躍進するクラウド会計は企業経営にどんな影響を与えていくのか?


近年、金融×ITのFinTechの文脈の中で「クラウド会計」という言葉を目にする機会が増えてきました。
「クラウド会計」は、銀行の入出金データやクレジットカード明細と会計ソフトを連携してデータを取り込み、自動的に仕訳してくれるため、会計業務や経理処理を業務負担を少なくすることが可能になったり、データをクラウド上に保管し、自分のパソコンが壊れてもデータ紛失が予防されたり、複数人でデータ共有がタイムリーに出来るようになっています。
利便性とオンライン上で会計業務が出来るという敷居の低さから、会計に慣れていない個人事業主や中小企業での利用が広がっています。

そもそもクラウド(CLOUD)とは雲という意味であり、まるで空に浮かぶ雲にアクセスするようにインターネット上のデータやソフトウェアにアクセスすることで、手元のデバイス(パソコンやスマートフォン)の中にデータやソフトウェアが入っていなくともデータの確認や作業が可能になるということです。
日本でも2010年前後から目にする機会が増えてきた言葉です。

これだけであれば手元デバイスの容量やCPUを節約できるというだけになってしまいますが、上記のような仕組みを生かすことで、データや作業の保存性の向上、複数デバイスからの同時アクセス、異なるシステムやデバイス間のデータ同期による作業の効率化などを可能とし、ビジネスや生活の様々なシーンで今までできなかったような生産性の向上や新たな価値の創出を可能としています。

今回の記事では、こうしたクラウドの技術が税務や会計に応用された、クラウド会計についてお届けします。

クラウド会計とは何か?

上述の通りクラウド会計とはクラウドの技術や概念を会計(及び税務)のソフトウェアや処理に応用したものです。これまでの会計ソフトでは、データは個別デバイス(パソコン)内に保存、あるいは社内システムの中に保存され管理・運用されてきました。しかしクラウド会計では、クラウド会計サービスを提供するサービス事業者が所有、もしくは管理するサーバー内にデータを預け入れ、インターネットに接続しIDとパスワードを入力すればどこからでもアクセス出来るという仕組みです。
現在はマネーフォワード社が提供するMFクラウドや、Freee株式会社が提供するfreeeなどが有名です。

クラウド会計サービスの日本での登場は2012年頃なのですが、利用者が加速度的に増加しており、中小企業庁の調査では2016年末の時点で約100万社もの法人がなんらかの形でクラウド会計を利用しているとされています。
日本には400万社弱の中小企業があるので、実に4分の1の企業がクラウド会計をすでに導入している計算になります。
freeeは、ユーザー数は60万を突破(2016年4月)、MFクラウド会計・確定申告はユーザー数は40万を突破(2015年8月)とニュースリリースされています。これらは法人だけでなく個人事業主も含まれていたり、課金ユーザー数ベースではなく無料でのID登録の利用等も含んでいると思われます。また中小企業の400万社弱の中には休眠企業のようなものも含まれていますが、実際に稼働している企業ではそれなりの数の企業がクラウド会計を利用していると言えるでしょう。

クラウド会計の強み

クラウド会計を導入することによる企業経営上のメリットを見ていきましょう。

データ処理の簡便化

クラウド会計を利用することの強みやメリットについて、一番大きいのは事務負担の軽減です。ただ単にデータの保存や処理を手元デバイスではなく外部サーバーで行うだけであれば、大きなメリットはありません。自社内に専用サービスを構築するより、サービスの導入費用が安価になる可能性はあります。

クラウド会計サービスはインターネットを通して他のシステムにアクセスが可能となりますので、例えば預金口座の記帳データやクレジットカードの明細データと同期が可能となります。つまり、これらのデータをいちいち打ち込む必要がなくなります。預金やクレジットカードの他に、例えばレジシステムと同期をすれば飲食店や小売店での会計作業も大幅に軽減します。
立替払いした領収書の集計は手間が掛かります。現金支払いした経費に関しても、領収書をスマートフォンなどで写真撮影し、そのデータを送信すると自動で処理しクラウド会計内のデータに同期してくれるサービスやアプリも存在しています。
また会計処理の中では仕訳作業が発生しますが、初めの設定さえしてしまえば、データ連携が出来る取引に関してはクラウド会計のシステムが仕訳作業も自動で行ってくれます(特定の支出や特定の入出金先と紐付ける仕組みです)。
このような仕組みをうまく活用することによって、会計処理に関わる手間がビジネスモデルによっては数分の1にまで低減する例もあるのです。

経営データの早期・即時入手

またデータ同期による処理の簡便化は会計処理のスピードアップという利点ももたらし、経営に関する重要なデータを経営者がタイムリーに入手できるようにしてくれます。適時に会計データへの取り込みや経理処理を行うことで、場合によっては翌月になるまでその月の財務状況が分からなかったことが数日以内、場合によっては翌日にはもう分かるようになる可能性もあります。
このことによって資金繰りが危険になりそうかどうかについて早期に予測を立て行動に移したり、赤字転落のリスクに備えて早期に施策を講じることが可能となります。また営業上のキャンペーンなどを行った際に、そうしたキャンペーンの効果測定も早期に行なうことが可能になるので、営業戦略の改善を進めていく上でも有効と言えるでしょう。

外部連携の強化

またクラウド会計はそのデータがインターネット上に存在するため、外部連携を加速させるというメリットも持っています。法人になると、会計事務所や税理士事務所などに経理や税務の一部を依頼している例は多いと思いますが、そうしたところと会計データを即時で同期できるようになりますので、資金繰り上や会計上のアラートやコンサルティングなどをそうした外部の期間も行いやすくなるのです。
わざわざお互いに行き来する必要も下がりますので、簡単な相談であればデータを共有しながら電話やチャットなどでも行えてしまいます。

また会計データを銀行などと共有し、融資ための基本資料としてもらうことも可能です。こうすることで融資審査に係る時間を減らすことができます。
実際に、クラウド会計の会社では、銀行と連携してタイムリーな融資を実行するサービスにも乗り出しています。
また、今後は銀行が融資判断の基準として会計状況の透明性を今まで以上に重視していく可能性が高いため、クラウド会計を導入しきちんとした会計を行っているかどうかがそもそも融資判断の基準の1つとなる可能性もあるかもしれません。

一方で、クラウド会計は、ネットワークと繋がっていないと作業が出来ないことや、仕訳の手入力の作業や複合仕訳等の処理には使いずらい面もあります。
また、高額なソフトウェアを導入するようなお金が掛かるわけではありませんが、買い切りの会計シフトとは異なりクラウド会計を使用している間にわたって定額でお金が掛かり続けます。それなりの規模になったら会計ソフトのアップデートも必要ですが、個人事業主や中小企業であれば毎年買い替える必要はありません。

以上、クラウド会計サービスの概要や企業経営への影響について簡単なポイントお伝えしました。クラウド会計の使いこなし方などは面倒な経理業務の負荷の軽減や税務申告にあたっても重要ですので、相続tokyoでは、今後もクラウド会計やFinTechに関する情報提供を続けていきたいと思います。

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