終活業界の今〜増える家族葬や散骨の人気〜


少子高齢化が拡大する日本では、近年の相続ブームの影響もあってか人生の最後をどのように迎えるか、また家族や親族(あるいは社会)に対して何を遺すのかという「終活」への関心が高まってきています。
また、そうした関心の高まりを反映するかのように、終活や葬儀などに関する斬新なサービスが多く誕生しています。
しかし、一方では、終活・葬儀関連の業界の意識が先走っているだけで、実際に終活を迎える1人1人の気持ちがおざなりになっているという批判も存在し、今後の業界のあり方が問われています。

今回は、そのような終活・葬儀業界の現状をざっと見ていきましょう。

終活業界の巨大な市場規模

現在、終活・葬儀業界への社会的な関心が高まってきており、高齢化が進む日本では市場の拡大が期待されるとともに、関連ビジネスを行う事業者も様々な工夫を実施しています。
例えば2017年8月下旬に東京ビックサイトで開催されたエンディング産業展2017の参加者数は25,867人だったのですが、これは同イベント参加者人数の過去最大です。

これだけ現在の終活市場に注目が集まっていることの原因は、社会の少子高齢化や人口ピラミッド上必然的に迎える年間死亡者数の増加が大きな要因でしょう。
戦後の高度経済成長期には70万人前後だった日本人の年間死亡者数は1980年代から徐々に増加し、2003年には100万人を突破、2017年現在は約130万人となっています。年間死亡者数の人数は今後団塊世代の高齢化とともに死亡数増加が予想されるため、さらに増加し2030年には160万人を超えると言われています。
必然的に終活・葬儀産業も活況を呈しており、経済産業省が2015年に発表した「特定サービス産業実態調査」によれば、葬儀産業の売上高は1兆3739億円と1兆円を超える巨大な市場を形成しています。

こうした終活・葬儀市場の拡大や、様々な社会情勢の変化によって、今、終活・葬儀産業に大きな変化を迎えています。

発展する終活・葬儀サービス

現在の終活・葬儀サービスの特徴を強引にまとめるとすれば、「多様化」という言葉が一番しっくりくるかもしれません。
前述のような終活・葬儀市場の拡大(可能性)は業界のビジネス面での魅力を押し上げ多くの新規参入者を生んでいます。そして新規参入者は既存事業者との差別化のために、ユニークなサービスを次々と提供しています。
色物的に一時の注目は集めたとしても、定着せず収益化も実現したなかったサービスも多いですが、その一方で終活・葬儀の新トレンドと言えるような新サービスも登場してきています。

また近年では経済情勢や社会環境の変化や家族形態の多様化などが進んでおり、こうしたことも終活・葬儀サービスのあり方に大きな影響を与えています。

家族葬・直葬の普及

現在、終活・葬儀業界が迎えている大きな質的な変化として、家族葬や直葬の普及が挙げられます。戦後の日本の代表的な葬儀形式は、故人と生前に縁のあったご友人や仕事関係者、趣味のサークル、近所の方など、広く一般の人を招く一般層です。しかし地域コミュニティや、終身雇用を前提とした強固な職場での関係性などが崩れていること、また金銭的に余裕のない人も増えていることから、近年では家族やごく親しい友人のみを招いて葬儀を行う家族葬が一般的となってきました。
当然、規模の大きい一般層の方が出費も大きく、葬儀事業者は儲かります。家族葬はその逆になってしまいます。

さらには家族葬すら行わず、通夜や告別式などの宗教儀式を一切行わない火葬のみを実施する直葬も増加しています。直葬の場合葬儀費用は平均18万円程度と安価で、さらに葬儀にかかる時間も大幅に短縮されます。
直葬の場合、故人との別れを惜しむ時間はあまり取れなくなりますが、それが望まれないほどに人間関係が希薄化している部分もあるのでしょう。

散骨の人気

また葬儀の他に埋葬形態にも大きな変化が起きており、特に目立つのはそもそもお墓を持たない散骨の人気拡大です。
高度経済成長期、生まれ持った地元を離れ、工場などに就職するために東京などの都市部に移住する人が大勢存在しました。現在も理由は変われど、地方から都市部への人口集中は続いています。その結果として生まれ育った地元のお墓の管理が難しくなってしまい、ならばいっそお墓を持たないように散骨を選んでしまおうという人が増えているのです。
特に亡くなる人が多い70代以降の世代の場合、若い時代に感じた都市化や仕事でのストレスの反動もあって、自然回帰の発想や志向が強い方も多く、そのため散骨を希望される方が多いという理由もあるでしょう。
船から海に散骨したり、森林などに散骨したりといったものが人気です。

ユニークな葬儀の形も

また散骨の発展系としては、宇宙葬のような当たらしい埋葬の形を希望し実行に移される方も少数ながら出てきました。ロケットに遺骨を入れて宇宙空間に打ち上げ、大気圏にて燃焼させてしまったり、あるいは宇宙空間に放出、もしくは地球の周回軌道上に打ち上げてしまったりなど幾つかのパターンがありますが、今後の宇宙開発が進む中で実行する人が増えていくかもしれません。

業界に対する苦言の声も

以上、現在の終活・葬儀業界の発展や活況に関する話題をお届けしましたが、現状への批判的な意見も存在し、結局売り手側の都合のみで今の業界が進んでいるというものです。本屋に行けば終活関連の書籍や雑誌を見ない日はないですが、実際にそうした本を買われた中で例えばエンディングノートなどを書いている人は少数派でしょう。

人間の生死という非常に重要でナイーブな面があるものだけに、一時のブームに終わらせない誠意ある工夫が求められています。

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