子に遺産を渡したく無い場合の相続排除


日本の相続法制では、遺言が無い場合被相続人が亡くなると相続財産はほい法定相続人全員の共有財産となり、その後遺産分割協議で誰が何を取得するのかを個別に決めていきます。
そして子供がいる場合、必ず子供は法定相続人に含まれる事になります。また法定相続人には遺留分と言って法定相続分の2分の1までの相続財産に対する権利が認められており、これは遺言でも侵害できません。

つまり、親がもし何かしらの事情で財産を渡したく無い子供がいたとしても、どうしても子供には財産が渡ってしまうのです。
大半の家庭では子供に財産を遺したいと思うでしょうし、寧ろ相続税を節税して少しでも多く財産を残そうと知恵を絞られる場合の方が一般的でしょう。しかし人間感情の生き物ですので、過去様々な事件があったりどうしての価値観・感性・性格的な不一致などがある場合、子供に財産を遺したくは無いという場合もあります。

ここでは子供に財産を遺したく無い事情がある場合の対応について見ていきましょう。

明確な事情がある場合の相続排除

相続財産を渡さないようにする為の基本的な手法が、家庭裁判所に申し立てを行って行う相続人の排除です。
この制度は民法892条によって規定されており、相続人が被相続人に対して著しい非行を行っていた事実がある場合に、家庭裁判所に「推定相続人廃除審判申立て」を行う事によって遺留分の請求権を含む相続人の権利を剥奪する制度です。

(※兄弟姉妹には遺留分が無いので、この「推定相続人廃除審判申立て」は行えません。子も親も配偶者もなく、兄弟姉妹が法定相続人となっている際に遺産を渡したく無い場合は、自筆証書遺言か公正証書遺言によってその旨を記し、望む人への遺贈などを指定しておけば大丈夫です。)

ただし伝統的に”家”というものの共同体制を重視する日本では、相続権の剥奪を家庭裁判所は簡単には認めません。非常に慎重になって審議する傾向にあり、実際に相続廃除が認められた事例はそれほど多くないとされています。
実際に相続排除が認められる要件ですが、被相続人を著しく侮辱していたり虐待していた場合、また他の相続人に対して著しい非行があった場合です。またその他に、賭博等によって生じた多額の借金の返済を被相続人に行わせていたり、異性問題を繰り返した場合、反社会的団体への加入や5年以上の有期懲役、無期懲役または死刑に該当するような犯罪行為を行った場合も排除の理由となり得ます。
しかしその一方、家業を継がなかったとか親の意に反する就職や結婚をしたという程度では相続排除は認められません。

なお子の相続排除が行われた場合でも、その子の子(孫)がいた場合は代襲相続権が発生します。

遺言による相続排除

相続排除は生前のうちに家庭裁判所に申請を行なうことが一般的ですが、遺言によって相続排除を行うことも可能です。しかし、相続人にはその場合異議申し立ての権利が与えられており、異議申し立てが行われた場合は刑務所などの収容歴があるような場合を除いて相続排除が認められることはほとんどありません。

相続欠落

上記の相続排除は簡単には行えませんが、特定の事由に該当する場合無条件で相続人の権利が失われ制度があり、それが相続排除です。
例えば被相続人や先順位・同順位の相続人を故意に殺してしまったような場合や、詐欺・強迫によって被相続人に遺言を作成させたり、遺言書に対して偽造や変造、また隠匿や破棄などを行った場合です。

なお、相続欠落の場合でも子の子(孫)がいた場合は相続排除と同様に代襲相続は発生します。


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