税務調査に納得できない時にどうするか?国税不服審判所や裁判所への訴え方


日本では申告納税制度となっており、納税者が自ら税務申告をして、税務署が申告内容の調査権限に基づき税務調査を行い、誤りなどがあった場合に追徴課税を受けることになります。法人税・所得税はじめ相続税では、申告内容においては時に税務署に申告内容に問題がありそうだと税務署がみると、税務調査の対象になってしまう場合があります。例えば相続税の場合、平成26年度は12,406件の実地調査が行われ、10,151件の調査で非違が認められました(非違割合81.8%)。また平成27年度は11,935件の調査が行われ、9,761件の調査で非違が認められています(非違割合81.8%)。

こうした非違の理由が、明らかな財産隠しや所得隠しなどであれば言い逃れはできません。税務署・国税庁の処分に従って税金を納める必要があります。しかし税法においては曖昧な部分も多く、明確に白黒分けられないような場合もあります。相続税法では、財産の名義や相続財産の評価方法などです。

そこで今回の記事では、税務署による更正の請求が行われその内容に納得できない場合の対処方法の基本的な流れをお伝えします。

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税務調査に納得できない場合の流れ

一定の富裕層(重点管理富裕層)の場合は、相続の発生段階より前の生前のうちから、税務署は様々な方法で情報収集を行っています。そうして集めた情報と相続税申告の有無や相続税申告の内容を照らし合わせるのですが、その結果、疑わしい点がある場合、税務署は相続税に関する実地調査(税務調査)を行うことは冒頭にお伝えした通りです。
税務調査が実際に行われた場合、通常は申告を依頼した税理士に相談し、調査資料などを揃えた上で調査担当官と話し合いを行います。この段階で納税者側の意見が受け入れられれば良いのですが、折り合いつかなければ、調査担当官の上司に掛け合います。
しかし、それでもこちらの意見が受け入れられなかった場合は、税務署から更正の請求が行われ、処分(無申告・過少申告分の税加算並びに延滞税や過怠税、重加算税などの加算)が行われます。

ここで処分の内容に納得できない場合、以下のようなプロセスで異議の申し立てや訴えを起こします。
なお、税務署は修正申告をするように誘導しますが、修正申告は納税者が自ら自主的に税額の誤りを修正するものであるため、修正申告を行った場合には下記のような異議は出来ません。税務署の見解に納得がいかず、本気で異議の申し立てを行う場合は、修正申告をしてはいけません。

1税務署長への異議申立て
2国税不服審判所への審査請求
3訴訟

具体的な流れを見ていきましょう。

税務署長への訴え

まず各地の税務署などの申し渡された処分(更正などの課税処分や差押え)に不満がある場合、これらの処分を行った税務署の所長に対して不服申立てを行い、再調査の請求を行います。
注意点として、再調査の請求は処分の通知を受けた日の翌日から3ヶ月以内にその税務署の所長宛に再調査の請求書を提出することが原則になります。税務調査の時点で税理士に相談をしていると思いますので、その税理士にもアドバイスをもらいながら請求を行うと良いでしょう。

再調査の請求を受け取った税務署長は、行った処分が適正だったか否かを調査・審理し、再調査決定謄本という形で納税者に対して通知を行います。この段階で自分たちの意見を通せたり、あるいは税務署の処分に不服がない場合はここで終了です。しかしまだ納得のできる結論を得られない場合、国税不服審判所への審査請求へと進みます。
(※税務署長への再調査の請求を経ず、直接国税不服審判所長に対して審査請求を行うことも可能です。)

国税不服審判所への訴え方

税務署長等が行った処分や再調査の結果に納得できない場合、いきなり裁判所へ訴えるのではなくまずは国税不服審判所という機関に対して不服を申し立て=「審査請求」を行うことになります。

国税不服審判所とは、国の特別の機関として独立しており、もともとは昭和45年に国税庁の附属機関として設置されました。税務署や国税局などの機関から独立した別個の機関として、課税や税務署などからの処分に関する国民の訴え(審査請求)を受け付け、納税者の権利保護や救済を図る機関です。
国税不服審判所の本部は東京都千代田区霞が関に置かれ、その他に全国に12の支部と7の支所が存在します(東京には本部のほかに東京国税不服審判所という支部があり、通常審査請求はそちらに行います)。

審査請求が受け付けられる期間ですが、税務署長への再調査の請求を経ずに行う場合は、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に行わなければなりません。再調査の請求を経てからの場合は、再調査決定書謄本の送達を受けた日の翌日から1か月以内が期限となります。それぞれ国税不服審判所長に宛に審査請求書を提出することにより行います。

なお、審査請求では、国税不服審判所から手数料などを請求されることはありません。また、国税不服審判所の審査の結果、納税者に不利になるような裁決がでることはありません。

国税不服審判所の標準審理期間

国税不服審判所に審査請求を行った場合に掛かる時間ですが、国税不服審判所に審査請求所が到達してからの標準的な審査期間は1年間とされています。
ただし、審査請求を行った日の翌日から3か月経過しても裁決がない場合、裁決を待たずに裁判所への訴えを提起することも可能です。

また、国税不服審判所のホームページでは公表裁決事例集も掲載されています。過去の実績に基づき、類似のケースがあった場合にはどのようになるかの参考や、申告時の税務処理の判断材料にもなります。

裁判所への訴え方

国税不服審判所長の裁決を受けた後、まだその処分の結果に不満がある場合、通知を受けた日の翌日から6か月以内に裁判所に訴訟を起こすことが可能です。そしてそれ以降は地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と争う場所を変えていき、最高裁判所での争いが最終的な結論になります。

ただ、ここまで争うことは非常に負担も大きいため、どの程度の勝率があるのかや経済的に争う価値があるのか冷静に見極めを行った良いでしょう。武富士裁判のような例外もありますが、一般的に裁判所へ訴えを起こしても納税者側が勝利を収めることはあまり多くありません。


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