では家族信託の活用も検討されるようになってきました。
この2つの制度に関しては、どちらかが優れているというわけではなく、状況や財産に応じた使い分けが望ましいと言えます。

あくまで一般論ですが、不動産に関しては家族信託がおすすめのようです。しかし事業承継で会社の株を預けるのであれば、受託者の権限などもあって難しいのが実情です。
そこで会社の株式に関しては、議決権をコントロールするための後見人などを立てて、任意後見制度を活用すると良いでしょう。

事業承継対策のイメージ

具体的な論点ごとに、事業承継のイメージ・ポイントを見ていきます。

後継者の育成

後継者の育成が事業承継の最大のポイントであり、親族内なら最低でも3年、長い場合は十年〜十数年かけて後継者育成や財務再建などなど行う子が必要です。

また、下記のような論点への対策に後継者を巻き込む中で、育成を行なっていきます。

税務・議決権対策

税務対策は議決権対策とセットで行います。
まずは、株の評価を調べましょう。第三者への譲渡も検討しているなら、相続評価だけでなく、実際価値も出さなければなりません。

また、親族に承継させる場合、事業承継税制を活用すれば税は解決しますが、遺留分が課題となります。生前放棄か、民法特例の合意の活用をしましょう。

遺言書の作成

議決権の集約のためにも、遺言書の作成は必須です。
2〜3ヶ月に1回親子の事業承継MTGを行い、外部のアドバイザーが司会やオブサーバーとして加わると良いでしょう。
そして、その度ごとに遺言書の作成・更新を行います。

遺留分対策はですが、株価が上がると遺留分も上がるので、注意してください。

現経営者の意志能力対策

後継者の育成に期間を取るため、その間の現経営者の意思能力は意識されづらいですが、大きな課題です。
家族信託や任意後見制度を状況に応じて適切に組合せましょう。

家族信託は受託者名義にすることが、ネックになることが多く、誰に任せるかで揉めてしまいがちです。

財務の健全化

後継者を育成するためには、後継者を決めなければなりませんが、後継者が継ぎたくない状態の解消をしなければなりません。
経営者の個人保証もある場合、財務の健全化が必須です。

地方の優良企業でも、後継者が継いでくれないということは多く、経済も不安で、かつ財務が不健全だとやはり不安になってしまいます。
貸借対照表(BS)上、資産の側は工場など重いものが多く、従業員の人件費も多くて借金も多いとなると、損益計算書(PL)が良くても不安になってしまうのです。
また、事業の内容によっては売上増加が資金繰りを悪化させることがあるため、資金繰り倒産にならないように資金計画を踏まえて事業計画を見直す必要があります。


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