2021年度(令和3年度)の税制改正大綱、相続や相続対策への影響は?


12月21日、来年度の税制改正大綱が閣議決定されました。日本では毎年少しずつ税制の変更が行われていますが、その大きな流れを決定づけているのが、この税制改正大綱です。

税制改正の概要(財務省)

この2021年度(令和3年度)の税制改正大綱の中から、特に相続や相続対策に関連する分野のものをチェックしてみましょう。

税制改正大綱とは?

税制改正大綱とは、各省庁からくる税制改正の要望をもとに、翌年度以降の税制改正の方針を与党(2020年現在は自民党)の税制調査会が中心となってまとめたものです。税制に関する法律改正のたたき台と言ってよく、毎年12月中に翌年度分の税制改正大綱が閣議決定されています。
今年も12月21日に閣議決定され、来年の国会に提出されることが決まりました。
日本での法的な意思決定は、最終的に国会(立法府)にて行われますが、一部の議員立法を除いて、通常は各省庁や与党から出された法案や要望は内閣で擦り合わせが行われ、その後国会に提出するかどうかが決められます。そして、この決定を閣議決定と良い、内閣通常その多くが与党の議員であることから、閣議決定された法案は国会でも基本的に承認されます。

つまりこの税制改正大綱が、(急遽選挙が行われて、議会に大幅な変更でも無い限り)来年度以降に行われる税制改正の内容とみてまず間違いありません。

2021年度(令和3年度)税制改正大綱のトレンド

今回の税制改正のトレンド、あるいは目玉ですが、やはり一番はポストコロナに向けら経済構造の転換と好循環の実現のための諸政策です。
そのため、企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置の創設や、企業の投資活動に対する繰越欠損金の控除上限の特例が設けられています。

また、日本で大きな問題となっている事業承継問題(中小企業の後継者問題)への対策として、大企業による中小企業のM&Aを(多少)行いやすくなるような一部変更も盛り込まれています。他に、家計の暮らしと民需を下支えするため、固定資産税や住宅ローン控除などでも変更が加えられました。

2021年度(令和3年度)税制改正大綱の中で相続に関係深いこと

特に相続と関連深いことを、順番に見ていきましょう。

日本で働く外国人への非課税

現在、被相続人が日本国籍を有するかどうかに関係なく、日本の居住者であれば国外財産も日本の相続税の対象となります。しかし、日本の相続税は他の先進諸国に比較して税率も高いため、日本で働く高所得層・富裕層の外国人から評判が悪く、日本(東京)を国際金融都市とする政府の成長戦略の足かせになっていました。
そこで、就労等のために日本に居住する外国人が死亡した際、その居住期間にかかわらず、外国に居住する家族等が相続により取得する国外財産を相続税の課税対象としないこととなりました。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充

現在父母や祖父母などの直系尊属から、子や孫へ贈与された住宅取得資金は、それが新築等に係る契約を締結した場合には一定の非課税枠が設けられています。ただ、これは特例措置であり、年々その非課税枠は減っていて、令和3年4月にも減額予定だったのですが、その減額は令和3年12月末まで延長されることとなりました。

なお非課税枠は
・消費税等の税率 10%が適用される住宅用家屋の新築等
→1,500万円(改正前1,200万円)
・上記以外の住宅用家屋の新築等
→1,000万円(改正前800万円)

です。

教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し

まず、適用期限が2023(令和5)年3月31日まで延長されます。
ただ節税的な利用を防止するために、受贈者が贈与者の孫等である場合の贈与者死亡時の残高に係る相続税額への2割加算の適用等が行われることとなりました。

株式対価M&Aを促進するための措置の創設

中小企業の後継者問題解決のために、大企業によるM&Aに注目が集まっています。そしてM&Aの方法として、現金での買収の他に、自社株式を対価として、対象会社株主から対象会社株式を取得する方法がありますが、対象会社株主の譲渡損益に対する課税が、繰り延べる措置が講じられます。

個人版事業承継税制の拡充

個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税にも、事業承継税制と似たような納税猶予制度がありますが、適用財産の中に被相続人又は贈与者の事業の用に供されていた乗用自動車で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているもの(取得価額 500 万円以下の部分に対応する部分限定)が加えられました。

事業承継税制の拡充

非上場企業の事業承継税制において、後継者は対象企業の役員でなければなりませんが、以下の場合そうでなくとも制度の適用を受けられることとなります。

・被相続人が 70 歳未満(現行:60 歳未満)で死亡した場合
・後継者が中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の確認を受けた特例承継計画に特例後継者として記載されている者である場合

税務関係書類における押印義務の見直し

菅政権以降、デジタル庁の創出やハンコが話題となっていますが、税務署に提出する国税関係書類において、現在実印と印鑑証明書が必要なもの以外は、押印義務が廃止されることとなります。

以上、2021年度(令和3年度)の税制改正大綱の中から、相続に関連深いものをお届けしました。
また追加のニュースがあれば、お届けします。


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