非嫡出子が存在する場合の遺産分割と相続分

ここでは非嫡出子が存在する場合の相続や遺産分割について見ていきましょう。多くの方が非嫡出子の存在などは気にされていないと思いますが、「まさかこの人が」というようば場合も多く、意外に身近な話題だったりもします。
決してドラマの中だけでの出来事ではなく、自分たちの家庭ないしは親族の相続などで起こりうることと思って知識は持っておいた方が良いでしょう。

後に述べるように、非嫡出子だからと言って遺産分割上の不公平は現在ではありません。ただ感情的なもつれの問題や、配偶者相続人との関係、また介護の負担と相続分の関係など複雑な問題が生じてしまいがちです。

非嫡出子とは何か?

そもそも非嫡出子とは何なのか、後損じない方のために説明しましょう。
非嫡出子とは法律上の正式な婚姻関係がない男女の間に生まれた子どものことです。また非嫡出子と対になる概念で「嫡出子」というものがありますが、下記に述べる「嫡出子との条件」に「当てはまらない人物」が非嫡出子となります。

嫡出子の条件

・婚姻中に妊娠した子ども
・婚姻後201日目以後に生まれた子ども
・父親の死亡後、もしくは離婚後300日以内に生まれたこども
・未婚時に生まれてから、父母が婚姻し、父親が認知をした子ども
・未婚時に生まれて認知をされ、その後に父母が婚姻した子ども
・養子縁組の子ども

端的に言えば、非嫡出子=婚外子と言って良いでしょう。

嫡出子も非嫡出子も権利は対等

相続が発生した際に、遺言などによって特別な指定がなければ、相続人には法定相続分に応じた権利が生じます。また遺言が存在していたとしても、法定相続分の1/2までは遺留分が認められています。
そしてこの法定相続分は配偶者が必ず相続人となり、次に「子」が第1順位、子(子孫)がいない場合「直系尊属(父母、祖父母など被相続人の前の世代で、直接の親族)」が第2順位、子孫も直系尊属もいない場合「兄弟姉妹」が第3順位と相続人が定められ、それぞれの法定相続分が認められています。

なお子どもであればその相続分は全員平等になるよう分割されることになっているのですが、近年まで非嫡出子には嫡出子の1/2までしか法定相続分が認められていませんでした。
こうした法制は戦前の家(戸主)制度を重視した相続制度の名残と言えますが、個人の尊重を重視し家(戸主)制度を廃絶した戦後の日本では長く平等の観点に反すると批判の対照となっていたのです。そして、平成25年9月4日の最高裁判所の判決において、今までの法律が「非嫡出子」に対して不公平であり、これは違憲であるという判断が下され民法も改められることとなりました。
現在では嫡出子も非嫡出子も平等な権利が保障されています。

法律だけでは割り切れない問題

ただ、上記のように法律が変わったとしても人間の感情は簡単には割り切れません。非嫡出子の問題で多いのは、被相続人が浮気・不倫をしてもうけた婚外子である非嫡出子と、嫡出子や正式な配偶者の間での相続争いです。
ごくごく稀に被相続人が生前のうちからその存在が親族間で周知されており、関係も一定以上に良好に保たれていれば問題ありません。しかしそもそもその存在が周知されておらず、相続が発生して初めて嫡出子の存在が発覚(不倫の存在も発覚)したような場合、死者に詰め寄ることもできないだけに遺された家族も感情のやり場に困ってしまいます。

もし非嫡出子が存在するという方は、生前のうちに以下のようなことに気を配っておくと良いでしょう。

非嫡出子の存在を公表する

隠し通せそうな場合、わざわざその存在を公表したくはないかもしれませんが、死後まで隠し通せるわけでもありません。既に認知をしている子の場合、相続手続きの過程でその存在はどうしても発覚します。
その際にトラブルになるよりは、生きているうちに決着をつけた方が良いでしょう。

遺言書を残しておく

非嫡出子と嫡出子の間で交流がなかった場合、遺産分割協議に問題が生じる可能性が高まります。分割が成立せずに相続に問題を抱えしまうことのないよう、事前に遺言書を書くと良いでしょう。