相続発生後に家族を困らせないために〜生前に行いたい資産の棚卸〜


自分の相続対策を考えることやご自身の財産の整理を考えておくのは、縁起が悪いと気が進まない方もいるかもしれません。

財産の一覧を作成しておくと、財産がどこに何があるかがすぐに分かるだけでなく、相続人のために相続税の生前対策や、誰にいくら何を残しておきたいか、ご自身がどのように生きていきたいかなどを考えるきっかけにもなります。
ふだんは財産やお金の話は家族間でもあまりしないかもしれませんが、被相続人(故人)と相続人間での話し合いにより、税金対策や資産運用をどうしたいかを考えたり、お互いの気持ちや意向を知る機会にもなるかもしれません。
世代に渡る資産管理を上手に行っていけば、より充実したライフスタイルも実現できるでしょう。
資産のたな卸しはその第一歩として始めてみるのはいかがでしょうか。

例えば、急にご自身(被相続人)が亡くなった場合、何の準備もできていないと残された遺族は財産の把握だけでも大変な苦労を抱えてしまいます。また、相続の手続きには10ヶ月以内の相続税申告とその納付、相続放棄をする場合の3ヶ月以内の手続きや、4ヶ月以内の準確定申告など幾つかのタイムリミットも存在します。生前に準備をしておけば相続手続きもスムーズに進みます。

今回の記事では、遺族の負担を減らすために行っておきたい財産の棚卸についてのお話をお届けします。

①銀行・証券口座

通常、故人の銀行・証券口座の名義書換あるいは解約手続きは、遺族にとってとても大変な作業になります。書類の用意だけでも故人や相続人の戸籍謄本、印鑑証明などいくつもの書類が必要な上、必要書類や書式が金融機関によって異なる場合もあるためです(例えば、ある銀行では印鑑証明は6ヶ月以内に発行されたもので構わないのに、別の銀行では3ヶ月以内でないといけないなど)。
ましてや、もし遺族が故人の所有する口座の詳細が分からないとなると、ただでさえ大変な時期に過大な負担がかかってしまうでしょう。

遺族の負担を減らすためにも、まずはご自身が契約している口座のリストを作り、使っていない口座は生前に解約してしまうことがお勧めです。ずっと以前にペイオフ対策で分割して作った口座などがある場合は、その後の金融機関の合併により、分割が意味をなさなくなった口座もあるかもしれません。

なお、特別な不明口座はないとお考えの方の場合も、出身地の地元で作っていた口座や、地方勤務中に作った地銀の口座などがあるかもしれません。また、学生時代のアルバイトの振込用に作った口座が残っている場合があります。大変な作業ではありますが、ご自身が元気なうちに取り組まれた方が望ましい作業です。

②生命保険など

生命保険の加入状況なども整理し目録を作成しておきたい事柄です。遺族の方の立場からすると、口座から掛け金の引き落としがあるので加入していることは亡くなった後でも確認できるかもしれません。しかし、保険会社との契約者番号など分からないと手続きがスムーズに進められないといったトラブルが生じます。
また、生前に使えるはずの保障や特約があった場合も、元気なうちにそのことを家族へ伝えておかなければ利用されずに済んでしまうかもしれません。

せっかく積み立てたサービスの利用という意味では、百貨店の友の会や冠婚葬祭の互助会員の加入状況なども該当する場合があります。互助会で葬儀費用の積み立てがあるにもかかわらず、遺族がそのことを知らずに別の葬儀会社に依頼してしまっては積み立て損になってしまいます。

なお、保険などの加入の目録を作成する場合は、保険証券の所在や契約者番号、契約印についても分かるように記しておきましょう。

これらの金融機関の一覧や通帳・証券などは、どこにあるかを家族にも知らせ、分かるようにしておくとスムーズです。

③不動産

日本人の資産に占める比率が大きい資産は不動産です。
不動産も事前の整理が重要になります。特に不動産は相続財産としての価値が分かりづらく、登記内容におかしな点があると遺族に負担を残すことになりかねません。

特に整理をしておきたいのは、所有する不動産の内容、それぞれの登記の状況、建物や土地の面積、およその評価額です。また、売買契約書や権利書があればその場所も整理し目録に残すと良いでしょう。

登記の状況や建物・土地の面積は、最寄りの法務局にて登記事項証明書を取るか、インターネット上の「登記情報提供サービス」で確認が可能です。なお、名義がまだご自身が相続した時の親の名義や御兄弟様のままであったり、隣接地との境界が曖昧などのトラブルの種がある場合は、早めに解決を図りたいところです。

土地や建物の評価額は、土地は国税庁のサイトで公表されている路線価による計算、建物は毎年春頃に届く固定資産税納税通知書の「家屋」欄に記載されている固定資産税評価額の金額がおおよその参考になります。


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