不動産投資は不労所得(ちゃりんちゃりん収入)か!?


収益不動産への投資は金融商品への投資と違い、「賃貸経営ビジネス」という事業的なものです。

ローン(借入金)を用いて賃貸不動産を購入することは相続税の節税につながる場合が多く、2015年の相続税増税の影響もあってか、不動産投資が増加傾向にあります。しかし、不動産投資は、金融商品を購入する一般的な投資と異なる性格を持つことに注意しなければなりません。不動産投資も「投資」だからと上場株式や投資信託の購入などと同じように考えてしまうと思わぬ誤算が生じてしまいます。むしろ不動産への投資は、「賃貸経営ビジネス」をするという、一種の事業家になるのだと認識した方が適切です。

相続税増増税の影響で増える不動産投資

銀行などの金融機関から不動産業向けへの融資が上がり続けています。2014年の国内銀行の不動産業向け新規貸し出しは10兆円を上回りました。これはバブル絶頂期の1989年やミニバブルといわれた2007年とほぼ同じ水準です。

融資の増加の背景には、大手都市銀行による大規模再開発事業向けの融資や、REIT(不動産投資信託)向け融資の増加もありますが、地方銀行や信用金庫などによる個人や不動産管理会社向けなどの融資が増えたことも大きな要因となっています。特に地方の県庁所在地を中心に、金融機関から借り入れを受けてのアパートやマンションの建設が増えています。借入金を用いての不動産の購入は相続税の圧縮効果があり、不動産会社も「相続税対策」としてさかんに宣伝をしていますので、2015年の相続税増税の影響も出ていると考えられます。

賃貸用不動産を購入すると、下記のポイントにより、一般的に購入価格より相続税評価が低くなります。
・売買価格より相続税評価が低い。(相続税評価は、土地は路線価、建物は固定資産税で評価するが、一般に売買実勢価格より低い評価になる)
・貸家の評価減がある。(一般に、賃貸物件は土地が2割、建物が3割の評価)
・貸付事業用宅地の小規模宅地等特例の適用を利用できる。(一定の面積まで土地が50%評価減)

相続税の計算だけを考えるのなら、キャッシュ(現預金)を持っているより賃貸用不動産を持つ方が有利になります。さらに借入金残高は相続財産から差し引きますから相続税圧縮効果があります。これが、「相続税対策」として賃貸用不動産が宣伝される理由です。「賃貸経営ビジネス」がうまくいっている限りは、確かに有効な手段です。

金融商品への投資と異なる不動産投資

この記事の読者の中にも、「相続税対策」を念頭に不動産投資を検討されている方もいるかもしれません。しかし、同じ”投資”といっても不動産投資は金融商品の購入と大きく異なる点があります。
その一つは、購入後の手間の違いがあります。
例えば株式といった市場性のある金融商品を購入した場合、買った後に金融商品に対して直接することは基本的にありません。もちろん値動きを見ながら、売却タイミングを見定めるために日々情報収集やシミュレーションを行うなどはあるでしょう。株式投資は、値動きのウォッチやポートフォリオのモニタリングという手間はありますが、良くも悪くも一般投資家は投資対象に影響を及ぼすことも、(よほどの大株主になるというような場合を除いて)投資対象の業務に関与することもありません。株主総会には参加可能であっても、上場会社の議決に影響を与えられる場合は稀でしょう。

しかし、不動産を購入した場合は、日常業務は管理会社が代行してもらえる場合が多いですが、自分が賃貸経営の責任者となります。借主との契約や入金管理、賃貸募集などの諸々の実務は管理会社にアウトソースする場合が多いでしょう。しかし、どのような条件で入居者の募集を行うかや、内装などのメンテナンスはどこまでするか、どのような媒体で募集をするかなど意思決定はアドバイスを仰ぐことはあっても最終的にはご自身で行います。

また、物件の所有者であるオーナーは、条件が揃えば管理や広告などのレベルを超えて、大きな手を打つことも可能です。例えば、古い物件を購入した後にリノベーションを行い、収益性を高めている方もいらっしゃいます。また、一般住宅向けの物件をあえてオフィス兼用やシェアハウスなどにしてマーケティングしている方もいらっしゃいます。最近では、法的にはグレーですが、Airbnb(エアビーアンドビー)に代表される民泊ビジネスへの利用を検討する方も増えています。

このような創意工夫は、必ずしなければならないわけではありません。逆を言えば努力をすると効果があるとも言えます。サブリースで丸投げすることや、管理会社に任せっきりにすることも可能ですし、それでも条件が良ければ収益性も確保できます。しかし、不動産投資は物件選定の個別性が強く、商品の購入後にも行えることの幅が広く、不動産投資の成否もここに掛かっています。このことを面倒と感じる人もいるでしょうし、逆にやりがいがあると感じる人もいるでしょう。どちらが良い悪いという話ではありませんが、不動産投資への向き不向きには関係してきます。不動産投資を行うか悩んでいるのであれば、まず自分の性格がどちら向きなのかはよく考えてみると良いでしょう。

住みたい部屋を買えばいいわけではない

また、投資用不動産の購入時の注意点として、自分が住みたい部屋を買うのとは異なる視点が必要です。あなたにとって魅力的な部屋が、広く一般的な賃貸需要と一致するとは限りません。これはセンスや趣味という話ではなく、マーケティング的な側面になります。例えば、現在都内で新たに不動産投資を行おうという方の間では、狭小アパートが密かに注目を集めています。通常の1Rや1Kの部屋であれば、広さは20㎡前後が一般的ですが、狭小アパートは10㎡前後の1Rであり、これが若年層の入居者から人気があるのです。

不動産に限らず、日本人の購買行動全般に言えることですが、2000年代以降進み続けいている経済の二極化によって、中間的な値段の商品への需要が減りました。「そこそこちゃんとしている格安品」か「非常に優れた高級品」のどちらかに人気が集中する傾向があります。

例えば、旅館で言えば、以前まで主流だった1人1泊1万円代〜2万円代の部屋は、今はあまり流行りません。現在人気があるのは1泊数千円のところか、逆に1泊3万円以上のところです。不動産においても似たようなことが起きており、特に東京の都心では中途半端な広さで家賃も高い部屋よりは、10㎡と狭くとも立地もよくて家賃も安いという部屋が人気を詰めているのです。

これらは一例ですが、不動産投資を行う場合はこのような「賃貸経営ビジネス」をするのだという視点を持つことも重要になってきます。

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