GRIT、やり抜く力の重要性


「GRIT:グリット」という概念が、現在、米国の教育界やビジネス界で大変に注目を集めています。GRITは「やり抜く力」と訳されることが多い言葉で、GRITというタイトルで書籍も出版されています。
多くの人は、人生において成功を収められるかどうか、特に極めてスケールの大きな成功を収められるかどうかには、才能や地頭の影響が大きいと思っています。しかし、近年の研究では、才能の差以上にグリットの差がその人が成功するかどうかを決めていると報告されています。

才能以上に重要だと言われるグリット、それがどのようなものなのか見てきましょう。

成功の条件は才能か努力か

「GRIT:グリット」。この言葉や概念は以前から米国の教育界や心理学会では注目を集めていた概念なのですが、ペンシルベニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワース氏が「GRIT やり抜く力」というタイトルの本を書き、広く一般に知られるようになりました。

成功を収めるのに必要な要素は才能と努力のどちらなのかというテーマは、昔から議論に用いられてきたテーマでしょう。もちろん多くの場合は両方が必要だと思われるのですが、近年米国で行われてきた研究によって、一般的に思われている以上に「努力する力」の重要性が大きいことがわかってきたのです。

そのような研究を受けて、また当人たちの経験から実感する部分が大きいということもあって、米国の著名な政治家や経営者、芸能人などもグリットの重要性を伝える発言をしており、今米国のビジネス界でもグリットという言葉が一種のブームになっているのです。
例えばFacebookの創業経営者、マーク・ザッカーバーグ氏は「仕事での成功するための鍵は信念とグリットを持つこと」と語っていますし、Googleは人材採用の際の基準として「強いグリットを持っているか否かを重要視する」と掲げています。米国史上初の黒人大統領となったオバマ大統領も、そのスピーチの中で度々「グリット」を持つことの重要性について触れています。

大切なのは情熱と粘り強さ

そもそも才能が重要か、それとも努力が重要かという議論には、1つ見落としがあると言えるでしょう。
多くの科学者の研究では、人間はその能力(脳力)をほとんど引き出せていないということが明らかにされています。純粋な身体能力(筋力や持久力など)に関しては、人間はある程度その潜在能力を引き出せていると言われています。しかし身体をどのように運用するのか、またどのように思考を組み立てるのかという脳が重要な役割を果たす領域に関しては、人間がまだまだその潜在能力を使い切れてはいません。
つまり、才能の差を議論する前にそもそもほとんどの人が才能を発揮しきれていないのです。

もちろんスポーツや芸術の世界では身体的な違い(スポーツ選手にとっての筋力や身長、また音楽家の耳の良さや指の長さの違い)がもたらす差は大きいと言えるでしょう。
しかし一般的な仕事の能力の違いや学業における差であれば、身体的な差以上に脳の潜在能力をどれだけ発揮できるのかが重要になります。

努力の重要性を表す事例

米国で2000年代に放映されていたTV番組に子供たちが英単語のスペルの正確さを競うという番組がありました。

その番組を見て興味を持ったアンジェラ氏は面白い実験を行います。そのTV番組のコンテストに出場する子供たちに「言語知能指数」と「やり抜く力」それぞれを図る試験を受けさせたのです。
その結果をコンテストの結果に照らし合わせ得てみたところ、「言語知能指数」以上に「やり抜く力」の有無がコンテストの成績と相関があったのです。つまりこうしたコンテストに勝てる子供は人よりもたくさん練習していたというわけです。

その他にも面白い結果が得られており、「言語知能指数」が高いかどうかは「やり抜く力」ほどではありませんが、結果と相関がありました。つまり、同程度の「やり抜く力」の持ち主同士なら才能がものを言ったというわけです。ただその人の「言語知能指数」と「やり抜く力」が高いかどうかの間には特に相関関係がなかったというのです。

つまり「やり抜く力」は独立した1個の才能として存在しているのです。

何分間走れるかでその後の人生の成功がわかる

自分のグリット「やり抜く力」がどの程度のものなのか測ることができるのかは、そのためのテストを次回の記事でお伝えしますので、もう1つ面白いエピソードをお伝えします。

1940年、ハーバード大学の研究者らが興味深い研究をスタートさせました。どのようなタイプの人が健康で幸福な人生を過ごせるのかを突き止めようという研究で、その中には130名もの大学2年生を集め、体力テストを実施し、その後も2年ごとに追跡調査を実施して若い時の体力とその後の人生の成功(心理的な満足度や、環境への適応度度合い)に相関関係があるのかを調べてたのです。
そのテストの中には肉体的にも精神的にも疲労に追い込まれた状態で、急傾斜に設定された(そのため走るのが厳しい)ランニングマシンでの耐久テストも含まれていました。このテストは体力の差が関係なくなるよう、事前に疲労に追い込まれているので、基礎体力ではなく「走り抜く根性(=やり抜く力)」を見るためのテストでした。

テストの結果は、まず基礎体力が高いかどうかや体格に優れているかどうかと、このランニングマシンの結果(耐久時間)との間に相関は無かったそうです。

そしてその後の数十年に及ぶ追跡調査の結果は、若い頃の基礎体力や体型などと人生の成功や満足度の間に相関関係は特になかったものの、疲労状態でのランニングテストの耐久結果(走り続けることができた時間)だけは、その後の成功や満足度と高い相関関係があったのです。

いかにGRITが人生の成功につながるのかを表す1つの事例と言えるでしょう。

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