もうすぐ始まる2017年確定申告、所得税計算の流れを理解(前編)


個人事業主や不動産所得を得ている人、給与以外の収入が20万円を超える人、また2000万円以上の給与収入がある人などは、収入があった年の翌年2月16日から3月15日の間に確定申告を行わなければなりません。
自身で確定申告を行う場合だけでなく、仕事などで多忙な人や確定申告が不慣れで面倒な人などは、税理士にお任せして丸投げしてしまっている人もいるでしょうが、それでも自分の納める税金がどのような決め事で計算されているのかを理解することは大切です。
そこで、今回の記事では前編・後編の2回に分け、所得税の計算の流れをお伝えします。まず前編の今回は計算大きな流れと、計算するべき所得の種類についてお届けします。

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税額計算の流れ

まずは確定申告に向けて、所得税の計算方法の大きな流れを押さえておきましょう。同時に基本的な用語の理解として、収入と所得の違いも理解しておきましょう。
「収入」とは自分の手元に入ってきたお金の総額のことなのですが、この金額が所得税の課税ベースになるわけでありません。収入から必要経費や各種控除(所得控除)を差し引いた「所得」が所得税の課税ベースになります。
売り上げが同じく1000万円だった個人事業主でも、必要経費が100万円で済んだ人と500万円で済んだ人では手元に残る金額の差が大きく、同じ税額を課すわけにはいきません。そのため、税金は利益(税金の世界では「所得」)に対して一定の税率を掛けて算定されます。会社員は給与収入から一律給与所得控除という形で差し引かれ所得が算出されます。

また総合課税と分離課税の違いについても先に理解をしておきましょう。
個人の所得は収入形態に基づき、給与所得や利子所得、事業所得など複数の種類に分けられ、それらは所得税の計算時に合算(損益通算)することができる総合課税と、合算することができずその所得固有の税率をかけて税額を求める分離課税にグループ分けされます。株式売買の利益が分離課税の代表例になります。

上記のような事柄を踏まえ、所得税の計算の流れは下記の4ステップになります。

01 所得の分類と所得金額の計算

まずは、自分の所得の把握を行います。なお所得は全部で10種類に分けられます。それぞれがどう異なるかや、総合課税と分離課税のどちらに属するのかなどを理解しましょう。「給与」(会社員)、「事業」(個人事業)、「不動産」(不動産賃貸)が主なものになります。

02 各所得額の合算と課税標準の計算

各所得の金額を求めたら、総合課税のグループはそれらを合算(損益通算)し、課税のベースとなる課税標準を求めます。ただし上にもお書きしたように、分離課税に分類される所得に関しては、個別に計算をしなければならないので注意していください。

03 課税標準から所得控除を差し引き、課税所得金額を計算

各所得から控除されるものがあればこの段階で控除を行います。所得控除は、国民健康保険や国民年金・厚生年金の支払額や生命保険の支払額などの項目があります。
ふるさと納税をした場合の寄付金控除も所得控除の対象になります。

04 税率と税額控除の適用

求めた各所得に対して対応する税率を掛け合わせて所得税額を求めます。なお、総合課税は超過累進課税税率となっており、その金額によって税率が変わります。
超過累進課税とは、所得の少ない部分については低い税率を、所得の大きい部分については高い税率を掛けるというものです。段階的に税率が上がっていきます。また、所得が小さい部分については低い税率が適用されるので、控除額というのを引くことにより計算が合う仕組みになっています。
所得1000万円の所得税額は、10,000,000円× 33% – 1,536,000円 = 1,764,000円という計算になります。

所得税の速算表
 

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

*平成25年から平成49年までの各年分の確定申告においては、所得税と別に、東日本大震災の復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)が掛かります。

一方分離課税は、その所得ごとに固有の税率が定められています。
そして求めた税額から各種税額控除を差し引きます。

所得分類と所得金額の計算

所得の種類とその特徴を把握しましょう。

①利子所得(分離課税)

銀行預金や郵便貯金、また公社債などの利子です。海外の金融機関から受け取った、国外のものも対象です。利子に関する所得税は一般的に源泉徴収されており、確定申告の必要が倍場合もあります。また利子所得の場合、経費などは認められず、収入金額がそのまま所得金額になります。

②配当所得(分離課税)

株主が法人から受け取る配当金で、投資信託や特定目的投資信託からの配当金も含みます。ただし利子所得とは異なるものですので、公社債投資信託からの配当金はここには含まれません。
また株式や投資信託を購入するために借り入れを行っている場合、収入(配当金)から支払い利子を引いた金額が所得になります。

③不動産所得(総合課税)

土地や建物などを住居用や店舗用などに貸して得られる家賃などの所得です。なお船舶や航空機も不動産に分類されるため、それらを貸し付けて得る収益もここに分類されます。
不動産所得の場合は先の利子所得や配当所得と比較して経費として認められる範囲が広く、購入した建物の減価償却などもあるので、その辺りがポイントと言えるでしょう。

④事業所得(総合課税)

個人事業主や農家の方などが自らの自営業によって得た所得で、総収入から経費を差し引いて計算します。

⑤給与所得(総合課税)

勤務先から支払われる給与や賞与などがここに該当します。正社員やアルバイト、あるいは役員かどうかなどの違いはありませんが、退職金は退職所得に分類されここには含まれません。
給与収入から給与所得控除額を差し引いて計算します。

⑥雑所得(総合課税)

事業所得ではなくその他の所得は雑所得としてまとめられます。また公的年金や個人年金もここに入りますし、作家以外の人が受け取る原稿料や印税、個人的にお金を貸していてそこから得た利子も雑所得になります。
原稿料や印税などは収入から経費を差し引いた額、年金に関しては収入金額から公的年金控除額を差し引いた金額が所得金額になります。

⑦一時所得(総合課税)

例えば生命保険や損害保険の満期返戻金や解約返戻金、また検証の当選や競馬・競輪の返戻金などは一時所得に分類されます。
総収入からその収入を得るために使った経費を差し引き、さらに特別控除額を引いて求めます。ただし、他の所得と合算するのはここで求めた金額の1/2になります。

⑧譲渡所得(分離課税)

土地や建物などの不動産、また株式などの金融資産やその他資産(骨董品や美術品、また工場用機械など)を売却した際に、購入額よりも高く売却できた場合に発生する所得です。
総収入金額から取得費と譲渡費用、また特別控除額を差し引いて計算します。

⑨山林所得(分離課税)

譲渡所得と同じく、山林を売却した際に購入した取得費よりも高かった場合に発生する所得です。総収入金額から経費と特別控除額を差し引いて計算します。

⑩退職所得(分離課税)

退職金(退職一時金)を受け取った場合の所得です。退職金は控除される金額が大きく、収入金額から退職所得控除額を差し引き、さらに1/2をかけた金額までしか所得になりません。また分離課税であるたため、他の所得と合算されない状態で累進課税の適用を受けますので、合算された場合に比較して低い税率のバーが採用されることがあります。
このため企業オーナーの場合は退職金を活用したタックスプランニングを行う方が多いですし、個人型確定拠出年金(iDeCo)が税制上有利なのも、満期になって通常口座に資産を移す際に退職金と扱いで退職金と同じような控除計算をしてくれるからです。
(iDeCoは一時金として受け取る以外に年金のように受け取ることも可能で、その場合は年金と同様の控除があります。)

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以上、主に所得の種類とそれぞれの計算方法についてお届けしました。
次回は所得をもとにどう税額を計算するのかをお届けします。


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