もうすぐ始まる2017年確定申告、所得税計算の流れを理解(後編)


前回と前々回の記事にて、2017年の確定申告に向け、所得税計算の流れとして所得の10種類に分類される各所得の概要、また所得の合算(損益通算)方法や、所得控除についてお伝えしてきました。

もうすぐ始まる2017年確定申告、所得税計算の流れを理解(前編)
もうすぐ始まる2017年確定申告、所得税計算の流れを理解(中編)

各所得の合計(総所得)から所得控除を引いて求めた金額を課税標準といい、その課税標準に適用税率をかけて求めた金額から税額控除をした金額が自分の納めるべき所得税額となります。
所得控除が所得から差し引ける項目であり、税額控除は税額を差し引く項目です。税額は所得×税率-控除額になりますので、同じ金額でも税額を引く税額控除は税金が減るインパクトが大きい事になります。税額控除は、住宅ローン控除や、認定NPO法人等や政党又は政治資金団体に対して一定の寄附金を支払った場合の寄附金特別控除や住宅ローン控除が主なものです。

今回は所得税の税率についてと、税額控除の詳細について見ていきましょう。

税率の適用

所得税は超過累進課税という仕組みになっていますので、所得が高くなるごとに「段階的に」税率が上がります。
「段階的に」というのは、例えば所得2000万円のときに2000万円全体に税率を掛けるのではなく、低い所得の分については低い税率が適用されるということになります。195万×5%+(330万-195万)×10%+・・・と、段階的に高い税率を適用して計算していくことになります。これと同じ計算結果になるように与えられているのが表右側の控除額で、所得2000万の場合は、2000万×40%-2,796,000=5,204,000円が課税される所得税額になります。
所得税への税率の適用ですが、まずは課税される所得の課税標準が以下の表のうち、どの区分に該当するのか確認しましょう。そして該当する控除額を控除して、適用税率をかけて税額を計算します。

 

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

なお分離課税の所得に関しては、個別の対応税率をかける必要があるので注意していください。以下の所得が主な分離申告の所得とその税率です。
なお、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間、所得の2.1%につき所得税とともに東日本大震災に伴う復興特別所得税が掛かります。

利子所得

一部の外国債券などの利子以外は15.315%(源泉徴収の場合、他に住民税5%を合わせて20.315%が徴収)。
*15.315%は、所得税15%と復興特別所得税0.315%です。以下同じ税率のものも同様です。

配当所得

総合課税ではなく、分離課税になる場合上場株式などは15.315%(源泉徴収の場合、他に住民税5%を合わせて20.315%が徴収)。
また非上場株式などは20.42%(住民税はなし)。

株式の譲渡所得

20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税が5%)

土地・建物などの譲渡所得

長期譲渡所得の場合、課税長期譲渡所得金額×15.315%。
短期譲渡所得の場合、課税短期譲渡所得金額×30.630%。
不動産等の総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=譲渡益
不動産の所有期間が5年以下の場合「短期譲渡所得」、5年を超える場合「長期譲渡所得」となります。なお、ここでの5年は1月1日を5回で計算しますので気を付けましょう。不動産を取得した翌年初から5年と覚えておけばいいでしょう。
特別控除は、公共事業のために土地建物を売却した場合の5000万控除や自己の居住用財産を売却した場合の居住用財産の3,000万円控除の特例などがあります。

主な税額控除の内容

上記で求めた各税額を足し合わせ納税額を算出しますが、所得税の計算では最後に税額控除を行います。控除には所得の税率をかける前に行う所得控除と、税率をかけた後に行う税額控除の2種類があり、一般的に所得控除の方が高額所得者に相対的に有利と言われています(控除された所得分×各人の税率だけ税金が減るため)。
同じ控除金額でも税率の高い高額所得者の方が納税額への影響が大きくなります。なお、こうしたことを背景に、所得控除を減らして税額控除を多くすることで、低所得者支援を行なっていくのかどうかが所得税制改革の重要なテーマとなっています。

現状の主だった税額控除の中から、個人に関わりのあるものの内容を見ていきましょう。

01 配当控除

申告分離課税を選択していない配当所得が総所得金額の中にある場合、その金額の5%または10%を税金から直接控除可能です。

02 外国税額控除

外国で生じた所得によって当該国に所得税、もしくはそれに類する税金を既に納めている場合、その金額が税額から控除されます。
海外に賃貸不動産を所有している場合に、現地での納税を日本での所得税から減らせるような仕組みがあります。

03 政党等寄付金特別控除

政党または政治団体に一定の寄付をした場合に控除が受けられます。ただし、寄附金控除と二重には受けられません。なお控除額は下記の計算式によりますが、所得税額の4分の1の金額が限度額になります。

政党等寄付金特別控除額=(その年中に支出した政党などに対する年間の寄付金の総額−2,000円)×30%

04 認定NPO法人等寄付金特別控除

認定NPO法人へ寄付をした場合、一定の範囲で控除が受けられます。寄附金控除と二重には受けられません。

05 公益社団法人等寄付金特別控除

公益社団法人、公益財団法人、また学校法人などの公益法人への寄付に対して一定の控除が受けられます。ただし、寄附金控除と二重には受けられません。

06 住宅借入金等特別控除

いわゆる住宅ローン減税のことで、日本の居住者が銀行などの金融機関からローンを組んで住宅を取得したり、増改築などを行ったりした場合に受けられる控除です。

07 住宅耐震改修特別控除

耐震改修工事を行った場合に受けられる控除ですが、1981年5月以前に建てられて現在も住居として利用している家屋が対象です。

08 住宅特定改修特別税額控除

省エネのための工事や宅内の段差をなくすなど一定の条件を満たした増改築改修工事を行った場合に受けられる控除です。ただし、住宅借入金等特別控除との二重には受けられません。

09 認定住宅新築等特別税額控除

低炭素建築物である家屋の新築、建築後未入居未使用の低炭素建築物の取得、認定長期優良住宅の新築、建築後未入居未使用の認定長期優良住宅の取得のいずれかがあった場合に受けられる控除です。

以上、所得税計算の一連の流れについてお伝えしました。ご自身の正式な税額に関しては専門家へのご相談がおすすめです。
相続tokyoでもご相談は受け付けておりますので、ご相談したい方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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